ウサギとカメとポルシェ
ヴヴヴ……ヴォオンヴォオオオオオオオン!
スタートの合図と共に、走り出したウサギとカメ。
その、はるか後方から現れたホワイトカラーのポルシェが、水平対向六気筒ターボ・エンジンの唸りをあげて抜き去っていく。
否、ポルシェにとって二匹は対戦相手ですらない。
窓の外を流れゆく美しい景色の一部だ。
彼らの残像を置き去りに、ポルシェは丘の頂上へ。
鮮やかな緑で覆われたトンネルを駆けていく。
レブカウンターの針が上昇していく中、ウサギとカメ、そして彼らを見守っていた動物たちに広がる歓喜の渦を感じていただけるだろうか?
この奇跡の走りを裏付けているのは、毎分最大二十万RPMで回転するコンパクトなターボチャージャーだ。
「私たちの開発目標は、ターボ特有の癖を持たないエンジンを完成させることでした」
モデルレンジ責任者アウグスト・アハライトナーは語る。
軽快な走りで瞬く間に丘の上へたどり着き、ウサギとカメを待つポルシェ。
レースは終わり、丘には夏の穏やかな時間が流れている。
青空の下で太陽光を浴びるそのボンネットのフォルムは、フロントに向かうにつれてラインの美しさを増していくようだ。
おや、仲良く手を繋ぎ並んで歩いてくる二人の姿が見えてきたようだ。
さあ、彼らを乗せて、どこまで行こうか。
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