第2話
校長先生の長い長い無駄話も今日なら聞いていられる。持って帰れと言われて放置していた朝顔の鉢と、絵の具と、お道具箱だって、今日は持って帰れる。今日から夏休みだって思ったらこれくらいどうってことはない。
午前には学校が終わって家に帰る。荷物を全部おいてお昼を食べる。いつものそうめん。夏って感じがして嫌いじゃない。急いで食べてごんと待ち合わせした神社に向かわなきゃならない。
ぼくの住むこのあたりはそんなに都会じゃないんだと子供ながらに感じている。でも不便ってほどでもない。スーパーだって自転車で15分でつく。電車は車で10分で乗れる。でも、それも都会から見れば田舎なんだろう。そもそも1学年15人前後なのだから田舎だ。なんというか以外と住みやすい田舎なんだと思う。
この町には天然の蛍がいる。ごんとの今日の約束も蛍を見ることだ。ごんのじいちゃんは蛍のたくさんいる場所を知っている。だからごんじいちゃんは蛍観測には必須だ。ごんじいちゃんはごんのばあちゃんとメロン農家をしている。ごんの両親は共働きの会社勤めだから二人がいつも遊んでくれる。ごんじいちゃんのメロンは美味しすぎて、たまに来る客人の手土産のメロンがぼくはそんなにありがたくなかったりする。贅沢なやつだと母ちゃんに言われたりもするけど、母ちゃんも母ちゃんで、やっぱりごんちゃんのとこのメロンが美味しいわ、というから人のことを言わないでほしい。
なんとなく特別感で残した緑とピンクのそうめんを三本食べて、立ち上がる。そろそろごんのとこにいかなくてはいけない。
くすの木 @saki-neko
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