第4話 芽生えるもの。(1)



なんだろうねこの季節。


桜の花びらも散って、葉桜にもなって、暑くもなく寒くもなくて。


それで「心地よいですか?」と聞かれれば、そう答えるんだろうけれども。

やっぱり何かが足りないような気がして、むず痒く感じてしまうこの季節。

高校の時は早いところだと5月の終わりには体育祭があるらしいし、そのうち定期試験が来て夏休みって感じなんだろうけれども、大学はそうはいかなくて体育祭が無ければこの大学は単位認定試験が年に9月と2月の2回しかないし、この4月下旬から7月下旬にかけては本当に何もなくて、心のなかのどこかがぽっかりと空いてしまったような気がする時期である。


今日は4月25日という事でそのまさにぽっかりと空いたような時期が来てしまったのである。


最近はというかもう当たり前になってきたのだけれども、以前からこの同好会に入っていた私と響先輩。それからちょっと前に入って来た奏くんとゆうちゃん。そして、そのちょっと後に入って来たななくん(本名は折敷七瀬っていうんだけど良い?って聞いたらきょかもらえた!)とさきちゃん(これも同様に本名は日高咲姫っていうんだけど許可もらえた!!)が入って来て今は6人になっている。


けれど、飽きる事もなくみんなに授業が終わってから来ていて今日まで誰かが休んで来ていないというような日はなく文字通り皆勤なんだよ!


そしてこの同好会に来てからというもの、まともな活動をしていたのは響先輩だけであり、他の私達5人はみんなで楽しく談笑していたのだ!


またその4人のうちあ私は特にさきちゃんと仲が良かった。


私たちはみんな1人暮らしであり、その中でもさきちゃんとはとても住んでいるところが近かったから、たまにどちらかの家に行って、2人で借りたビデオなんかを見たり楽しくおしゃべりなんかをしてるんだよね。


それで、さきちゃんは明るくてノリが良くて私とも話がよく合うから、本当に楽しいし、それでいて気遣いもできて優しいという響先輩がもっと喋るようになって明るくなったって感じの人だ。


まあ、明るいとは言っても、私みたいな感じでもなくて、すこしおしとやかにも感じられるような……うーん、お嬢様、みたいな感じ?


あ、別にこれは響先輩の事を悪く言うつもりはないよ!


むしろあの穏やかさは私的には好みで、安心感がありむしろ好きなほう!



奏くんとゆうちゃんも普通に喋るけどさきちゃんほどではないってかんじかな!それでも話せばふつうにたのしいからすきだね!


でもななくんはねー、ちょっと話しにくいところがあって少し苦手かもしれないなぁ。


でも一応こんな私に「ななくん」なんて呼ばせてくれるのだから、良い人なんだろうとは思う。


とまあこんな感じで上手くやれている方だなーなんて少し自惚れながらもは私はいつもの部屋に着いた。


「失礼します、響先輩いますか?」


「ああ、いるよなんか先生にわからない事聞いていたそうだねお疲れ様」


私は少し話があるからとと言う事でこのヒュデルの部屋で待ち合わせをして響先輩を少しでも待たせていた、というわけだ。


「ありがとうございます、おかげで分かりましたからもう安心です」


「そうかなら良かった、では早速本題だけれども今週末からゴールデンウィークだろう、あの2人が入って来て少し時間が経ち見た感じでは楽しくやれてそうだし慣れて来ただろうからそろそろ良いかなと思うんだよね、ゴールデンウィークで旅行に行こうかと思う、そこで一気にさらに仲を深めていきあの4人の覚えている範囲のことでの高校時代について聞いておきたいと思うんだけれどもどうかな」


良いと思う私は賛成かな、ゴールデンウィーク中は基本予定もないからここぞとばかりにバイトを入れてお小遣いを稼ごうかな、なんて思っていたからそうしなくて済むなら私は本心から旅行に行きたいと思うんだよね!


「そうですね、良いと思います私は」


「そうかいなら良かった、では旅行は決定という事で良いかなあの4人には話しておかなくてはね」


「はい」


「以上でお話は終了だよ、何もなければそろそろ部屋に戻ろうか」


と言って先輩は部屋を出て行った。


私も戻ろうかな……


ってちょっと待って。


この旅行のこと先輩が言ってくれるのかな……

絶対そんなことないね、私が言うんだよねぇー。


だいたい先輩が私だけに言って来たって言う時点でそういうことなんだよね……はあ、ななくんは良いって賛成してくれるかなー心配だな……

なんて感がながらいつもの部屋に戻ると


「失礼します!あ、さきちゃんやっほー!」


いつも通りのメンバーがちゃんといた今日も誰も休んでいないねよかった!今日はどんな事を話そうかな……


「そうそう、聞いてよ!七瀬くんが女の子に告白されたんだってー」


と思っていると、さきちゃんの方から、楽しそうに話題を提供してくれた。


ああ、このはなしか。


「えっそれいうなよ、日高がいう必要ないだろ」


ななくんは、すこし恥ずかしいのか、照れ臭そうにさきちゃんにそう言った。


「良いじゃないですか、別に」


そうそう、さきちゃんって意外とみんなにたいして敬語なんだよね、そのあたりも行儀がよろしくてお嬢様って感じがするポイントだったりする。


「えっ?誰から誰から!可愛かった?付き合うの?」


すると、ゆうちゃんが興味深そうに聞いてくる。こういうときの女の子の目って、だいたい輝いていたりするものだよねぇ。


「いや、そのつもりないから振ったよ、俺そういうつもり無いんでってね」


ななくんは、そんなのたいした問題じゃない、とでも言うようにいった。


ちぇっ、キザなやつめぇ……


「えーせっかくのチャンスじゃん!彼女にしちゃいなよー」


ゆうちゃんは残念そうにして言った。入学して早々のそう言う話は結構盛り上がるし、誰かが付き合ったとかは、自分のことじゃなくても嬉しいことだったりするよね。


「あー、私そのシーン見たなー、結構相手の子可愛かったからともったいなく無い!?」


私はタイミングを見計らって、この場で爆弾発言を落としてみる。


「ほんと?奈帆見てたの?」


ななくんがうげ、ってした。


うげーー。


「うん、たまたまねー、確かあれ先輩だよねこの前1年生の部員募集でいっぱい叫んでたからきっとそうでしょ」


私がその証拠となることを話してみることで、ななくんは認めたくもない事実を認められる。


「まじで?奈帆にも見られてたのかよ最悪じゃん」


そう言ってななくんは大袈裟に嫌そうな顔をする。


「なんなのそれ!私に見られちゃいけなかったの!?」


まあ、そうだよねぇ……人っていざ当事者になるととたんにそう言う情報は人に知られたくなくなる。


まあ、とはいえななくんが告白された件をリークしたのは私なんだけどねぇ。


「つーかそういうシーンって誰にも見られたく無いでしょ」


「確かにー、私もみられたく無いかもー、あでもナイス奈帆!きっと七瀬は相手教えてくん無いから目撃情報大事だもんね!」


「えーそうかなー、なら良かった!」


という感じでみんなと話すのは本当に楽しいんだよね。


てか今日私ななくんと普通に話せてたよね!?すごい私進歩してる!あとゆうちゃんも意外と明るいし好きかもしれないなー。


よし、この調子でゴールデンウィークのことも聞こうかな……


「ねえねえみんな!今週末からゴールデンウィークじゃん!その事についてなんだけどさー……」


この話をするとみんなは全会一致で即決し旅行に行く事になった。その後の話し合いで3泊4日の温泉旅行に行く事になった。


みんな、意外とノリがよくて助かりましたとさ、めでたしめでたし。


会議も終わり解散になると響先輩は「ちゃんと言ってくれてありがとう」とだけ言ってそそくさと帰って行った。


なんか響先輩素っ気なく無い?


まあ良いんだけどさぁ、、、あ、でも今日ちょっとあんまり響先輩発言していなかったかも、きっと考え事していたのかな?


先輩はいつも何かを考えているようだけど何を考えているのか私にはさっぱり分からなかった。


それらは、いつもと変わらない感じで、一日を終えた。


でも、これからのゴールデンウィークのイベントがひとつ、私のなかで心踊っています!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る