第15話 友人

 錬金術で大儲けと言えば卑金属を貴金属に変えるイメージが強いんだろうが、それ以外にも利益率のいいもの、錬成手数料が高いものは存在してる。



 いい物品を錬成し報酬を受け取って名をあげる。

 そしてよりいい依頼でもらって報酬を受け取って……というくり返し。


 大ざっぱに言えばこれが錬金術師の生活である。

 けっこう地味で、なかなか一攫千金とはいかないが。


 すでに会長には興味を持たれてるようだし、蛍についても手ごたえがある。

 Ⅱになったし、蛍にフォローされっぱなしも何だから薬草や解毒ポーションを作ってみようかな。


 上級生に買ってもらうためにはスキルレベルをⅣ以上にしないと厳しいと思う。


 とりあえず一年の目標はスキルレベルⅣ以上にする、としようか。

 Ⅲを超えたら急にあがりにくくなる謎仕様なんだよな。


 ここまでくると一年が自力で集められない素材が必要なので、考えてきた人脈が必要となる。


 他人の助力が前提になる目標は今はまだ早いかな。

 あと、二年にならないと専用の釜はもらえないのが基本だが、これには抜け道がある。


 生徒会に入るか、それとも部活に入るかすればいい。

 そうすれば素材をもらって練習がてらいろいろと作ることができる。


 錬金術師というジョブ単体で考えれば部活のほうがメリットは大きい。

 他の要素を考慮するなら生徒会が逆転する感じかな。

 

 まあ今すぐ考えなくてもいいか。

 生徒会に入る条件はけっこう厳しかったはずし、そもそも主人公がどうなるかわからん。


 主人公がどんな性格なのかなぁ……願わくばつき合いやすい奴であってほしいもんだが。


 今考えても仕方ないな。

 明日のことを考えながら晩飯を食べてのんびりとすごした。


 

 一〇○○の少し前に女子寮の前に行けば、ちょうど二人が出てくるところだった。


「おや、一緒だったのかい?」


「ええ、偶然一緒になりました」


 蛍が意外そうな顔で話す。

 彼女は知らなかったんだろうからな。


「今日も道具袋を借りられることになってね」


「先ほどうかがいました」


 答える蛍に俺は次の発言を投げる。


「ああ、錬成スキルのレベルがⅡにあがったよ」


「……はい?」


 蛍は絶句してしまった。

 フィーネは愉快そうにしているので、あえて黙っていたみたいだな。


 お茶目な性格をしている。


「錬成スキル、そんな簡単にあがるものなのですか?」


 蛍はおそるおそるといった口調で問いかけた。


「いいえ。少なくとも私は初耳よ」


 フィーネがそう告げる。


「そ、そうなんですね! すごいですね、エースケ殿は」


 思った以上に蛍が受けた衝撃はあったようだ。


「まあちょっとした裏技だけどな」


 それだけに照れくさくなってくる。


「何の。それも立派なことですよ。常人には思いつけぬ発想をお持ちなのはすばらしいことです」


 蛍の緑の瞳はキラキラと輝いていた。

 何か彼女に思うところがあったのだろうか。


「ありがとう。頑張って蛍の力になれるようになるよ」


「貴殿のような方をお守りするのもそれがしのような者の務めだと思うのですが……」


 蛍はそう言ってじっと俺を見つめる。


「貴殿はそれをよしとしないお方のようですね」


 昨日知り合ったばかりだが、ある程度人柄を把握されたらしい。


「ああ。戦闘では蛍の邪魔になってしまうかもしれないが、他の点で役に立ちたいんだ。友人ってそういうものじゃないかな」


「友人……そうですね」


 蛍はうなずいてからうれしそうに頬を赤く染める。


「異郷の地にて友ができるか不安だったのですが、エースケ殿のおかげで吹き飛びました。お礼を申し上げます」


「こっちこそ蛍には礼を言わないとな」


 二人でそう言いあって笑みをかわし、それをフィーネが微笑ましそうに見守っていた。

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