21)勇者の憂鬱

 先日、とある作品の紹介文に「主人公は勇者となり~」とありました。ふむ、これは主人公が勇者となって冒険する話だと思ったわけですが、そこですなさとはふと思いました。


 そもそも勇者って何?


 これは職業? いや、職業じゃないな。

 じゃあ、あれか。主席とか、主将とか、英雄とか地位的な名称。うん、こっちの方がまだしっくりくる感じがします。

 となると、結果がないといけません。主席にしろ、主将にしろ、英雄にしろ、それなりに実績があっての名称ですから。

 さっそく読んでみました。


 ……実績がなさそう。

 すなさと、振り出しに戻る。


 というわけで、今度は勇者が何をするのか考えることにしました。

 よくあるのが、モンスターを倒す、魔王を倒す、世界を救う。勇者っぽいです。

 日々モンスターを倒すのは、そういう職業(そもそも職業名とは思えないが)と考えればいいかもしれない。しかし、「魔王を倒す」「世界を救う」は、もはや職業と言うより国家レベルの施策に近い。こんな大事業を実績もない勇者に任せられるだろうか? お役所は実績を重視する。つまりは、きっと無理である。

 ここに来て、すなさとは勇者の何を考えていたのか分からなくなり、思考が止まりました。


 似たようなので、悪役令嬢というのがあります。

 そもそも「悪役令嬢」の「悪役」ってなんだ? 悪い奴ってことなんでしょうけど、ここでまた、よせばいいのに読んでみた。


 ものすごい普通の人(むしろ善人)ですけど??? (すなさと大混乱)


 どうしてただの令嬢ではいけないのか。なぜ、悪役なのに普通の人(むしろ善人)なのか。まったく意味が分からず、ここでまた思考が止まりました。


 ただ、いろいろと見て歩いているうちに、少し気がつきました。なんというか、「勇者」という言葉も「悪役令嬢」という言葉も、登場人物であるにもかかわらず、キャラじゃないんですよね。どちらかというと、物語のパターンに近い。

 そして上記のことに気づいた時、初めてテンプレという言葉に「なるほど」と合点がいった次第です。


 さて、すなさとの自主企画は条件付きです。無条件はやりません。なぜなら、無条件はカクヨムのトップページとそう変わらず、やる意味がないので。

 最近、ラブコメも参加をお断りしています。ただし、やみくもにラブコメをお断りしているわけではなく、昨今のテンプレ的なラブコメをお断りしているだけです。(まあ、ほとんどがそういう類いなんですが)

 ちなみに、カクヨムのラブコメの定義は「主として男性が主人公の恋愛を中心テーマとして描かれた作品が対象のジャンル」とあります。


 そして、私がお断りしているのは、「学園一の美女がなぜか俺に懐いてくるんだが」だの「陰キャな俺にかわいいJKギャルが迫ってくるんだが」だの、こういうやつです。本当に「だが、だが」うるさい。


 つーか、女子高生好きすぎじゃね??? も、怖い。頼む。

 君が好きなのは女子高生であって、恋愛じゃないよね。

 ただの「妄想」を「恋愛」という言葉でごまかすな。


 すいません、少々毒舌になってしまいましたが、まあ、私から言わせれば、この類いの作品は「恋愛」ではなく「妄想」ですので、すでにラブコメの定義からも外れています。


 異世界にしろ、ラブコメにしろ、私が募集しているのは、型にはまった登場人物ではなく、本物のキャラがちゃんと生きている物語。

 キャラを最初からきちんと考えている方って、物語には出てこないどうでもいい設定とかまで考えているんですよ。でも、そういう背景があるから、物語全体にも厚みが増して面白味も出てくる。

 まあ、昨今のテンプレ系にもそういうちゃんとした話はあるんでしょうが、なんせ外れが多すぎるに加えて、作品数だけはやたら多くて、企画を占拠されるので、募集しません。


 最初から主人公が「勇者となって旅に出る」なんて、よくよく考えたらあるわけがない。旅に出て、紆余曲折があり、その結果、勇者になるはずなんです。

 せめて勇者を目指すぐらいから始めて欲しい。すくなくとも、すなさとの自主企画にはそんな物語をと思っています。

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