努力は裏切る(2020/09/11)

僕の友達のかじ龍生りゅうせい熱血漢ねっけつかんだ。

元々、僕は肩に力を入れて生きるのは苦手で本当に対照的たいしょうてきだ。

出来れば努力したくなし、楽をしたい。

それが僕の願いでもある。

ずっと努力してきて、ダメだったとき、どう支えていけばいいのだろう。

そればかりを僕は考えてしまう。


そんな僕に梶はげきを飛ばす。


「努力って本当に無駄なのか?」

「だって努力して駄目だったらどうなるだ」

「努力が実らないこともある。けれど、努力しなきゃ、何も掴めないじゃないか」


梶はいつも厳しい。僕はやはり梶と合わないと思えてくる。


「君の正論は解る。けれど、僕の知り合いにずっと努力して駄目だった人がいた。その人はもう現実に目をくれなくなった」


梶は僕をじっと見る。梶は何を思ったのだろうか。梶は目を伏せた。


「君の言い分は解るよ。だって、努力は裏切るから。努力は裏切らないって誰が言ったのだろう。本当は裏切るのに」

「でしょう?だったら努力しないほうがいい」

「じゃあ、君は欲しいものがあったらどうするんだ?」

「お金で買えるものなら、働いてお金稼ぐかな」

「それだよ」

「は?」

「確かにお金で買えるものはそうやって確実にできる。けれど、有限じゃないものつまり、あらゆる才能は、それが叶わない。でもね、努力しなければそれは叶わないんだ」


梶は熱が入ってきたのか力んでいる。梶の言い分は解るが、努力は辛い。


「小さい子どもに当てはめてみよう。子どもは最初、言葉が喋られない。けれど、親や学習で言葉やコミュニティが取れる」

「そうだね」


梶の言いたいことが解ってきた。僕自身にも努力が出来るのか。


「君だって、最初から日本語でコミュニケーションが取れたわけじゃないだろう?つまり、そういうことさ。君も何かを始めたいとき、何か成功させたいなら努力をするべきだ」

「あーなるほど」


僕は憎らしいほどに熱血漢な梶に触発され始めた。努力は裏切るかもしれない。

けれど、努力してみるのもいいかもしれない。


努力は裏切る(了)

題材 努力 文字数797 製作時間 23:20

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