第13話 もうレベルアップ
フィーネからもらった許可書の効果はてきめんだった。
「ではこの十番の釜を使ってください。場所は実習棟の二階ですね」
職員のお姉さんが説明してくれる。
実習棟の行き方も教えてくれた。
俺が使うのは十番ってことは学園の錬金術師は十人しかいないって意味になる。
もっとも専用釜を持ってる人も何人かいるから、そんなにアテになる数字じゃない。
錬金術師がけっこう珍しいのはたしかなんだが、だからこそシジマ・エースケにもチャンスはあるというわけだ。
実験棟に行くと釜を使ってるのは三年の男子生徒一人だけで、彼はこっちを見ることさえない。
彼はエースケとは違って名前すら与えられていなかった脇役だな。
まず石と雑草、石と石という意味のない組み合わせで錬成していく。
錬成に成功してできあがるのは『草まじりの石片』という意味なしアイテムだ。
投てき用の石として使えるかもしれないが、それだけである。
意味なしアイテムでもそれっぽい名前がある世界なんだよなー。
ある意味処分に困る。
まあ石は投てきスキルレベルあげに使えるのでとっておくか。
草と草という組み合わせは捨てるしかないように思えるが、実は買い手がいる。
一年が知ってたらおかしい存在だから、偶然をよそおって接触することを考えよう。
今日の錬成回数は七十回だ。
ふと思ったが、錬成した品どうしを錬成ってできるんだろうか?
ゲームでは一部のアイテムを除いてできない場合が多かったが……。
錬成釜を使うと普通に処理された。
『雑多な草』ができあがってしまったが、錬成スキルの熟練度は無事あがる。
これはいい発見をしたかもしれない。
『雑多な草』をどんどん錬成したので、今日一日だけでスキルの使用回数が百二十回を超えて錬成スキルレベルがⅡにあがった。
この調子だとあさってにはⅢにできそうだな。
問題は明日もフィーネに上級道具袋を借りられるかだが……。
頼むだけ頼んでみようか。
片づけをして生徒会室に戻り、フィーネに袋を渡すついでに聞いてみた。
「ありがとうございました。おかげさまで錬成スキルレベルがⅡにあがりました」
「えっ!?」
フィーネは怪訝そうな顔になる。
どうやら意表をつけたらしい。
「もうあがったの!?」
フィーネは驚きを隠せないようだった。
興味なさそうだったシェラがこっちを見たのは面白かったが。
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