第7話 Unexpected Intruder
宇宙人と握手をしたからと言って俺の日常が一変するなんてことはない。いつもと同じように朝はやってて来るし、俺は今日も学校へ行く。
「そういえば、あいつの名前聞き忘れてたな。それに連絡方法も聞き忘れてた!向こうは地球にはないよくわからない機械だか何だかでこっちに連絡は取れるだろうが、俺はどう連絡取ればいいんだ。あいつは進んだ科学力で自分の身は守れるだろうけど、俺はただの一般人だぞ!宇宙のヤバい連中に狙われてるんだろ!俺すぐに死ぬぞ、マジで。今度会ったら文句言ってやる!」
そんなことを思いながら学校へ向かう。実際、俺はただのしがない高校生でしかないわけで、襲われればひとたまりもない。昨日あいつは俺が粒子を一番纏っていたと言っていたな。ということは俺と関わりがある人物になる。俺の友好関係は広くはない。むしろ狭い。両手で数えられるほどしかいない自信がある。いち、に、さん、し……。片手で収まってしまった。
教室に着くと既に前田が座っていた。よく考えなくとも現時点で一番怪しいのはこいつだ。普段から宇宙人とかオカルト的な話しばかりしていたから宇宙人だったとしても驚きはしない。
「おはよう、前田。実はお前が見せてくれたUFOの映像がどうしても気になってな。少し調べてみたんだ」
「やっぱり、翔太は宇宙人とかに興味あったんだな!そうだと思ったぜ。それで何か調べて分かったのか?」
「実は、廃工場に行ったら宇宙人に会った」
「……ふ。ぶわぁはっはっはっ。何を言い出すかと思えば、宇宙人って、マジで腹痛ぇ。宇宙人に会ったとか、言っちゃってガキかよ。あの映像な、俺が編集で作ったんだよ。UFOなんてあるわけないだろっ」
え、あの映像は偽物だったのか。いや、騙されるな、俺。俺が宇宙人と接触したと言ったから自分の正体を隠すためにUFOはないって言い出した可能性もある。宇宙人を探す道具くらいくれたら良かったのに、あの赤髪宇宙人め。もし、本当に作り物だった場合、前田はこの件に全くの無関係ということになる。どちらにしろ、にやにやした前田の顔を見せられたら、こいつと今は口を聞きたくなくなった。拳でなら語り合えそうだが。
そうこうしているうちに始業のチャイムがなり朝のSHRが始まり、先生が教室へと入ってくる。
「おはよう、みんな。元気か、先生は朝から元気爆発だ!はっはっはっ。今日はみんなに嬉しいお知らせだ。おい、入ってきていいぞ」
俺たちの担任の都田みやこだ先生の口ぶりからするに転校生か。この時期に?脳裏をよぎった想像を振り払う。まさか、な。
「紹介しよう。今日からこのクラスの一員になる赤せき宙ぞら 未来みらいだ」
そうしてでてきた、少女は俺をありもしない猫の写真で助け、俺が女子トイレに入っている捏造した写真を突き付けてきた人物。そして地球にいるという宇宙人を見つけるため握手を交わした人物だった。
「私は赤宙 未来って言います。これから一年よろしくお願いしますぅ!」
彼女は俺と目を合わせるといたずらを仕掛けた子供のように、にっと笑ったのだった。
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