4)じれっと恋愛論

 真面目な「読む自由論」から一変し、恋愛論です。

 物語には大なり小なり恋愛的要素が含まれていることが多いかなと思います。

 まあ、その恋愛をどこまで書きたいか読みたいかってことなんですが、皆さんのお好みはどのあたりですか。

 これは好みが大きく左右することでもあるし、その日の気分によっても変わると思います。なので、これが正しいとか、こうあるべきだとか、そういう議論をするつもりはあまりないのですが、まあ、ここに書く以上はそういう話になってしまいますね。

 だったらてめえの話はどうなんだと、耳の痛い言葉もどこからか聞こえてきそうですが、そういうのいいんです。私がただ話をしたいんですよ。ちょいと聞いておくんなまし。

 というわけで、サクサク行きます。


 恋愛の醍醐味ってなんだと思いますか。はい、そこのあなた、自分の半生を思い返してみる! 片思いでもなんでもいい、人を好きになった時のことを思い出して!!

 私にとって、恋愛のほぼ大半は、相手の一挙手一投足に一喜一憂している気持ちそのものです。きゅんとしたり、でれっとしたり、やきもち焼いたり、不安になったり、それだけで日が暮れる。確かにキスも好き、エッチもいい、でもそれって結果でしかないと言うか。


 なので、最近の長いタイトルによく見受けられる(っていうほど読んでませんが)、なんだか理由もなく相手がお色気全開で迫って来るハーレムみたいなシチュエーションは全く萌えません。

 百歩譲って、お色気全開で迫ってきてもいいとして、どうしてお色気全開で迫って来るのか理由をご説明いただきたい。人柄に? それとも金? いやいや権力? 惚れた女の背景は? むしろその理由にこそ、萌えるというか、醍醐味を感じるのです。


 恋だの愛だのって、何に共感するかというと、登場人物の気持ちです。どうでもいいことに一喜一憂している様を読んで、こちらも一緒に一喜一するわけです。じれじれするのがいいんです。

 エロい描写は物語のスパイスであってもエッセンスではないし、ましてや恋でも愛でもない。

 少なくとも私はそう思っています。その行為に気持ちが乗っかかってはじめて、その行為は恋だの愛だのという物語になる。

 

 先日、恋愛感情はないけれど、そういう行為からお互いの関係が始まる話を読みました。表現も押さえ目でさらりと流す程度です。前述の通り、その時点でその行為自体に恋は発生していません。でも、何か事情があり、それを相手に求めた登場人物のなにがしかの心情は伝わってきました。だから、性描写的な表現もさらりと流す程度ですが、十分に色気がある。「この作者さん、上手だなあ」と感じました。

 実際のところ、気持ちさえあれば指先がちょこんと触れるだけでも十分エロいんです。もう、じれって大事。


 でも、内容が全くないエロいセリフと行為ばかりの話でも高評価が付いていたりするんですよね。それはそれで厳然たる事実として存在し、ここで何を言っても負け犬の遠吠えです。ただ、たまたまそういう作品を目にする機会があり、「最近は、こういうのを面白いというのか」とあまりにガッカリしてしまったので、どこかの年寄みたいに今日は小言を吐いている次第です。

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