第6話
昼休みになると、ハルヒはいつも通り教室を出ていった。俺も弁当を取り出しているとこれまたいつも通り谷口と国木田と転校生が…見慣れない奴がいるな。
「転校生だからね。早くクラスに馴染もうと同じ釜の飯を食おうという健気な女子だと思ってくれれば不思議でもないだろう?」
その言い方だと別の目的があるように勘ぐられるな。弁当も持ってないしさ。
「意外と鋭いな。白状するとメアド交換に来たんだ。このクラスでまだなのはキョンと涼宮さんだけだからね」
そう言ってポケットから携帯電話を取り出した。転校二日目にしてクラス全員とお友達か。朝倉みたいなことをやる奴が他にもいたとはね。慣れた手つきで俺のケータイからアドレスを受け取った後、「涼宮さんのもいいかな」と聞いてきた。そういうのは直接本人からにしてくれ。あとで俺がとても怒られるから。
「だろうね。ただ、どういうわけだか僕は涼宮さんに避けられている節があってね。未だに会話一つまともに成り立っていないのさ」
ハルヒとまともに会話できる奴の方がこのクラスには少ないだろう。地獄で番犬をやってそうだった去年に比べて丸くなったとはいえ。
「そのようだね。だからこそ、最初から彼女と打ち解けていたキミに尋ねている」
知らん。というかこの会話、去年も一度やったな。その結果として、俺にナイフが飛んできたことは今思っても納得いかないが。
煙に巻くような俺の言葉にも転校生は気を悪くする風でもなく「ふぅん、そうか」と言って女子グループの輪に入って行った。
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