四話 魔法講師

 城の中へ入り、客室の前で止まる。


 コンコン


 ロベルト兄様が前に出て客室の扉をノックする。


「どうぞ〜」


 室内から女性の入室を許可する声が聞こえてくる。

 部屋の中には、1人のローブを着た女性が座っていた。

 容姿は金髪緑眼のポニーテールをしていて耳が長い。


「2人は久しぶりですね。ジルベルト様は初めまして。私はアリア・アイルフタと言います。王都の冒険者ギルドでギルド長をしております。今回も王家の魔法講師を仰せつかったのでお見知り置きを」


 アリアさんが椅子から立ち上がって自己紹介をする。


「ジルベルト・ロワ・クロノスです。これから、よろしくお願いします」

「それじゃあ、俺たちは部屋に戻るから」

「真面目に話を聞くんだよ」


 俺とアリアさんが挨拶を交わすと、イグナシオ兄様とロベルト兄様が部屋から出ていく。


「それでは、今日は簡単に魔法の基礎知識を覚えましょう」

「わかりました」


 授業が始まると隣に控えていたソフィアがお茶を淹れ、机に置く。


「まず、魔法というのは前提となるスキルを持っていないと使えないのはわかりますよね」

「はい」


 アリアさんの説明にソフィアの淹れたお茶を飲みながら相槌を返す。


「では、質問です。魔法のスキルを持っていたとしてどうやって、魔法を発動させますか?」

「魔法名を詠唱してからMPを消費してですかね」


 俺はアリアさんの質問に思いついた解答をする。


「正解です。それでは、消費したMPはどうやって回復すればいいですか?」

「ごめんなさい。ポーションを飲むしかわかりません」


 アリアさんの質問に対しての解答がいくら考えてもポーションくらいしか思いつかなかったので反射的に謝ってしまう。


「別に謝ることはありませんよ。誰もが最初は知らないのですから」

「はい」


 アリアさんが謝る必要が無いことを伝えてきたので、少し申し訳なさそうな声で返事を返す。


「答えはですね。空気中の魔素を体が吸収してMPに変換しているのですよ。あまり変換効率は良くありませんが」

「魔素って何ですか?」


 アリアさんの解説に知らない単語が出てきたので質問をする。


「魔素というのは、空気中に存在するMPの素となるものです。これがあることで魔法が使えたり、魔道具が使えたりするんですよ」

「そうなんですか。初めて知りました」


 アリアさんが俺の質問に対して丁寧に説明してくれる。

 この世界特有の新しい元素だろうか?不思議なものだな。


「今日は簡単に出したから、これぐらいで終わりにしましょう。ジルベルト様も疲れていると思いますしね」


 アリアさんが俺のことを労う言葉を言う。


「お気遣いありがとうございます」


 そんな感じで今日のアリアさんの授業は終わって行った。

 その後は夕食を食べ、風呂に入ってから自室に戻ってきた。


「お休みなさいませ、殿下」


 ソフィアが挨拶をして俺の部屋から退出していく。


「今日は疲れたな〜。ぐっすり眠れそうだ」


 今日は様々なことがあったので、予想以上に疲れていたようだ。

 目を瞑るとすぐに意識が闇に落ちていった。

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