第119話「錬金術師はサポーター」
「そうか、受けてくれるか」
放課後、錬成部にて報告するとエドワードはうなずいた。
「そしてパーティーメンバー、いつの間にか四名になってたのね。ロングフォードも参加したといううわさがあるし」
とリプレが横から口を挟む。
「え、ロングフォードが?」
エドワードは目を丸くする。
「耳が早いですね、リプレ先輩」
正直そんなイメージはまったくなかったので意外だ。
「何を言ってるの。ロングフォードは私たちの学年を代表する大物なのよ」
リプレには苦笑される。
いやでも耳目を集めてしまうってわけか。
シェラも大変だな。
「そういうものですか」
「シジマって変なところで無頓着だよな」
エドワードが笑う。
「アンバランスですよね」
リプレにも言われた。
この手の指摘はいったい何度目になるのか、もうよくわからないな。
開き直ってしまおう。
「日程やメンバー、探索先っていつごろ決まるのですか?」
エドワードが口を開いて、
「今日これから俺は会議に出る。メンバーはすぐにわかるだろうが、日程や探索場所についてはたぶんもめる」
と言った。
「もめるんですか」
真顔で言われたのがシュールで思わず反応してしまう。
「ああ。毎年もめると相場が決まってる。断言してしまっていいくらいだ」
そう言えばゲームでもそんな話があった気が。
あれ? 俺、意外とゲームの内容忘れてるんじゃないか……?
ちょっと不安になったところでリプレが加わる。
「生徒会がリーダーシップを発揮してくれたらいいんだけど、生徒会は毎回不参加なのよねえ」
「いないんですか」
まあいない理由は何となく想像できるけど。
「生徒会メンバーは基本的に強いからアライアンスの目的にはそぐわないしな。あと協調性のないやつらも少なくない」
エドワードが腕組みをしながらため息をつく。
リヒターのことかな?
「また生徒会メンバーがいなくなることによって治安が低下したりする可能性も憂慮される」
ここってそんなトラブルだらけの学園じゃなかったはずだが……。
あと風紀委員会も機能してるはずだし。
それとも俺の知らない時代に何かあったりしたのかな?
「という昔のルールが今でも生きてるらしい。正直現代では生徒会メンバーがいないくらいで、学園内部の治安が低下したりしないはずだが」
エドワードが俺の内面を読んだようなことを言った。
「規則、変わらないんですか?」
「変わらないだろうな。生徒会メンバーに参加してほしくないと思う面子が多い点だけは現代でも同じだ」
エドワードとリプレが仲良くため息をつく。
何でそんなことになってんの?
フィーネとシェラ、それにパウルは敵が多いタイプだとは思えないけどな。
だいたいリヒターのせいかと決めつけるのは、さすがに風評被害だろうか?
「ところで話は変わりますが、先輩たちは戦えるのですか?」
ふと気になったので聞いてみる。
「錬金術師が戦闘でできることなんて、たかが知れてるに決まってるじゃないか?」
エドワードが開き直った顔で言う。
「私たちはしょせんサポーター。直接戦闘力は大したことないのよね」
リプレも目を伏せて悲しげに話す。
二人の言うことは間違ってはいない。
錬金術師ヒロインくらいだからな、例外的に戦って強いのは。
「それでも俺たちの役目はあるさ。たとえば多くの種類のポーションを持っていけば、魔法使いやヒーラーの負担を減らすことができる」
そう、錬金術師がパーティーにいる理由はそこに尽きる。
メインヒロイン級の強さの魔法使いとヒーラーがいてもなお、錬金術師を入れるかを検討されるくらいには。
ポーションを自腹で買いそろえてガンガン消費しても気にならない、金持ちパーティーは例外だろうけど。
「そうなりたいもんですね」
と言うと、二人が白けた視線を向けてくる。
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