三十一日 『始まりの終わり』

 ……とまあ、こんな感じだろう。何分俺の記憶なものだから、多少の脚色や誇張があってもそこは許してほしい。途中でちょこちょこ語ってくれた常世の話とそこまで食い違う点もなかったし、だいたいこれが真実であり事実だ。


「……そうなんだ」


 すべてを聞き終えた常世は、トングで焚火を弄りながら、何か遠い目で物思いに耽っている。


「どうした。月を見たかぐや姫みたいになってるぞ」


「……ふふ、なにその例え。かぐや姫みたいにかわいいって、褒めてくれてるのかな」


「そうだよ」


 俺のその返答がよほど予想外だったか、常世が真顔になる。


「……えっと、暮定?」


「話を聞いてたなら、もう分かってるだろ。俺は常世のことをかわいいと思ってるよ」


「~~! ……っ、そんな急に素直になられても、困るよ……どう反応すればいいのか、分からない……」


 そう言って、赤くなった顔を隠すように、両手で顔を覆った。


「とにかく、もう全部話したからな」


「……それは、うん、ありがとう。これで暮定のこと、もっと知れたよ」


「……じゃあ次は、明日のことか?」


 今日のことは、今話した。あとの二つ、明日のこと、これからすること。

 もうじき、時刻は零時を回る。


「そうだね。……って言っても、聞くまでもないかな」


「なんで?」


「だって、明日には暮定、もう帰っちゃうんじゃないの? 暮定がこの村にいる理由は、もうないハズだよ」


「……あー……そのことなんだが」


 なんだかしんみりした雰囲気だったので、あまりそれを崩すようなことは言いたくなかったんだが。


「なに? ……あ、そう言えば暮定、なんかボクに隠してることあるよね? 全部話したなんて言ってたけど、後で話せばいいか、とか言って」


「……ああ。その、常世に憑いてた神……って言っても、葉月の方じゃないぞ? 鬼神の方だ」


「……あ、そうそう! その「葉月」って名前! 暮定にだけ自分のいみなを教える水神様も水神様だよ。ボクから奪うつもりはないって言ってたのに、しっかりと準備だけはしてるんだ……」


 不貞腐れた様子でなにやら呟く常世だが……


「……? 何の話だ?」


「何でもないよ。……それより、鬼神がどうしたの?」


「常世、思い出してみろよ。俺を刺した後、常世から抜け出た鬼神はどうなったと思う?」


「……え? 暮定が殺したんじゃないの?」


 さも当然かのように言ってくれるが、


「いくら墜ちた神とはいえ、神だぞ。常世に憑依してる状態での真っ向勝負なら滅ぼせたかもしれないが、独立した神の御魂となった鬼神を滅するだけの魔力は、俺にはない」


「じゃ、じゃあ鬼神は⁉ 今もこの村のどこかに潜んでるんじゃ……!」


「いや……まあ、どこかっていうか……ここ、だよ」


 俺は自分の胸に手をあてる。


「え……っと、そこは……もしかして、暮定……」


 ピンと来たらしい常世が、驚愕に目を見開いて俺を見る。


「そうだ。常世に憑いた鬼神と剣を交えている間、俺はそれとは別に御魂へ魔力を集め、鬼神の御魂を吸い寄せた」


「……ってことは、今の暮定の体内には」


「俺の御魂と、鬼神の御魂。二つの相反する存在が同居していることになる」


 原理としては、巫女舞による神降ろしと同じだ。舞を踊ることで、強い魔力を纏い、神を降ろせるだけの器を用意するのが巫女舞。元からそれだけの魔力を持っていた俺は、それをさらに倍増させることで、神を強引にその御魂の中に降ろした。


「そ、そんな危険なこと、どうして!」


「それが、それほど危険でもないんだ」


 「僕」と「俺」で悩んでた頃の俺なら、危うかったかもしれない。

 だが今の俺は、久慈暮定。大変安定した存在だといえる。芦花や現のおかげで前を向くことができるようになった俺なら、先程の常世のように鬼神に自我を乗っ取られる心配もないだろう。


「……でも、それじゃあ暮定は一生その御魂に鬼神を宿していくってこと?」


「そう言うわけでもない。実は俺の体内に鬼神の御魂が居着いていることは、葉月も知ってるんだ。この村全土に広まった葉月の神通力が、俺の中に宿る鬼神の御魂を、徐々に『昇化しようか』……善神へと、生まれ変わらせてくれてるんだ。それは今もな。少しずつだが魂から憑き物が落ちていくのを感じるよ」


「……じゃあ、水神様が、この火が消えるのは一か月後、って言ってたのは」


「鬼神の御魂が完全に昇化するまでの時間が、一か月だからだ。そもそも鬼神ってのは、神の荒魂あらみたま……性悪的な部分が凶悪化した姿だ。もう一つの性善的な部分である、和魂にぎたまとの調和がとれるようになれば、晴れて鬼神は元の優しい神に戻る。そうすれば、態々俺の体内に閉じ込めておく必要もなくなるだろ」


 人に災害をもたらす鬼神としての性質が消えれば、当然、鬼神の魔力の一部であるこの燈も潰えるだろう。


 つまりこの燈の勢いを見れば、魂の浄化具合が分かるという事だ。


「それなら、よかっ…………ん? ちょっと待ってよ」


 どうやら気づかれたらしい。


「それって、浄化が終わるまでの一か月間、暮定はこの村から出られないってこと⁉」


 俺は常世から思い切り目を逸らして答える。


「……そういうことに、なるな」


 翡翠の地主神である葉月の力が行き届くのは、当然この翡翠村の中に限られる。村の外に出てしまったら、葉月の神通力が途絶え、鬼神の荒魂は再び増幅を始めるだろう。一日くらいなら、問題ないだろうけど。


「だから、これは三つ目の『これからすること』にも該当する答えだが……俺は今年の夏休みいっぱいまで、この村で過ごすことにしたよ」


 ……と、常世の三つの質問に答え終わった俺は、小さく嘆息してから、常世の反応を伺う。

 常世は……


「……まだ言ってない事、あった」


 つーんと拗ねたようにそっぽを向いて、不服そうにつぶやいた。


「……はは」


「ねえ、もうこれで全部? まだ何かボクに言う事、あるんじゃないの?」


 俺は何か伝え忘れていることはないかと、自らの虚心坦懐に問うた。……が、


「いや、もうこれですべてだ。少なくともこの一日に起こったことについては……」


「そうだ、うつつ!」


 唐突に叫んだかと思うと、立ち上がり、俺を指さした常世が……


「……現が、なんだ」


「思い出したよ! 神社でボクも会ってたこと。……あの子、暮定君知りませんかって言って……」


「ああ。だから話しただろ。俺が「僕」になろうとしたきっかけで、俺のことを好きでいてくれてる女の子。この村には俺を追ってきた。で、俺に告白した。俺はそれを……断った」


「でも暮定は……現のこと、好き……なんだよね?」


「……」


 なんだか機嫌の悪そうな常世に気圧されて、俺はまたしても目を逸らす。


「改めて聞くよ。……暮定、」


「そろそろ寒くなってきたし、帰らないか?」


 あまり好ましくない話の流れだったので、強引に断ち切ろうとするが、


「く・れ・さ・だ!」


 怒鳴られて、そう言えば俺は上裸で、終電もいった後で、この村に俺の家はないことを思い出した。おまけに腹も減った。何か買おうにも、深夜まで営業しているような店は翡翠村にはないだろう。


 ……いつの間にか俺は、衣・食・住のすべてを欠いた、人間の最低ラインに立っていた。

 そもそも財布一つだけ持ってこの村で一夜を明かそうってのが、間違いなんだけど。

 嗚呼、うつつかなうつつかな……


「常世だよ!」


「いや、この「哉」は疑問の意味じゃなくて……」


「うるさい! いいから答える! ――明日すること!」


「……現に会いにいきます」


「それだけ?」


「…………現に会って、告白します」


 俺は現が好きだ。それはさっきもいったことで、今更揺らぐような気持ではない。

 だが俺はその時、まだやり残したことがある、といった。それは常世に鬼神の所在を伝えること。……そして後もう一つ。これも常世関連なんだが、さて、うまくそういう雰囲気に持って行けるかどうか。

 とにかく明日、俺は現に会いに行き、そこで、俺の気持ちを伝える気でいる。

 こういうのは、はやい方がいいだろ?


「……それ、ボクもいくよ」


 などという常世の意図が……一瞬、理解できなかった。……二瞬、三瞬経とうが一向に理解できる気がしない。


「……なにしに?」


 そうして四度目のまばたきをしたあたりで、ようやく疑問を口にすることができた。


「ち、違うよ? その場に居合わせて告白の邪魔をしようってわけじゃなくて……その……」


 わたふたと、胸の前で手を振って否定する。別にそんなことは思ってはないが……


「現と、仲良くなりたい、か」


「……うん」


 二人の間に、どういった共通点があるのは、俺は知らないけど。常世が何を思って、現と会いたいと思ったかは、分からないけど。

 俺の話を聞いて、常世は、今の久慈暮定の根幹を構成する雲母坂きららざかうつつという人間と接してみたくなったのだろう、と一応の予想は立ててみる。

 

 俺は頭の中で、常世と現が二人、仲のいい友人としての関係を築いた未来を想像する。……色々困難は付きまといそうだが、案外、馬が合う二人かもしれないな、と思った。


「……でも、ちょっと羨ましいよ」


「現がか?」


「うん。……だってつまり、両想いでしょ? 現、神社で会った時に見たけど、すごくキレイな子だったし……お似合いだと思うよ。きっと、幸せだろうなぁ……」


 現が、か。

 なにか寂しそうな表情を浮かべる常世は……こんな常世は、初めて見たかもしれない。


「分からないだろ。俺はあんなひどい振り方をしたような男だぞ。女一人幸せにできる甲斐性があるかどうか」


「ううん。分かるよ。だって……そうだね、例えばボクと暮定が付き合っているとするよ。……あの、そんな露骨にげっそりした顔しないでほしいよ。傷つくな」


「……ッハ! すまん、無意識に……」


「なお傷つくよ! ……話の腰を折らないでほしい」


「分かった、分かった。……で、俺と常世が付き合って、お前は幸せになるのか?」


「なるよ。絶対」


 ……絶対、か。強い言葉だ。何か確信があるわけでもないだろうに。


「絶対ってことはないだろ」

 

 つい、口にしてしまう。

 だが常世は、特にひるむこともなく、


「そうかな」


 と、一言。


「――だって、人生の内で100回経験できるかどうかわからない夏の、その一度を、貴重な一度を、暮定と一緒に過ごせるんだよ。そんな幸運な女の子が、幸せじゃないはずがないよ」


「……」


 それは、なんの理由にもなっていなかった。そもそも俺が訊いているのは、どうして俺と付き合ったら幸せになると確信できるのかということだ。それなのに、なぜなら暮定と付き合うから、という回答は、ひどく的外れなものだ。会話にすらなっているのか怪しい。


 ……でも。


「だから、そんな現が羨ましいよ。その好意が……」


 ――ボクへ向いていれば――

 

 常世の気持ちが分かる。

 だから、ここで行動を起こさなくちゃいけないのは、俺だ。

 俺が、何かしなくちゃいけない。

 自ら幸せを手放そうとする少女を、幸せにしたいと、俺は思った。


「それ、いいな」


 そんな言葉が、口をついて出た。


「……?」


 なんのこと、と首を傾げる常世を……俺は、かわいいと思う。俺の手で幸せにしてやりたいと思う。

 だから、


「俺と常世が恋人だったら、ってやつ」


「……それって」

 

「現実になったら、めちゃくちゃ嬉しいよ」


 ここでいってやった。

 間に合わなくなる前に。 

 手遅れになるその前に。

 常世が全部諦めてしまう前に。


 俺の方から。


 あとは……そうだ。

 告白は男の方からしなきゃいけないって、古事記にもそう書いてあるだろ?


「――」


 常世は……ぺたん、とまた地面に女の子座りで座って、俯き、肩を震わせていた。そのままずっと、黙っている。


「常世?」


 しばらくしても反応がなかったので、焚火をまわって、常世の横に立つ。

 すると、


「うおっ」


 いきなり立ち上がった常世に、両肩を掴まれて声を上げる。常世はなおも、その長髪で顔を隠しながら、しかし小さな声で、訥々と呟きを漏らす。


「……暮定は、現が好きだって言った……」


「ああ、それは本当だ」


「……明日、現に告白するって」


「言ったよ」


「……じゃあ、今のは? 言葉の、綾かな?」


「伝わらなかったか? ……俺と付き合ってくれ、常世」


 はっきりと、言葉にして伝える。

 

 言挙げせず、なんて文化がこの国にはあるが。

 

 この気持ちだけはしっかりと、声にして常世に伝えたかった。


「…………変だよ」


「そうだな」


 一言で言ってしまえば、二股だ。明日俺は、現に告白する。しかし俺は今、常世に告白している。異なる二人の女性に好意を向けている今の俺は、異常かもしれない。

 だから、常世がそんな俺を受け入れられなくとも、ある意味、仕方のないことかもしれない。

 

 ――などと、考えていたら……


「……なのに、」


「……常世……? ……っ、…………」


 ――唇になにか、柔らかいものが触れ……


 ふわり、と柑橘系の甘い香りがした。


 間近に迫った常世のまつげの長いのが、よく分かる。


「……」


 ギュッと目を瞑った常世が……俺に、キス、していた。

 俺の告白への答え、ってことかな。

 なら、それに答えようと、俺もまた常世の肩に手をのせて、こちらに抱き寄せる。


「…………」


「…………」


「……!?」


 しかし、それだけでは終わらなかった。常世は既に十分接近している俺の頭に手を回し、さらに自分の方へ近づけて……


「……ぁ……くれ、ひゃだ……」


 口の中に、舌を滑りこませてくる。そんな俺を求める拙い舌使いに、つい……


「…………ひぁ、ぅぁ……、ん」


 俺も、自らの意思で舌を動かしてしまう。甘く……そしてなによりも、熱い。口内で常世の唾液と俺のものが絡み合って……


「……っぷはっ、…………はぁ……くれさだ…………」

 

 唇を離した後も、常世は禊の場での時のように俺の胸の中で、俺の名前を呼ぶ。


「……なのに……へんなことなのに、全部、どうでもいいって思っちゃう……」


 揺れる瞳に俺を映して、常世は甘ったるい声でそう囁いた。


「なにもおかしくはないよ。俺は常世が好きだ。常世は?」


 昂った気持ちはそのままに、常世に安心感を与えるため、最後のダメ押しをする。


「……ボクも、暮定が好き」


 確かな気持ちを言葉にする。


 ……実は今日一日、俺と常世はそこまで長い時間を過ごしていたというわけでもないんだ。

 一度目は、朝。二度目に神社で会った時には、既に夕方だった。実時間で言えば、俺たちが一緒にいた時間は、実は6時間にも満たない。


 それでも俺はなんだか、今日一日、ずっと常世と一緒にいた気さえするんだ。


 それは俺が追い求めていた舞姫の正体が、常世だったから、という考えもできるが……

 俺たちは今、こうして心を通わせている。それが一時の気の迷いでないことを、俺たちは知っている。


 今日という日を通して、俺たちは変わった。


 「俺」と「僕」は、久慈暮定へ。

 

 「ボク」と「わたし」は、戸隠常世に。


 ただの暮定と常世には、もう特別な力などは何もない。

 目の前の幸福を噛みしめることが、すなわち、自分を認めてやることになることを知ったから。


 だから目の前にいる常世を、こんなにも近くで、確かな存在として感じていられるのだろう。


「……くれさだ……」


 そうして潤んだ瞳で、常世は、俺の顔に手をのばした。


 今日が終わる。

 


   ☽



「ねえ……暮定」


 常世が、やおら口を開いて、暮定を呼ぶ。


「なんだ」


「今日、ちゃんと現に告白してよ?」


 日付を跨いで、八月二日午前一時の草原。

 俺と常世は起き上がって話を再開する。


「するよ。告白して……あいつは、それを受け入れようが断ろうが……この村にまた、戻ってくると思うよ」


 現は、この村のすばらしさを分かっていた。この村のことを気に入ったと、俺は現から聞いた。俺との話題がなく困っていたから、思ってもないことを口にして場を持たせようとした、なんて可能性も、現には考えられない。翡翠村の自然と住民に好印象を抱いていたのは、紛れもない本心だったのだろう。


 そこに、俺が居続けることを知ったら、現は間違いなくまた俺を追って、翡翠の地を踏むことになる。……そうしてその内に、俺だけではなく常世にも、この村自体にも、目を向けるようになり……


 そんな幸福を、ひそかに想像した。


「そしたら明後日は、ボクと過ごしてよ」


「常世と……だけ、ってことか?」


「うん。ボクとだけ、二人の日。ダメかな」


「分かった。……でも、村民と話すくらいは許せよ。晴人や芦花とも、俺はもっと仲良くなりたいんだ」


 心外な、それぐらい許す、という顔の常世。こういう顔をするときのこいつの返しは……


「だから暮定は、ボクをなんだと思ってるの」


 俺はそれに、今は迷うことなく答える。


「大事な恋人」


「……っ、もう、この質問はできないね……」


 恥ずかし気に笑う常世の言葉に……俺は、苦笑する。

 

 俺は、自分を探してこの村にやってきた。言うなれば、自分探しというやつだ。


 それも今にして思えば、おかしなことだな。


 まだ出会って一日しか経っていない俺と常世の関係でさえ、短時間でこうも変化してしまったというのに。


 変に自己に固執して、この世界に存在する確たる自分を見つけようとしてしまう。


 時間と共に移ろいゆくのが、人。そこに絶対なんていうものはないというのに。


 ……言葉にすると、ひどく陳腐で、ありふれた結論。どこか観念的で、はっきりしない帰結だ。


 結局は俺たちは、そういうあやふやなものを肯定するだけの勇気が、足りなかったんだ。

 そして今日は、それをたくさんの人から貰った。


 だからこの夏は、それに感謝する日々を送ることになるだろう。


 常世と、現と。出会ったすべての人たちと思い出を作り、そうしてまた、一人の自分というものを肯定してやるだけの勇気が生まれ、未来を紡いでいく。


「そろそろ寝ないか。明日は早いんだ」


 八月一日は過ぎ去った。

 俺と常世がかけがえのないモノをもらった夏の始まりは、静かに終わりをつげた。


 その次に始まるのは……なんだろう。

 想像もつかないが、俺は……

 

 ただ、終わりが始まるまでのなんでもないモノ。

 その場にゆっくりとたゆたっているだけの、大切な時間。


 そんな毎日だったらいいなと思う。

 いや……そんな毎日に、していこう。

 なんども言うが、そうするだけの勇気を、俺はこの村から貰ったんだから。


「大丈夫だよ。だって、ボクたちだからね」


 炎がひときわ強くゆらめいて、それに驚いたのを俺に見られた常世が、小さく肩をすくめてから、

 

「夜が明けたら、明日のボクたちが、きっと笑ってるよ」

 

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夏休みに山村を訪れた陰陽師の血を引く俺が、法術を操る ~夏の燈~ 佐倉しもうさ @shimousa_7

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