六話 魔法の授業
食事が終わり一旦自室に帰ってきた。
「ソフィア、授業はいつからあるの?」
「午後からの予定でございます」
午後からかぁ。今は8時くらいだから、まだ時間があるな。
「時間があるから、図書室で文字を教えてくれない?」
「かしこまりました。準備してくるので少々お待ちください」
そんな感じで時間を潰していった。
文字を教えてもらって、時間が経ち昼時になっていた。
「ジルベルト殿下、アリア様がお着きになりました」
使用人のメイドが図書室に入ってきて報告してくる。
「わかった。今行く」
メイドにそう返したあと、ソフィアを連れて客室に向かって行った。
コンコン
ソフィアが客室の扉をノックする。
「どうぞ〜」
アリアさんの入室を許可する声が聞こえてきたので、ソフィアが扉を開けて俺のことを促し入室していく。
「こんにちは、アリアさん」
「こんにちは、ジルベルト様」
俺はアリアさんと挨拶を交わしてから、アリアさんの向かい側に座る。
俺が座るとソフィアがいつ淹れたのか、お茶の入ったカップを机に置いた。
「それでは、今日は魔法の属性について勉強していきましょう。ジルベルト様は五大属性を知っていますか?」
「いいえ、初めて聞きました」
「五大属性というのは、魔法のスキルで多くの人が持っている主な属性を指す言葉で、火、水、雷、土、風の五つの属性のことです」
アリアさんがわかりやすく説明をしてくれるので相槌を返しながら耳を澄ます。
「そして、この五大属性はそれぞれが影響しあって循環している属性だと言われています。火は水に弱く、水は雷に弱く、土は風に弱く、風は火に弱い、という感じにです」
「なるほど」
「その他にも、回復に向いている光属性、異常状態に向いている闇属性、ユニーク属性である時空属性などがあります」
アリアさんは他の属性についても簡単に説明してくれる。
「そういえば、ジルベルト様の属性は何なのですか?」
「僕の属性は、火、光、時空です」
俺は聞かれたことを素直に答える。すると、アリアさんは目をぱちくりさせる。
「ジルベルト様は時空属性を持っているのですか?」
「はい、そうですけど。どうかしたんですか?」
「いえ、時空属性などのユニーク属性はあまり見ないものなので驚いていたのです」
時空属性は珍しいようだ。それならば、あまり公表しない方がいいか。
「それよりも、属性についてはある程度の理解をして頂けたと思います。なので、中庭で魔法の実技をしましょう」
アリアさんが立ち上がり、外に出るように促してくるので、ソフィアを連れて中庭へ向かっていった。
しばらく歩いて中庭に着く。
「それでは、まずは属性のおさらいをしましょう。【
アリアさんが魔法を唱えると右手から手のひらサイズの火の球が、左手からは水の球が出現した。
「問題です。この2つの球をぶつけるとどうなりますか?」
「水が勝つと思います」
「正解です」
アリアさんはそう言いながら実際に2つの球をぶつける。すると、火の球が消えて水の球だけが残った。
「ただ、こうなるのは2つの魔法に込められたMPの量が同じだからです。【
アリアさんが新しく出した2つの魔法をぶつける。
すると、今度は火の方が残り、水の方が消えた。
「このように、火属性が勝つ場合もあります。なので、属性が不利だからといって諦める必要はありません。今度はジルベルト様が魔法を使ってみましょう」
アリアさんはそう言いながら俺の肩に手を乗せる。
「まずはジルベルト様にMPを感じてもらいます。私がジルベルト様のMPを動かすので、ジルベルト様は目を瞑って体の中へ意識を向けてください」
俺は言われた通りに目を瞑り体の中へと意識を向ける。
「行きますよ」
アリアさんがそう言った後に体の中で渦を巻く違和感を感じ始めた。10秒くらいそれが続くとアリアさんが俺の肩から手を離した。
「ジルベルト様、何か感じましたか?」
「はい、体の中に渦を巻く違和感を感じました」
アリアさんの問いに感じたことを答える。
「それがMPです。今度は自分で動かしてみてください」
俺は体の中に意識を向けて、さっき感じたのと同じように体の中に渦を作ろうとする。するとまた、体の中に渦を巻くような感覚がする。
「できましたね。それでは魔法を使おうとしてみてください。MPの使い方が分かると自然とできるはずですから感覚に身を任せてください」
「わかりました。【
俺は感覚に身を任せ、手を前に向けて魔法を唱える。すると、少しのMPが体の中から切り離されて手のひらから体の外に出ていく。そうすると、火の球が手のひらの前に出現した。
「上手です。それでは的を出すのでそれを狙って飛ばしてみてください。【
アリアさんが魔法を唱えると50mくらい先に水の壁が出現する。
俺はその壁に向かって火の球を飛ばそうと意識する。すると、火の球が手のひらから離れて真っ直ぐ飛んでいき壁に当たって消えていった。
「いい感じです。今日はこのまま魔法の練習をしていきましょう」
「わかりました」
そのまま魔法の練習をして今日の授業は終わっていった。
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