第55話 ギルドの売店で買い物する


 部屋には、さすがにもう猫はいなかった。

 開けといた窓から出て行ったようだ。あらためて異世界の猫の身体能力、凄いなと窓から首を出して思う。

 ここ3階なのに。


「そのうちお前も平気で出来るようになるさ」

「どうやってだ? 猫に変身でもするのか」

「そのための訓練を、あのリトゥを使ってするんだ」

「ああ? 何すんだよ?」

「まぁ楽しみにしてろ」

不安しか湧かないぞ。


 時計を見ると8時17分だった。

 今日はどうしよう。

 昨日は結構ハードな1日だったから少しのんびりしたいな。

「今日でこの宿最後だな。どうする、また連泊するのか?」

 あっうっかり忘れてたけど今日で7日目か。明日また更新しないといけないのか。

「………いや、明日は別の宿に泊まろう。ちょっと気分変えたいし」

「いいのか?」


 そう、別にここに彼女がいるから居づらい訳じゃない。他にも色々見て回りたいからだ。

 決して失恋したからじゃない。

 あれは彼女に伝える事もなく消えた、ただの独りよがりな片思いだ。

 恋としても育たなかった……。


 俺はパンッと両頬を張った。

「痛ってぇっ! やり過ぎたっ」

 力入れすぎた。我ながらダブルビンタが痛い。

 うわっ 凄い腫れてきた。


「何やってんだ、お前は」

 奴が少しあきれ顔で言ってきた。


「ちょっと気合入れてみた、痛ぁ……。今日はさ、街でもぶらつきながら明日の宿探すのはどうだろう」

「別に構わんが……今度気合入れる時はまんべんなく身体強化しろ。手だけに力入れると自分を傷つけるぞ」

 ううっ、うっかり手だけ強化しちゃったみたい。傷はみるみる治っていくけど、口の中切っちゃって血の味がする。


 なんかスキルも諸刃の剣だな。

 まずは水も補給したいし、商業ギルドの宿情報でも見に行くかな。


 昨日は風呂に入ってないのでシャワーを浴びにいく。

 ここも今日で最後かと思って、あらためて隅々を眺めていたら、奥の角に誰かがナイフか何か鋭いもので、削って書いたらしい落書きがあった。

 タワシか何かで消されかけたらしく、薄くなっていたが『我ここにあり R』と読める。

 名前書いたらバレちゃうからな。

 しかしこんなトイレの落書きみたいな事して……。

 

 土魔法で直してやろうかと思って手を止めた。

 このR氏は宿に泊まったということは旅人だろう。

 下手すれば戦場より危険なこの世界を旅して、ふと立ち寄った宿の壁の隅っこに落書きを残す。

 宿にしてみたら迷惑だが本人とっては生きた、ここに存在したという証なんだろうな。

 俺もちょっと目立たないとこに書いちゃおうかなと思ったが……。やめとこう。


 さて、いつも通り広場で水をペットボトルに一杯にしてもらって、商業ギルドに行こうとした時、思い出した。

 そうだった、昨日倒したゴブリンがいたんだ。

 空間収納とはいえ、死体をいつまでも持っているのは気分が良くない。

 まずはハンターギルドに行く事にした。


 1階買取所のカウンターはちょうど埋まっていた。

 真ん中で客? に応対していたドルクが俺を見て「ちょっと待っててくんな」と声をかけた。

 その右手側で深緑色の髪をした若者が、別の持ち込み客に内訳を説明している。

 あの時、リリエラと一緒にいた男。涼しげな目元の24,5歳くらいのいい男だと思う。

 悔しいが俺なんか見た目から太刀打ちできないな。せめて彼女を泣かさないように大事にしてほしい。


 俺の番が来て呼ばれた。

「今日はこれなんですけど」とカウンターにゴブリンの頭だけ出して見せると

「おう、ゴブリンか。ちょっとデカそうだな。ちょっとまたこっち入ってくれっか」

 また倉庫に通された。


 手前の台の上にゴブリンと持っていたメイスを出す。

 あらためて見るとカツラ被った緑色のゴリラみたいだな。

「ほぉっ ホブゴブリンだな。これもまさかこの近くで獲ったのかい?」

「いえ、これは黒い森……ここから山を3つくらい越えたとこで遭遇しました」

「3つ……。兄ちゃん結構遠くまで出歩くんだな。早馬でも難しそうだが、転移でも使ったのかい?」

「えと、ご想像にお任せします」


 ドルクのおっさんはひと通りゴブリンの体をあらためていたが

「これも目立った傷はないようだが、毒とか使ってないよな? 毒を使われちまうと食用にまわせないからな」

 とりあえず食用に出来るかどうかなどで値段が変わるので、鑑定などしてから解体するらしい。

「あっ そういやこれもいいですか?」

 これもあった。採ってきたブラックオパールの原石も出した。

「へぇー これも採ってきたのかい。こっちはちょっと鑑定に時間かかるけどいいかい?」

 もちろんオレに異存はない。預かりプレートだけ貰った。


「そういえば、あの壁に貼ってあるような地図って、どこかに売ってるんですか?」

 俺は以前オークを持ってきた時に見た地図を指した。

「兄ちゃん地図欲しいのかい? この街でなら地図屋とか本屋とかで売ってるぞ」

 地図屋ってあるんだ。日本でも神田の古書店街とかにありそうだな。


「ただ、道端で売り歩いている地図屋には気を付けろよ。古いのやデマカセ売ってる奴もいるからな。

 特にダンジョンの地図は、よく調べもせずに作ってる奴なんかもいるから、そんなの使ったら命取りだかんなぁ。

 買うならギルドの認定証を持ってる奴からにしたほうがいいぞ」

 と言ってオッサンは、首から下げたギルドのプレートをエプロンの下から見せた。

 そこには名前以外にギルドの役職名などが書いてあった。

 古いのはともかく、そんな偽物売る奴いるのか。

 日本だったら旅行先で、全然疑わずに案内所で貰ったり、コンビニで買ったりするのに。

 やっぱり外国は注意が必要だな。


「もしこの地図で良ければ、ここの3階で売ってるけどな」

「この上にお店あるんですか?」

 そういえば4階と2階には行ったけど、いつも3階は素通りしてたな。

 階段で上がる時、3階は壁が前面にあって、右手に通路が一本通っているのしか見ていない。

 というわけで3階に行くことにした。


 通路を真っ直ぐ歩いて突き当りを左に曲がると、また左手に白い石壁が続いていたが、その先にテーブルが見えた。

 右手の壁には窓があり、覗くと校庭のような広場が見下ろせた。

 何人かが、案山子のような回転する人形に剣を振るったり、的に弓矢を打ったりしている。

 どうやら訓練場のようだ。


 通路の先はテーブルと椅子が何組も並んだ空間になっていて、さっきの壁で囲われていたところはオープンキッチンのらしく、カウンターの中に大きな窯や幾つかのかまどが並んでいた。

 中で3人のコックが湯気に包まれながら、何かいい匂いのするもの調理している。

 テーブルには数人の客がジョッキ片手に談笑していた。


 朝からみんな元気だなぁ。でもこっちじゃ酒は水代わりなんだよな。

 いくら飲料出来る水があるっていっても、日本みたいに管理された水道水じゃないから、安心は出来ないらしい。

 菌とかの概念がないらしく、病魔は火を嫌うっていう考えで、食べ物を燃やしたり熱を加えたりするから対処方法は間違えてないんだけど。


 テーブル席の先に、簡単に壁で仕切られた売店が並んでいた。

 なんかデパートの簡易なフロアみたいだ。

 地図は向かって左端の店の壁に貼られていた。

 サンプルが広げられてあって、それぞれのサンプルと同じマークがついた紐で丸く括られ、かごに入っていた。


 王都の歴史博物館で見たような世界地図もあった。

 地球の古地図のように、海や山にシーラカンスのような魚と2つ頭のコンドルのような鳥の絵が描かれている。これ誇張でなくて、こちらじゃ本当にいるんだろうなぁ。

 とりあえず世界地図はいるな。あとこの国があるレーヴェ大陸全体のも。

 おっ、こっちに植物紙じゃなくて、羊皮紙で出来た世界地図がある。

 値段はもちろん植物紙のより高くて、紙のが1,600エルに対して羊皮紙のは7,900エルもする。


 ただ、高いだけあって、しっかりしてて簡単には破れなさそうだし、色もカラフルで地形の絵が細かく描いてある。

 壁とかに貼ったらお洒落な古地図っぽい。

 なんか迷うなぁ。

 女子がよく服買うのに悩みまくるらしいけど、男はこういうのが好きなんだよなぁ。


「見やすくて情報量が多い方でいいだろ」

 ロマンもへったくれもない奴が隣で言ってくる。

「もうちょっと悩ませろよ。おっ、なんかダンジョンの地図がある。近くにあるのかな」

 

 それはゲームとかで良く出てくる迷宮型のダンジョンではなく、洞窟内の図面のようだった。

 何層かになっていて、各階層とどこで繋がっているとか、危険区域とかが書いてあった。

「あれぇ、これとこれ、同じダンジョン名なのに作成日付が違う。これもだ」

 なぜか同じダンジョン名の内部地図で日付違いが5つもあった。

 作成編集名はどれもこのギーレン・ハンターギルドになっている。

 違う作者名ならともかく、これだけ同じ物があると、うっかり整理し忘れではない気もする。


「ダンジョンは月日によって少しづつ変化するからだ」

 そう言われてあらためて並べてみると、確かに少しづつ違うところがある。

 例えば3層目の奥にあった下に行く繋がりが、別の地図には中央右奥のエリア内に変わっている。

 多分ほかの細かいところもそうなのだろう。


「えー、変化するんじゃ地図の意味をなさないじゃないか」

「変わると言ってもある程度の法則はある。

 例えば同じフロアに、トラップは3つしか発生しない所と5つ以上は必ずある所とか、隠れた空間が左巻きに出現する場所とかな。

 だから、そのパターンを調べ、予測するために複数いるんだ。金の無い奴は最新のだけを購入して、そこから予測したりする」


「だったら基本地図を1枚にして、その変化の法則を記せばいいんじゃないのか?」

「そういうのを研究してるダンジョン研究家もいる。

 だが、それが絶対確かだとは言えないのがダンジョンだ。そういう風に法則を決めつけて、酷い目にあった奴は過去に相当な数がいる。

 だから公式ではこうやって過去データしか売らないんだ。

 何かあっても責任取れないだろ。勝手に予測して行動する分には自己責任だからな」

 やっぱりダンジョンおっかねぇな。


 昔「ダンジョンマスター」というゲームで方向音痴だった俺は、迷子になって半泣きになったことがある。

 視覚型3Dで、みんな同じレンガ壁にしか見えないのに、マップ機能がないのだ。

 毒は受けるわ、灯りは消えかかるわ、モンスターに追われながら走り回って、分かれ道のところに、余ったアイテムを目印に落としておいたおかげでなんとか逃げ切れたのだ。

 あんな目にリアルで遭ったら本当に泣きそうだ。


「そうだなぁ、そろそろ初心者用なら……」

 悪魔が呟く。

「いや、地図はこれとこれにしようっ!」

 また奴が危険な事考えないように、俺はさっさと地図を決めた。


 レジは壁際に、案内カウンターぐらいのが1つあるだけだ。

 そこに持って行こうとして、ふと隣の店を見ると、何か干し肉のようなモノがぶる下がっていた。

 覗くと、干し肉以外にクルミに似た木の実や、赤い色をしたドライプルーンのようなものが、ガラス瓶に入って並んでいた。

 量り売りをしているらしく、ガラス瓶にそれぞれ0.5ポムド(約230g)幾らと価格が書いてある。その他に、いかにも日持ちしそうだが硬そうなパンも置いてあった。

 

 これはもしかして、保存食というか携帯食コーナーなのかな。

 なるほどハンターギルド内の売店ならではの商品だな。

 ドライフルーツ系は大体80~125エルの価格帯。日本円に換算するとおおよそ100g70円から108円ぐらいか。

 もちろん暗算ではなくスマホの電卓で計算した。そんな高くないかも。

 問題は味なんだけど。


 ウロウロ見てたら店員が試食しますかと、瓶のフタを開けて1粒ずつ、箸のような細いトングで俺の手に乗せてくれた。

 うんうん、この赤いドライプルーンの欠片、甘酸っぱくて結構好みだ。

 緑色のえんどう豆みたいなのも、炒ってあるのか香ばしくて旨い。

 他に白黒斑模様のカシューナッツみたいなのが、ほんのり梨のような甘さがある。

 ヨーグルトに入れて食べても美味しいかも。


 念のためヴァリアスに確認すると過熱してあり、もう発芽しないので、小量なら地球に持って帰ってもいいと言う。

 それぞれ0.5ポムドずつ購入した。


 それぞれを大きくて布のように柔らかい葉(?)に包むと商品名と値段を書いて、店員は渡してきた。

 こちらでは紙袋とかビニール袋とかは高いので、一般は葉っぱを使うのらしい。

「良ければこちらをお使いください」と店内カゴも。

 うーん、この商売上手め。

 こんなのを渡されるとつい他にも落ち着いて見てしまうではないか。


 隣はポーションなど主に薬の店だった。

 卓上醤油瓶くらいの小さなガラス瓶に入っている物や、正露丸みたいな粒状で粒単位で売っている物もある。

 薬草が囲いの天井からぶら下がっていて、微かに青じそに似た爽やかな匂いがした。

 こちらは干しただけなので、液体や粒状に比べ値段が安いらしい。

 購入者は自分ですり潰して使うそうだ。


 さすがにエリクシルは置いてなかった。スプレマシーもだ。

 やはり高いのかな。

 ふと張り紙に『スプレマシーポーション 有ります。 価格:時価  詳しくは店員まで』とあった。

 高いな、うん。


 そのまた隣は、ハンターがよく使う道具が売られていた。

 カンテラや何かの胃袋で作られた水筒、薄いけど保温性の優れた毛布、魔石なんかも売っていた。

 リリエラがギルドで魔石を売っていると言ってたが、ここの事だろうか。

 

 半径最高0.1マール(約160m)の魔物の位置を索敵できる機能付きで、魔石を埋め込んで使う羅針盤らしきものがあった。

 価格を見てみると355,000エル。

 たぶんギルドだからぼってないとは思うけど、高い買い物だと思う。

 商品にはしっかり鎖と鍵がついている。

「魔法使いがみんな、索敵や探知スキルを持ってるわけじゃないぞ。持ってても半径2,30mくらいしか出来ない奴も多いからな。

 比較的 神経を使うスキルだし、攻撃魔法のほうが伸ばしやすいからな」


「でも索敵って重要じゃないか? 目視できない暗闇とかだったら尚更だし」

「だからこういうのが売れるんだよ」

 魔石は別売りだけど、1年間の保証付きだ。

 確かに命にかかわる事だから、高すぎる訳じゃないのかな。


 俺が登山用みたいなリュックを見ていたら、奴がなぜか、ぶる下がっていたベルトのようなものを2本取るとカゴに入れてきた。

「何これ?」

「主に魔法使い用のアイテムだ。頭に巻くと精神集中しやすくなる。

 まぁ、おまじない程度の効果しかないけどな」

 見るとそれぞれ、黒と焦げ茶の革ベルトには、ベージュ色で魔法式らしい文字と、小さな魔石が埋め込まれている。

 そういや通信販売で頭が良くなるベルトとか昔あったなぁ。

 だけどなんで2つ?


「1つはお前用だ、もう1つは――」

「ヤダぞっ、あんたとペアルックなんてっ!」

「違うわっ! 今度の訓練で使うんだ。大体何で嫌なんだよ !?」


 世話になってるのに申し訳ないが、どうしても心の声が出てしまう。

 何故かこいつ相手だと遠慮という配慮が無くなってきた気がする。

 また奴が払うと言ってきたがベルトは1本3,000エルだったし、元々は奴が採ったグレンダイルの魔石を換金したお金があるので、ここは俺が支払う事にした。


 レジで精算しているとき奴を見ると、渋い顔をして窓から外を見ながら

「……まぁ今回はしょうがない」と、ふと小さく呟いているのが聞こえた。

 何、そんなに俺に金使わせたくないの? 

 などとこの時思ったが、どうやらそういう意味ではなかったようだ。


 買い物が終わって階段を下りようとすると、下から見慣れた卵体型がポンポンと跳ねるように駆け上がってきた。

「ヴァリアスさん、ソーヤさん、もうお帰りですか?」

 いつも通りサスペンダーでズボンを吊った、トーマスギルド所長が話しかけてきた。


「ええ、買取り待ちなのでまた後で来ますけど」

「おおっ そうですか。ちなみにこのギルドの食堂はご利用されましたか?」

「いえ、朝は別のとこで食べましたのでまだ……」

「では、ぜひお昼はこちらで食事されてはどうでしょう?

 ここは場所柄良い素材が安く手に入りやすいので、いいモノを安価で提供しておりますよ。

 特に魔物の肝や心臓を使ったシチューは絶品です」

 なんで内臓系押しなんだろ。やっぱり栄養価が高いとか?


「なんの内臓を使っている?」

 ヴァリアスが訊いた。

「えー、主にワイルドボアやオークなどですが、シェフ一押しのはコカトリスのヤブルー煮込みですね」

「コカトリスとヤブルーか、まぁ悪くないな」

「ヤブルーって?」

「お前のとこではマンドレイクとか言ってたな」

「…………それ食用なのか……呪術の素材とかじゃなくて」

「滋養強壮剤としても高級素材なんだぞ」

「ええ、ええ、どうぞ召し上がって行ってください。席は予約しておきますので」

「えっ そんなわざわざ――」

「混むからだろう。さっさと宿探しに行くぞ」

 そう言って奴がすたすた階段を下りてしまったので、俺は後をついて行くしかなかった。

 後から思うに、すでに奴はここで声を掛けられるのを知っていたのだと思う。


 向かいの商業ギルド3階で、この前と同じように宿を紹介してもらうが、予算が同じだと同じ宿しか出てこない。

 予算を5,000エル前後に上げて別の宿も教えてもらう。

 主に東区で探すが、似たり寄ったりのところが多くて逆に決めかねてしまう。

 時計を見るとすでに11時半を過ぎていた。

 席を予約してくれたらしいし、そろそろいかないと。


 ギルドの3階に戻ると食堂のテーブルは、すでにびっしりと埋まっていた。

 やっぱりハンターご用達で人気があるのかもしれない。

 そんななか、中央の6人掛けくらいのテーブルだけがポツンと空いていた。

 上に小さく予約席の旗が立っている。

 隅っこで良かったのに、なんか申し訳ない。


 ヴァリアスがまわりを見回して何か言いかけたが、結局 口を閉じた。

 やってきた給仕にプレートを見せると、もちろん真ん中のテーブルに案内された。

 さて、メインはすでに決まってしまっているが、飲み物は何があるんだろう。

 まさか酒しかないなんて事はないだろうな。

 俺がメニューを見ようとすると、また給仕の男がやってきた。


 もう注文を取りに来たのかと思ったら、相席をしてもいいかと聞いてきた。

 振り向くとオープンキッチンの前に、40代前半ぐらいの男が1人立っていた。

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