十四話 入学式
しばらく歩き学園の前に着く。学園の前には大きな板が置いてありそこに紙が貼られている。
「やはり、主席に慣れましたね。ジル」
「テンリも狙い通り二位をとれたな」
この学園ではこのような試験を何回も行いそのたびに順位付けがされていく。その順位によってクラスがS~Dまで振り分けられる。ちなみにSクラスだけは特別で上位十名しか入ることができない。入った者は特典として特別にお金が支給される。
「はい!」
「それじゃあ、入学式の会場に行こう」
テンリを連れて会場に向かう。
会場に入るとたくさんの席が並べられており、順位によって席が変わっている。俺たちは順位が高いので最前列の席だ。
「ちょっと動きが硬いですよ、ジル。緊張でもしてるんですか」
「少しだけな」
隣に座っているテンリと小声で少し会話するとステージの上に人がやってきたので喋るのをやめる。
「初めまして、新入生諸郡。私はこの学園の学園長をしている、ディルク・ハーロイスである」
ステージの中心に立った筋骨隆々の老人が会場に声を響き渡らせる。
「この学園の目的は国の為になる優秀な人材を育成することにある。諸郡らの今後の成果に期待する」
「それでは、次の主席挨拶に移りたいと思います」
「えっ?」
学園長の挨拶が終わった後の司会のような人の言葉に困惑の声を上げる。
「主席のジルベルト・ロワ・クロノス君、前へ」
「ちょ、聞いてないんですけど」
「頑張って、ジル」
「ええ……」
突然のことに少し肩を落としながらもステージへと上がる。
「ふぅ~」
気持ちを落ち着かせ緊張を和らげるために一旦深く息を吐く。
「僕は、今回の試験で主席を取った、ジルベルト・ロワ・クロノスです。皆さん知っての通りこの国の第三王子ですが、学園の中では皆さんと同じ一般生徒であり新入生なので気軽に声をかけていただけると幸いです。そして、皆さんと共に切磋琢磨し立派な人となって卒業していけるようにしたいと思います」
俺は喋り終わりお辞儀をする。
「ジルベルト君に拍手を」
司会の人が新入生に拍手を促す。
俺は拍手を受けながら自分の席へと戻っていく。
「では次に移りたいと思います」
俺が席に座ったのを見た後、司会の人が入学式を進めていく。
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