第2話

 一階で慌ただしい物音がした。急いで下に降りると、閉じていく玄関扉とその向こうに走り去る背中が見えた。

ただでさえ理解が追いつかない状況にしばらく体が動かなかった。次第に認識が現実に追いついてからようやく、私は靴も履かずに三和土たたきを飛び下りて後を追った。太陽は沈みわずかな名残が赤く青く、住宅地に連なる屋根を染めていた。消えた背中を追って走り出す。

 荒い目のアスファルトやその上に散見する石粒が足裏に刺さって痛い。強く踏み込むと皮膚とコンクリが擦れ靴下が、そして足の皮が少しずつ破れているのがわかる。しかし痛みを感じながらも止まることができないほどに高ぶっていた。

 絶対に捕まえる。あいつがゆうこを殺したに違いないのだ。

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