第179話☆ それぞれの思いと思惑


 今回、なかなかまとまらなくて、更新が遅くなってしまいました。

(;´Д`A ``` 危なかった……ナニガダ?


 作中に不快な表現がありますが、その人物のニュアンス等を表したい為、ワザと使っております。

 どうかご留意ください。



  ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 奴のせいでまたとんだ目にあった。

 

 あれから計7体のハンターが土中から現れてしまった。

 合計8体のダンジョンズ ハンター。

 その内、俺が倒したのは始めの1体だけ、後はヨエルが全部倒した。


 当たり前だが、俺が全部対処できるわけないと切り替えたウチのバカが、ヨエルに指示をしたのだ。

「よし、ちょっと数が多いようだから、ヨエル、お前も補佐してやれ」

「了解っ」

 すぐさまスリングショットを右手に持ち替えたのだが――


「ソレを使うな。蒼也がまだ出来ないモノ使っても意味ないだろ。

 やるなら剣か風の力にしろ」

「え……」

 一瞬驚いたような顔をしたが、奴の無茶ぶりが分かってきた彼はすぐに諦めたようだ。

 紐を仕舞うと、腰のバスターソードを抜いた。


 俺はというと、目の前で鍔迫つばぜり合いしているハンターの外面から、徐々に内面に力を移動させていた。

 少しづつ外枠を縮めていくように、血管のように伸びているエナジーの広がりを小さくしていく。

 そうすると、その先に広がる外面も小さく引っ込んでいくのだ。エネルギーがいかなくなるからだ。

 そうやって少しづつ動く『核』に近づいていった。


 なんとか掴んだ『核』はさすがにエネルギーの塊り。

 ビクンビクン、ブルブルと生きの良い魚のように、俺の触手の中で力強く動いた。

 それをなんとか逃げられないように押さえ込みながら、圧を上げて握り潰した。


 もう高血圧だったら、頭の血管の1つや2つ切れたんじゃないかと思うほどの力を入れて、やっと“グシュッ”とした手応えがあった。

 でもまだ気を抜けない。

 完全に動きが無くなるまでやらないと、復活しそうだった。


 ヨエルの方は、その頃にはもう出現した7体をやっていた。

 奴にスリングショットを禁じ手にさせられたので、主に先程のように空気弾を使っていた。

 不定形な相手に、接近戦はなるだけ避けた方が良いからだが、これは結構力のいるやり方なのだ。


 森羅万象には相克や相性というものがある。

 よく言う『水は火に強く、火は木に強い』とかいうやつだ。

 絶対とは言わないが、『土』と『風』だと、どちらかと言えば『土は風に強い』になるようだ。

『土』が『風』を塞ぐからだそうだ。


 ただそれは同等の力の場合のこと。

『焼け石に水』のごとく、『火』が『水』に勝ることはよくあることだ。

 

 ヨエルの『風』の力はハンターより強い。

 先程レッカを襲ったハンターも、空気弾で核を破壊した。

 だけどなるべくなら道具を使おうとしたのは、余計に魔力を使うからだ。

 通常なら10の力で済むところを、相性が悪いと15や30になったりするのだ。

 そこに持って来て相手はただの土ではない。魔法耐性のある疑似魔生物なのだ。


 しかもハンターは土中を、まるで水中のピラニアのごとく移動してくる。いきなり足元に現れるかもしれないのだ。

 俺のまわりだけは奴が防御壁をかけていたようだが、防御圏外の彼は、いつどこからか現れる敵の動きを集中してうかがっていた。

 俺がやっと最後のエナジーの動きを止めた時に、彼は7体目を剣でぶっ刺していた。


「そっちもやっと終わったか……」

 まだあたりに触手で探りながら、剣から土を払いながらヨエルが戻ってきた。

 俺がなかなか倒せないから、仲間を呼び続けていたのだ。

 すいません。やっと終わりました……。


 さすがに疲れたらしいたヨエルも、座りはしなかったが膝に手をついていた。

 そういう俺はくたびれ果てて、地面にベッタリ座っていた。

 そんな俺達を見て

「うーん、まあ良しとするか」などと、バカザメがほざいた。


「時間がかかり過ぎたが、まあ初めてだからしょうがないか。

 これでなんとなくやり方は掴めたか? 次は始めっから『核』を狙えばもっと楽に出来るぞ」

 奴があっけらかんと言う。


「……そ、そう言う事は、先に、言えよなあ」

 俺はすぐに言葉で出なかった。息を詰めるぐらい力を込めていたからだ。

「でも、そうやって身を持って体験した方がわかるだろ?」

 奴がニヤニヤしながら言う。


「あんた、言っとくがモノには限度ってもんがあるんだぞ。

 せっかく師匠が手本見せてくれても、ちゃんと見てる暇ねぇじゃねぇか!」

 そう、そんなじっくり観察してる余裕なんか無かったのである。

 そんな事は分かっていたのか、ヨエルはため息を1つついただけで、リュックから魔力ポーションを取り出した。


「……旦那、確かこの兄ちゃんを泣かさないようにって話じゃなかったか?」

 ポーションを飲みながらヨエルが言った。

「これじゃ怯えさせないどころか、軍隊の強化特訓レベルじゃ……」


「ああ、だけどコイツは別に涙を流したりはしなかっただろ?

 泣かすのはダメだが、過保護もダメだ」

 奴が眉をワザとらしく上げてみせた。

 ヨエルが驚いたのか呆れたのか、口を半開きにした。きっと理解不能というか、なんじゃそりゃあ?! という思いだろう。


 毎度ながら奴の勝手気ままなやり方に、俺も腹が立った。

「こんの野郎っ!! てめえの基準でかンがァぇっ ケッ フォッ ハッ!」

 つい過呼吸になってむせてしまった。


「しょうがねぇなあ。じゃあ次はひとまずお前は見てるだけにして、アイツにひと通りやって見せてもらうか。

 とりあえず魔力は使わないやり方で」

 俺の頭に手を乗せて回復させてきながら、奴がヨエルの方を見た。


「げほっ……! ちょっと勘弁してくれ……」

 師匠がポーションでむせた。



  **************



「ポー、また何処に行くの?!」

 うっかり目を離すと、違う方向に行きそうになる山猫の尻尾――いや、触手を掴みながらパネラが注意した。

『ミャアアァーー』

 それに対してちょっと抗議するようにポーが啼き返す。


「しょうがないかな。こんなにネズミ臭いんだもん。本能には逆らえないよ」

 エッボが鼻を鳴らしながら言った。

 

 2人と1匹がやって来たのは3層。1層とはまた違った植物地帯になっている。

 そうしてそういう場所には小動物が多い。

 ここにはモモンガや虫・鳥類以外に、ノズスという中くらいのネズミもいるのだ。

 しかもこのエリアのあちこちにいるようで、さっきからポーがソワソワと落ち着かないのだ。


 あれからなんとかパネラがポーを捕まえて、抱えながら落とし穴を滑り降りた。

 勢いがついたが、エッボが保護をかけてくれたので、不快感は感じなかった。

 ただバウンドした途端、ポーが軽くパニックを起こして、エリア内を走り回ってしまったが。


「それになんだか、嫌な臭いがする。これじゃまるで――」

 顔をしかめたエッボが地面に何かを見つけて急にしゃがみ込んだ。

「パネラ、これ」

 そう言って拾い上げたのは、赤茶色のボロボロになった布だった。

「それってあの子の――」

 それはレッカが着ていたベストの変わり果てた姿だった。


「いや、待ったっ! まだやられたとは限らないよ」

 妻のオーラが、怒りと絶望がない交ぜになって、熱い炎のようになってきたのを感じた夫が、慌てて説明した。


「これ、確かにネズミ達にやられたみたいだけど、レッカの血の匂いがしないんだよ。付いてるのはノズスのだけみたいだし」

「え、じゃあまだあの子は生きてるっていう事?」

「そうだねえ、その可能性はあるんだけど、なんだか嫌な奴に似た臭いも残ってるんだよねぇ」

 エッボがそう言いながら、また辺りを見回すように匂いを嗅いだ。


 確かにそれはパネラも感じていた。

 草むらの所々に、黒い土が付いている。それが腐葉土というか、カビくさい湿った臭いを発していた。

 しかし思いつくソレは、こんな中層には出て来ないはず。

 それにもしソレ――ハンターが現れたのだとしたら、こんな土があちこちに残っている訳はない。

 ハンターは土の魔物だが、その土全てが細胞として活動している。

 だから移動しても、ただの水とスライムの違いのように、体の一部を落としていくような真似はしないのだ。

 

 もしも、こんな風に残していったのだとしたら、それはハンターが破壊された時だ。


 そんな事を考えていたら、また目の前でポーが地面をガリガリ堀り出した。

「ポー、今は止めて。ネズミを追ってる場合じゃないのよ」

 下にネズミの巣でもあるのだろうか。パネラは思った。


「んん、ここでまた隠蔽を使ったのかな。またレッカの匂いがここで消えてる。

 しかもついさっきのようだよ」

 隣の区画との亀裂を探っていたエッボが、ポーの近くで一緒に匂いを嗅いだ。

「え、ここで? ……まさかハンターに連れてかれたんじゃ……」

 

 当然のことながら、レッカが警吏たちと地面に潜っていった事なぞ、彼女たちは知らない。

 途切れた匂いの形跡とポーの様子に、更に最悪の様子を想像してしまう。


「分からない。ただこの地面には直接、ハンターが通った臭いは残ってないんだよ。

 ただ、別の人間が同じ頃いたような……」

 エッボが地面に鼻をつけながら言った。

「もしかしてそいつらが、あの子を連れて行ったとか?」

 パネラの眉間に、何もかも分からないイラ立ちが現れ始める。


「ううん、断言できないけど……。

 ああ、うん、ただ分かる匂いがあるなあ」

 エッボが立ち上がりながら言った。

「ほら、上であった、異邦人。あいつの匂いもするんだ。

 しかもこれにもしっかりと」

 手に握ったベストの切れ端を目の前に出した。


 

  ************** 



「今日はなかなか良い経験したな」

 サメだけが何故か嬉しそうに言った。

「……経験って……そりゃあ、レッカを助けられて良かったが、最後ので思い切り疲れたぞ」

 まったく、人助けの喜びを味わう暇もない。


 あれから俺達はまた2層を目指して、スロープの通路を上がっていた。

 ひとまずハンターが収まったのに、奴がまた呼びそうだったから、『そろそろ夕メシにしないか』と俺が奴の気をそらしたのだ。

 それで奴も酒のことを思い出したらしい。


「そうだった。ちょうど外もそんな時間だな。

 ちょうど飲み頃の*『ビッヘボアの酒』を仕込んできたんだった。

 ヨエル、お前も飲みか?」(*『第73話 ギトニャの町のガラクタ市』参照)

「え、そりゃあ飲むけど……その『ボア酒』って、ここのダンジョン酒にはなかったような……」

 ヨエルが首を傾げた。


 それはおそらくギトニャの宿屋の酒だろう。

 こいつはダンジョンのホールどころか、他所の町まで出張してきやがった。


「いいじゃねぇか、どこのだろうと。酒は旨けりゃそれでいいだろ」

 ……うん、まあそうだな……と、ヨエルは考えるのを止めたようだ。


 とにかく場所を変えることにした。

 基本、ハンターは4層以下からなので、いったん消えてしまえばもうやって来ないらしい。

 だから奴もヨエルもここでも良かったようだが、さっきのネズミといいい、土のお化けといい、俺が落ち着かない。

 それに俺が初心者という事もあって、また2層に戻ることになったのである。

 あそこならここより危険度が少ないということで。


 どうせならいっそのこと1層まで戻りたかったが、それじゃただの森と変わらないと一蹴された。

 ただの森だって野宿なんかした事ないのだが。

 でもあの変態ハゲと遭遇するかもしれないから、しょうがないか。

 

 上に向かう穴はヨエルが見つけた。

 見つけるコツは『上層に向かう』という意識なのだそうだ。そう考えていると、自然と上向きの穴や坂に遭遇するのだという。


「ダンジョンはな、何も命を摘むだけが目的じゃないんだ。末永くエネルギーを発してくれる生命も大事なんだよ」

 前を歩くヨエルが言った。

「迷宮は特にに反応するから、上に行きたいと思えば、自然と上に行く道が開けるんだ。内部を移動するだけなら、大抵は自由にさせてくれる。

 だからそういう楽な気持ちで動いた方が上手くいくんだよ」


「でも、それだったらレッカは? 彼はダンジョンに呑まれそうだったけど、必死で上に行こうとしてたんですよね?」


「それは『外に出たい』とか、『怖い』とかいう意識を持ったからだ」

 奴が言葉を継いだ。


『殺食』と『畜食』という言葉がダンジョンにはある。

『殺食』はそのまま、殺して食うことだが、『畜食』というのは『畜産』同様、ダンジョン内部で家畜えものを棲まわせながら、その生命エネルギーを持続して喰うことである。


 あのハンターは『殺食』もするが、奥の層の家畜が少なくなったり、中心近くでエネルギーを得ようとした場合、獲物をより奥に攫って行く役目もしていた。


「家畜がもし、逃げようとばかり行動してたら、お前人間たちだってソイツを殺処分にするだろう?

 アイツはここから逃げようと考え過ぎたから、ダンジョンが追い込んだんだ。

 せっかく入ってきた獲物をみすみす逃すわけないだろ」

 奴が牙を見せながら言った。


「旦那、あんまり脅かさない方がいいよ」

 ヨエルがこちらに振り返った。

「兄ちゃん、そんなにビビらなくても大丈夫だよ。

 あの若造はパニックになったから、そうやって呑まれそうになっただけだ。

 例え外に出るつもりでも、また来る気でいるつもりなら、ダンジョンは基本深追いしないよ」


「そうだ。餌はなるべく太らせて喰った方がいいからな。

 それと同様、出来るだけ長く生かして、エネルギーを絞り取った方が利口だ。

 一度安全だと思えばまたやって来るからな」と奴。

 あんたが言うとどうしても、二度と入りたくなくなるんだが。

 本当はこいつがダンジョンをプロデュースしたんじゃないのか?

 

 今日はこれでなんとか無事に終わるのだろうか。


 そんな事を思いながらスロープを上がっていくと、また灰色の壁に亀裂が見えてきた。

 


  **************



 あいつ……、1層にいたゴロツキ。

 

 小柄な影のフューリィは、茂みの向こうをうろつくスキンヘッドの男を覗き見ていた。

 それは2層の落とし穴から逃げて来た、あの小悪党ベールゥだった。

 

 確か4人でつるんでいたんじゃなかったか? 他の仲間はどこかにいるのか。

 フューリィは聞き耳を立てた。


 だが、時折風が葉を揺らす音、虫の立てる羽音、遠くの鳥らしき鳴き声以外、話し声はおろか人らしきモノの気配は感じられない。

 目の前の、どこかオドオドと辺りをうかがいながら、剣で茂みや樹の後ろを警戒している大男以外は。


 ふん、もしかしてこいつ、仲間とはぐれたか? この落ち着かない様子からしてそんな気がする。

 だったらいい気味だ。

 大きな体を前に屈めながら、おっかなびっくり歩いていくハゲの男に、小柄な男は蔑みの眼差しを向けた。


 上では仲間と一緒に、ヘラヘラと厭らしい笑い方をしていやがったのにザマアないぜ。

 ふと、フューリィの軽蔑で上がっていた口元が下がった。


 こいつ、なんだかおいらの親父に似ている。


 あの脂ぎった禿げた頭に、いつも嫌らしい笑いを浮かべていた男。

 お袋を暴行し、おいらをこの呪われた体にした男。

 



 フューリィの母親はリトルハンズの奴隷だった。

 彼女を買ってきた売春宿の主人は、もちろんすぐに商品の味見をした。

 通常は、望まれざる妊娠を防ぐために避妊させるのだが、この時の男はかなり酔っていた。

 面倒だし、たった1回くらいなら当たりゃしない。

 もしそうなったらすぐに分かるから、すぐに処置すればいいだけだ。


 そう、リトルハンズとヒューム。

 男はベーシス系とはいえ、それほど背の高い方ではなかったが、相手は小人人種なのだ。

 その種を宿すには体格的に無理がある。

 それにもし妊娠すれば、その急激な下腹の変化から見逃しようはずもない。


 けれど、どうした運命のイタズラか。

 彼女の腹は目立たなかった。少し太ったかと思われたぐらいの変化しかなかった。

 そうして3カ月と19日後、彼女はネズミのように小さな男の子を産んだ。

(リトルハンズの妊娠期間は、ヒューム系より短い)


 男はいつの間にか彼女の腕に抱かれた、小さな命にも驚いたが、もっと目を見張らせたのは、その赤子の左肩に自分と同じ青紫色の痣があったことだ。

 それははっきりと男との血の繋がりを示していた。


 それから変わらぬ日々が過ぎた。

 自分の子供を宿した女とはいえ、奴隷は奴隷。

 他の商品と同じ扱いで、不満があれば殴る蹴るの暴力は変わらなかった。

 ただ、子供を育てることは許していた。


 ――と、思っていた。


 ある日、いつもと変わらない一日が始まると思っていた朝、ほんの思い付きのようにフューリィは売られていった。

 彼はやっと6歳になっていた。

 ベーシスの血を継ぐ彼は、純粋なリトルハンズよりも成長が早く、体も大きくなる。その頃、母親よりも背が高くなり始めていた頃だった。


 男は彼が、自分の血を受け継ぐ者だから放っておいたのではなかった。

 ただ、売れるくらい大きくなるのを待っていただけなのである。


 かの母親も、さすがに自分の子を売るとは思っていなかったようだ。

 それに男は彼女に、子供は何処にもやらないと嘘を平気でついていた。

 そのことは男の足に縋りつきながら、必死に哀願する母親の絶叫でわかった。


 それが母親の姿を見た最後となった。 


 むろん今、目の前にいる男が父親ではないことは、フューリィにも十分わかっている。

 もしも生きていたら、とっくにヨボヨボのジジイのはずだし、もう当の本人はこの世にいないのだから。


 だが、似ているというだけでいい。

 あいつにちょっとでも似ているという事、それだけで断罪すべき罪なのだ。


 フューリィの胸の中に、どす黒い憎しみが湧きあがってきた。


 どうしてやろう、この男……。

 幸いまわりに誰もいないようだし、まず足の腱を切ってやって、動けなくしてからゆっくり刻んでやるか?

 それともあの花粉採りのマスクを被せて、直接『ディセオ』の根を絡ませてやろうか。幻覚を味わわない分、肉に根がゆっくりと侵入してくるのを余すことなく体感できるぞ。

 あとは――――

 小柄な男は、思わずおおっと声を上げそうになった。


 天啓が降りてきた。

 どうせこれから姉御と下層に行くことになりそうなのだ。

 だったら丁度いい。こいつは『贄』に使える。

 それに万が一、下に行かなくてもこいつ1人、どうとでも出来る。

 

 フューリィはニンマリした。

 じゃあそうと決まれば、ちょっと遊んでやるか。

 

 彼は隠蔽を解くと、ベールゥに声をかけた。




  ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



ああ、あともう少しでこの長い一日が終わりそうです。

次回か、もしくは次々回にはこの第1日めを終わらせ、

もっと濃い2日め――XDayを早く描きたいのですが

なかなかエピソードの順番が回ってこないところでございます( ̄▽ ̄;)

こんなんですが、どうかもうしばらくお付き合いくださいませ。

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