第191話☆ 欺瞞と罠

「何やってんだっ! なぜ連絡を寄こさないっ?!」


 ギュンターは何とはなしに、薬棚の薬品のラベルを眺めているところだった。

 そこへ2人の警吏が治療室に飛び込んできた。

 獣人のビレルと巨人族のキム、両人とも同じ13分署の仲間だ。


 開口一番に浴びせられた言葉に、自然と壁掛け時計を見た。

 時刻は1時半過ぎ。

 定期連絡にはまだ間があるはずだが。


「連絡って確か3時だったよな?」

 やや興奮気味の2人の様子に、時間を間違えていたかとつい思った。


「はあ!? ナニ言ってるっ! 連絡を見てないのかっ?!」

 ビレルがやや呆れながら言う。

「それにユーリはっ? あいつはどこだっ」

 3メートルはある天井に頭をぶつけそうなキムが、部屋の中を見渡す。


「……ユーリは、その、そこの『遺体・遺品安置室』で……」

 さすがに寝てるとはハッキリ言いづらい。

「「 なにっ!? 」」

 言い訳する前に2人が黒いドアに走り寄った。


 途端に物騒な物音が安置室から起こる。

「イ″デェッ !!」

「え、生きてるっ?!」

 止める前に案の定コトが起こってしまった。

 勘違いしたキムが反射的に、動いた袋を叩いてしまったのだ。


「なにリビングデッドのマネしてるんだよっ!?」

「このっ バカッ! 仮眠だよ、仮眠っ!

 くそ、マジで痛てぇっ!」

 甦った死体リビングデッドに間違われた男は、文句を言いながら死体袋から這い出した。


「おいらはすぐ生きてるってわかったよ。リビングデッドは寝息なんか立てないしね」

 ビレルが耳をピクつかせる。


「だったら、すぐにこの馬鹿に言えよっ。

 おかげで――クソッ 首ぃやっちまっじゃねえかっ」 

 中途半端だったが、さすがに巨人族の一撃は咄嗟の身体強化だけでは防げなかった。


 ちょっと動揺していた巨人も、身勝手な言われようにムッとしたらしい。

「誰がバカだっ! 大体なにサボってやがんだよっ?!」

「おいっ こんなとこでモメんなっ!」

 ビレルは巻き込まれないように横に避けた。

 巨人キムとユエリアユーリンが喧嘩になりそうだったのを、熊系獣ギュンター人が慌てて止めに入った。

 とにかく治療師に首を診てもらいながら、ビレル達から事情を聞くことにした。


 ダンジョン管理組合の他、2人を送り込んだ署からもこちらに連絡が送られていた。

 こういう場合、通知を確認した証拠として、言われなくても返信し返すのが通常の事だった。

 それが一通も無いことに本部も訝しんだ。 


 だが、今や軍隊、ギルドのハンター、魔導士たちのほとんどがアジーレと王都に出張っている。

 そして警吏たちは、戒厳令が敷かれた町や村を警戒していた。

 そのため同じ分署のこの2人だけが、内々でとりあえず様子見にやって来たそうだ。


 すると案の定、管理室には誰もいなかった。


「え、あいつらは? あの兵隊どもは?」

 ユーリが痛めた首のせいで、向こうを見ながら言った。

「ちょっと待て、なんでそんな連絡、ほったらかしになってるんだ?

 あいつら管理室を占拠してた癖に」

 ギュンターもそう尋ねた時、治療室のドアが開いて兵士が2人、顔を出した。


「こっちにいたのか。何故管理室に誰もいないっ?!」

 そう言って入って来た兵士の紋章は、明らかに『ブルクハウセン伯爵』のしるしではなかった。


「伯爵の兵隊さん達に、こっちにいるように言われたんでね」

 他の者に対するのと同じ口調で、治療師が落ち着いて答えた。

「そ、そうなんで。あっしも隊長さんに出ていけって言われて……」

 傍に居た係の男も慌てて弁解する。


「なに……」

 そのまま兵士は、治療師に手当してもらっているユーリを見た。

「――もしかして、にやられたのか?」

「へっ?」


 違うと言いたかったが、横にいたビレルの尻尾がユーリの背中を軽く叩いた。

 黙ってろという合図だ。

 なんだか面白くないが、仕方ないので口をつぐんだ。


 勝手に勘違いした兵士は、怒りを押し殺した感じで、今度は係の男に管理室について来るように言った。

 男が怯えながら警吏たちを振り返ったので、ギュンター達も一緒について行くことにした。


 ホールには他にも数人の兵士たちがいて、閉まっている売店の中を覗いたりしていた。

 どうやら他に人がいないか調べているようだった。


 彼らもみな同じ紋章。

 この『マターファ』や『アジーレ』のダンジョン他、『バレンティア』等の町を含むここヤルヴェラ地区を統治している『ヤルヴェラ子爵』のもの。

 つまり地元領主の軍隊のお出ましだった。


 ビレルが言うには、外の大扉前や番小屋に誰もいないのを確かめているところへ、彼らが駆けつけて来たという。

 彼らもここからの連絡がないことを危ぶんだ子爵から、直々に命を受けて来ていた。


「え、大丈夫なのか? こっちに兵を寄こして。

 子爵様、よりによってアジーレの責任者でもあるだろ?」

 ギュンターが兵士に聞かれないように、小声で話した。


「だからだよ。

 万が一、こっちでも何か起こってたりしたら、それこそヤバいだろ?

 それで自分の直属の近衛兵達を、少数だけど動かしてきたんだよ」

 ざっと近衛兵たちは10人近くいるようだった。

「それにあのアジーレの状況を見れば、よそ者に任せておけない気になるぞ」

 キムも屈んできながらそっと囁いた。


 管理室のファクシミリーは故障してはいなかった。

 だが、そこに印刷された伝書は一枚もなかった。

 何故なら紙が1枚もセットされていなかったからだ。


「そ、そんなっ、あっしはちゃんと入れておいたのに……」

 兵士に睨まれて係の顔色が一気に青ざめる。

「そうだよ、追い出される直前に1枚送られてきたんだぁ。そん時にはたっぷり入ってたよ。本当だぁっ」

 体を震わせながら係が更に弁解した。

「――あの兵隊さん達宛てらしくて、見せてもらえなかったけど……」

「ああ?」


「ん、なんか燃やした跡があるぞ」

 新しい焦げた臭いに、ビレルが暖炉の前で屈みこんだ。


 いま時分、暖炉はあまり使わない。だから置かれていた薪は新しかった。

 その焦げ目の無い木片の上に、黒い灰が乗っていた。

 木屑とかではない、何か紙片の――。 

 黒くクシャクシャな形状になっていたが、ほんの端の部分だけ一文字読み取れた。


 それは『3』の文字。

 送信元の用紙の縁に元々印刷されていた独特なロゴマーク。

 13分署の『3』だった。


「あいつらっ! 隠ぺいしやがったなっ!」

 これにはさすがに温厚なギュンターも頭に来たようだ。

 鼻の頭に強いシワが寄り、口から歯茎ごと牙を見せる。


「だからイケ好かねぇと思ってたんだ!

 ウチのカミさんの危機まで隠しやがってっ。絶対に許さねぇっ!」

 後からやってきたユーリも、どさくさに紛れて言っているが完全な私怨である。

「取っ捕まえて、『*審判の火』の前に引きずり出してやるっ」

(*『審判の火』 ここでの裁判のやり方の1つ。嘘をつくと体を焼く魔炎のこと)


「やっぱり、あの田舎貴族どもっ! 何かやらかすと思ったんだっ!!

 この国家的有事の時に、信書隠匿どころかこれは反逆罪だぞっ!」

 2人に呼応するように、さっきの兵士も声を荒げた。

 どうも地元の子爵と外様とざまの伯爵。色々と確執があるようだった。


 巨人も負けじと大声を上げた。

「そうだっ! よそ者なんかに大事なおれ達の町を任せられるかっ!」

「「「「「 お、おぉう! 」」」」」

 いつの間にか地元の団結が出来てしまった。


「で、奴らはどこ行ったんだ?」

 あらためて訊かれたが、ギュンター達にも分かる訳がない。何しろ治療室のドアは完全に閉めてしまうと、外の音が遮断されてしまう。

 もしもの場合の時に備えて、見た目より頑丈な作りになっていた。


「これはなんだ?」

 奥の転移室のドアを調べている他の兵が、鎖をガチャつかせた。

 その転移魔法陣のある部屋のドアには、ガッチリと重そうな鎖が巻き付けてあった。取り付けられた錠前には、びっしり魔法式が刻まれている。


「あー、そう簡単には外せないと思うが、下手に開けない方がいいぞ。

 伯爵の親衛隊たちが、罠を仕掛けていったからな。

 鍵はあいつらが持ってるはずなんだが……」

 鎖を外そうとしている兵士に向かってギュンターが忠告した。

 兵士は慌てて手を引っ込めた。 


 外にもいない。管理室にもホールにも。

 となると――

 

「おーい、下の部屋、閉まったままだぞ」


 ユーリ達があらためて管理室を調べている最中に、別の兵士が階下に行っていたようだった。

「ダンジョン側のドアが開きっぱなしになってる。だからこちら側のドアが上がらない」


 ダンジョンとこちらを繋ぐ中間部屋のドアは、両方が同時には開かないようになっている。

 だから奥のドアが解放されていると、中に入れないのだ。

 しかもレバーが内部からロックされていた。


 係に管理室から中間部屋のドアを操作させて、兵士2人と警吏達は階段を降りた。

「中は覗けるのか?」

 足早に降りながら、下から呼びに来た兵士に、始めに治療室で声をかけてきた兵士が問う。

 どうやらこの隊の指揮官らしい。

「はい、誰もいません」


 階段下にもう1人の兵士が待っていた。

「一応、ガスや変な匂いはしないようです」

 中間部屋の防衛装置が働いた形跡はないようだった。

「確かに」

 ユーリ達も、覗き窓の辺りを軽く嗅いでから中を窺った。


 小さな小窓から見える部屋の中は、黒っぽいレンガの隙間から弱い光が洩れて、内部を照らしている他、突き当りの壁の戸が閉まりつつある以外、動くモノは見えなかった。

 奥のドアが閉まり始めたので、手前の一枚目のドアがやっと動き始めた。


 ドアの左側にギュンターとユーリ、右側にキムとビレルが身を隠すように壁に張り付く。

 ドア正面に立ったままの兵士たちが一瞬、左右に目をしばつかせた。


 小窓からでは、窓のすぐ下などが死角になる。

 何かが潜んでいても分かりづらい。

 市街戦をしている者と、主に開けた場所で戦う者との意識の差が出た一面だった。


 重い石扉が上がって、鉄格子が見えてくる。確かに正面には何も見えない。

 横から見ても何もいそうになかった。


「せっかくだからお先にどうぞ」

 ユーリがすました顔をして、手で兵士たちに先を譲った。

 横にいる巨人族のキムを見上げながら、ちょっと片眉を上げつつ、兵士たちは先に部屋の中に入っていった。


 兵士たちが入って5秒経ってから、警吏たちも中に入った。

 ただしキムとビレルは外に残った。


 手前の戸を降ろしながら、今度はダンジョン側の戸を動かす。

 戸が開き切る間に、中に入った2人の警吏は部屋の中の匂いを確認した。


「あの兵隊たちは、ここにしばらくいたようだな」とギュンター。

「ああ、あの親衛隊長も来てるな」

 ユーリも頷く。

あいつ親衛隊長の付けていた、麝香じゃこう系の香油の残り香もある」


「我々の本隊にも亜人はいるが、その嗅覚にはいつも感心するな」

 指揮官の兵士が本当に感じ入ったように肩をすくめた。

「いちいち全員の匂いを覚えてるのか?」

「特徴のあるのしか覚えてねえよ。それにこれは体臭じゃないぜ」

 ユーリが説明した。


 2人が嗅ぎ分けたのは、親衛隊たちの鎧の匂いだった。

 プレートアーマーの手入れに使う、仕上げ用の油。

 あの伯爵の親衛隊たちは、錆止めに上等なオリーブオイルを使っていた。


 このダンジョンに来るような、一般的なハンター達が使うような安物の油ではない。

 いま目の前にいる兵士たちの使っている、これまた質の良いオイルともクセが違っていた。

 ベーシス基本型人種には無臭に思えるほどでも、彼らにはハッキリと感じることが出来た。

 それがこの部屋とダンジョンの入り口から漂っている。


 通路の見た目は何も変わらなかった。

 暗いT字型の通路に、松明の明かりが届くところだけが、赤く揺らいだ光に浮かび上がっていた。


「ふぅん、腰抜けだと思っていたが、どうやらここまでは入れたようだな」

 正面の通路を数十メートルほど歩きながら、ユーリが呟いた。

「ああ、1人2人じゃなく、10近くは通ったようだな」

 仄暗い空間にギュンターも鼻をヒクつかせる。


「では、奴らは奥にいるのか? 自分たちの手で直接凶賊を捕まえようと」

 薄気味悪そうに通路の奥を見ていた兵士が振り返った。

「そこがよく分からない。

 あいつら、ここにいた人間を使って賊を炙り出そうとしてたのに、なんで入っちまったんだろう?

 しかも外にも番を残さずに」

 ユーリが首を擦った。


「なあ、とりあえず一旦出ないか?

 なんかちょっと妙だぞ」

 左の奥から大柄な警吏が、辺りを気にするように戻って来た。

「昨日とはなにか、気がするんだが」


「……そうだな。ここじゃが、確かにほんのり残ってる」

 闇の中で光る眼を動かしながら、もう1人の警吏も答えた。    


 警吏達の言葉に、兵士ベーシスたちも同意せざるえなかった。



  **************



 この約1時間近く前、 伯爵方の親衛隊責任者ヘルマンは、管理室にて難しい判断を迫られていた。


 王都の危機よりも重要なことがある。

 それは彼の頭の中で絶対だ。

 恐らく他の兵たちも同じだろう。

 我が君主の仇は、万難を排しても必ずや捕らえなければならないのだ。


 だが、反逆の罪にでもかけられるようなことになってしまったら、それこそ本末転倒だ。

 自分たちの罪はあるじの罪にもなってしまう。

 それでは元も子もなくなる。

 どうにかして非難されずに、この任務を遂行しなければならない。


 それにはまず、この近地の非常事態を知っていてはいけないのだ。

 愚かな行動もこの時ばかりはやむを得ないのだ。

 しかしどうこの問題を回避したらいいやら……。


 ファクシミリーからは、あれから立て続けに伝書が送られてきた。

 2度目の管理組合からの伝書には、アジーレの災厄の状況が事細かに書かれてあった。

 警監視局(こちらの警察署)からは同じような内容以外に、王都や近隣からハンターや魔導士、そして軍隊が派遣される旨を連絡してきた。

 当たり前だが、軍の出動はもう免れそうになかった。


 再び燃やそうとして、この量をさすがに床に撒くのはよくないと気がつき、暖炉に放り込んで燃やした。

 なのに返信を催促するように、ファクシミリーからまた紙が吐き出されてくる。

 イライラするっ!


「おいっ その間抜けな装置から、さっさと紙を抜いとけっ!」

 そうだっ。

 この装置に元々紙が入ってなければ伝書は印刷されない。

 連絡が来なければ、この非常事態を知りようがない。


 少し顔の皮膚が緩んだ気がしたが、すぐに引き攣った。

 こちらから連絡がなければ、いずれは誰かが調べに来るだろう。

 ほんの時間稼ぎにしかならない。

 しかもいつかはコトが公になる。

 その時どうなることか――――――


 その時だった。

 管理室に興奮気味に、係の男が駆け込んできた。

 下に兵士と一緒に待機させておいた男だった。


「女がっ サーシャが現れましたっ!!」

「「「「「ナニッ!?」」」」」

 その場に居た全員に緊張が走った。



 ダンジョンとこちらの境にある地下一階の中間部屋。

 そこには10人の兵士と1人の係が詰めていた。

 ダンジョン側のドアは開け放されていて、薄暗い闇が口を開けている。

 

 ドアの開閉などの操作と連絡のために、1人残された係の男は、このピリピリした雰囲気で押し黙っている兵士たちの中で、どうにも居たたまれなかった。

 部屋の中に目を向けると、どうしても兵士と目が合ってしまいそうなので、自然とダンジョンの方を眺めていた。

 

 薄暗がりをずっと見ているせいか、微かに揺れる炎の作る影が、時折人影のようにも見えた。

 実際に、たまに奥からコッソリとこちらを窺う人の影が、何度となく顔を出した。

 ダンジョンの奥に追いやられている一般人が、落ち着かない様子で見にやって来るのだ。

 

 本当に申し訳ないが、おれっちも命令されてやってるんだ。

 頼むから睨まないでくれよ。

 チラチラとこちらを盗み見る、恨みがましい顔を何度見た事か。


 ふと通路の奥、十字路の松明の傍に人影が立った。

 そんなに何度来ても同じなのに。


 しかし先程から来るオドオドした様子とは違い、ソレはゆっくりではあったが堂々と前に出てきた。


 しなやかに歩む長いすらりとした脚が、闇から浮かび上がって来る。

 服のラインの上からでもわかる、美しい曲線で描かれた腰、形よく隆起した胸。

 そして揺れる銀髪と赤紫の髪――――


「ひゃ……」

「「あっ!」」

 係の声に他の兵達も向き直った。


 揺らめく赤い明かりに照らされて、闇の中に美しい女が立っていた。

 魅惑的な唇を微かに動かし、何かこちらに声をかけた。

 クスっと笑ったように口元が動くと、女はクルッと向きを変えた。


「おいっ!!」

 係を除く全員の兵士が、脱兎のごとく動き、闇の奥に消えた女を追うためにダンジョンに飛び込んだ。


「貴様はすぐに上に報告して来いっ!」 

 最後に飛び出そうとした兵士が、固まっている係に怒鳴った。

「サーシャが現れたとっ! 早く行けっ」

「へ、へぇっ!」

 けつまろびつ、係は階段を駆け上がった。



「直ちに我々もダンジョンに向かうっ!」

 ヘルマンは声高に叫んだ。

「とうとう女狐が焦れて姿を現しおったっ!

 この千載一遇の機会を逃してはならんっ」


 そう、このタイミングで現れるとは、何という僥倖ぎょうこう

 ここにいなければ、伝書を見る事は出来ない。

 我々は通達を知る術がなかったと言い張ればいいのだ。

 きっと神が我々に手をお貸しくださったのだ。

 ヘルマンは高揚する頭で神に感謝した。


 調べればすぐに露見する、単純な虚言などということが何故かわからなかった。 

 いやこの時、動揺と極度の興奮が入り混じって、正しい判断が出来なかったのだ。


「貴様も来いっ! 万一の時のためにドアを操作しろっ」

 解放されると思ったのも束の間、係の男はまた奈落に連れていかれた。


 中間部屋に入るや、ドアの開閉のスピードに何度も係は殴られそうになった。

 それほど彼らはいきり立っていた。

 だからこれが罠だという事を、誰も考えもしなかった。


 念のために4人だけこの部屋に残し、ドアがダンジョン側から開かないように係に操作させておいた。

 しかしそのような小賢しい真似も無駄に終わったという事だ。


 何しろ警吏達が降りて来た時、彼らの姿はもうどこにもなかったのだから。




  ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 正月もとっくに過ぎてしまいました💧

 今回、なかなかまとまりがつかず、更新が遅くなりました(~_~;)

 今後も時間がかかっても必ずや更新いたしますので、

 今年もどうか宜しくお願い致します。


 次回はやっとですが『4層』に行きたいです。

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