イクメンとは

夫が、日曜日、ベビーカーで散歩に行った。


目的地があった方がいいだろうと思い、時々散歩コースで行く、ケーキ屋さんへおつかいを頼んだ。


私だったらいつも片道30分のところ。


普段夫はヨタヨタ歩いて、後ろの人の迷惑になるくらい遅い。


1時間はゆっくりできるぞ、とゆっくりコーヒーを飲みながらマンガを読んで、先に洗濯を終わらせようと、洗濯物を取り込む。


そしたら帰ってきた。


ものの40分。


まさかまさかで、走ったらしい。


我が家が買った外国製ベビーカーは、タイヤが大きくゴツい。


それは海外では、ジョギングできるように作られている物らしい。


夫も片道だけジョギングしてきたそうだ。


いつも散歩の途中で気持ちよさそうに寝る息子は、一度もウトウトすらしなかったそうだ。


ケーキを食べて、今度は筋トレだと、夫は息子を抱える。


首が座った息子の脇に手を入れ腕を伸ばす。

そのままスクワット。


なんとも言えない複雑な顔をする息子。


お次は、息子を寝かせて、覆い被さるようにして腕立ての姿勢で1分キープ。


インターバルに入る時に顔を近づけて『ゔぉー』と息をつくのが面白いらしく、大喜びの息子。


それを見て癒されてる夫。


息子を使った楽しい筋トレ。



これもイクメンだと思う。


何でイクメンが讃えられてるかというと、世の妻が助けられているからだ。


オムツ替え、寝かしつけ、ミルク、お風呂。

なんなら夕飯や洗濯などの家事。


一緒にやったり分担するのは、妻を助けるためだ。


だから、イクメンってすごいってなる。

一種のおだて。


でも、2人で住んでいる家。2人で食べるもの、着る物、汚す家。


1人だけがずっとやるのはおかしくない?


共働きなら、なおさら。


いくら帰りが遅いとは言え、給料が夫の方が上だとは言え。手伝うって表現はおかしい。


夫が妻と同じ時間に帰り、給料も同じくらいか下だったら、夫が全部1人でするの?


だから家事=家の仕事は、2人でやるものだ。と思っている。


私は最初からそのスタンスでいるので、結構な頻度でキレる。


私が辛い時は何も言わず、速やかに変わってくれ。と。


そして育児。


せっかく2人親がいるんだから、2人で育てるべき。


せっかく違う考え方、価値観、経験値を持った人が2人いるんだから、子供には惜しみなく分け与えるべき。

そっちの方が、倍のことを学べる。


何より愛情が常に2倍あるほうがいいに決まってる。


だからと言うか、うちは夫が帰ってきてから、夫に息子を風呂に入れてもらう。そして寝かしつける。


息子の為を思えば、夕方お風呂に入れて、20時までには寝るほうがいいんだろう。


でも、その生活リズムだと、夫は息子の寝顔しか見られない。


息子は1日父親の顔を見られない。


せっかく育休で休みの今だからできること。


夫の帰宅に合わせることで、2人で息子に触れられる。


私が家事をしている間、夫は息子と遊べる。


今しかできないこと。


理想の子供の生活リズムでいけば、お母さんたちは、1人で家事をして、自分は高速で体を洗い、子供をお風呂に入れて、1日中1人で面倒を見て大変な思いをする。


そして家事をしなかったり、帰りが遅い夫を責める。

休日くらい育児してよって言っても、普段してない夫はどうしていいかわからない。

普段し慣れないことをするって、男の人は特に抵抗があるらしい。


結果、1人で頑張ってつらい思いをする上に、夫の育児参加をする権利を奪うことになっている。


だから自分だけのやり方になってしまって、夫がたまに手を出すと、そうじゃないって怒る。


夫だって、風呂に入れたくないわけじゃない。

静かに帰ってきて、声をひそめて子供の寝顔を見たいわけじゃない。


せっかく1日休みなんだから、保育園が始まるまで、リズム遅くなってもいいじゃない。


夫に育児するチャンスを与えよう。


仕事が始まれば、私もワンオペ育児になってヒーヒー言うことだろう。


だから、息子を風呂に入れられるのは今だけなんだぞと、夫に言い聞かせて、オムツを替えてもらう。


休みの日だけ遊ぶのはイクメンでも何でもない。


きっと、みんなイクメンになりたいと思う。

昨日より寝返りが上手になったねって、子供の成長をそばで見たいと思う。

笑顔を独り占めしたいと思う。


その機会を奪ってるのは母親ではないだろうか。



最近、1歳未満の子を持つ友達によく会うようになって、話を聞くと、みんな早寝早起きの理想リズム。


風呂はいつも1人で入れると言う人がほとんどだった。


何なら夫が風呂に入れたことはないという人もいた。


2人の子なんだから、父親と風呂に入ることも子供の権利だ。


そうは言っても、夫がしたがらないという場合もあるだろう。


私の夫も、出産して入院中に、オムツ替えを促したが、「今日はやめとく」と毎日しなかった。


ちょうどお盆休みだったから、実家に帰らず、アパートで2人と新生児で過ごす間、「授乳以外は全部できるんだよ」と、何でも無理矢理やらせた。やり方は最初だけ教えて、あとは口を出さないように気をつけた。そしたら自分の方が上手いと思って色々やるようになった。


偉そうにいろいろ言ってるけど、結局、2人でやることで、私は楽をしている。


うんちが出た音がしても、気付かないふりして、「そろそろオムツ替えてあげて〜」なんて言って夫にしてもらう。


息子と一緒の時間に寝ることで、長い時間寝られてるし。


イクメンの形はいろいろあるだろうけど、撲滅したいな。


時には早く帰って家族団欒できるように、仕事が調整できるようになればいいし、理由のない有給がちゃんと取れるような職場が増えるといいな。


子供と父親が触れ合える機会が増えますように。

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