探偵河野(2020/08/26)

事件が起きた。探偵の河野竜は刑事の猪田哲に呼ばれた。

河野は日本の警察に一目瞭然をおかれている。

助手の私は河野と共に中井警察署まで出向く。

猪田は事件の詳細は早々と説明する。


「異国の文化の趣に興じている婦人が刺殺された。彼女の名前は佐々木麗 (32)。普段から男遊びが激しかったらしい。ダイイングメッセージが残っていた」


ダイイングメッセージには

『夕子』と書かれているだけだった。


容疑者として上がったのは、ソワレ・ルブラン(29) フランス人。

女性で佐々木との関係は友達だったらしい。事件当時、家にいたそうだ。

第二に上がったのは、ルイージ・ブラウン(32)アメリカ人。男性で佐々木との関係は仕事上で関わったことがあるらしい。しかし、一度、男女の関係になり、別れたことがあった。

それからルイージは佐々木に何度も関係の修復を願ってきたらしい。佐々木の第一発見者。


第三に上がったのは、佐々木雄一(33)日本人。

佐々木の旦那で、普段から佐々木の性に奔放な態度に嫌気が差していた。

毎夜遊んで帰っては悪びれもしない。離婚を考えていたらしい。


河野は猪田の話を聞き、推理を巡らす。

容疑者候補が少ない分、河野は楽勝に思っている。


夕子はそのまま読むと、『ゆうこ』だろう。

河野は夕子を別の意味で考え始める。

容疑者候補に夕子とつくものはいない。


私はふと先日、ラルクアンシエルの新曲を買い忘れたことを思い出す。


「あ」

「どうした?」

「ラルクアンシエルの新曲を買い忘れただけです」

「何だ。そんなことか」


河野は呆れる。私は河野に謝罪する。


「すいません。そういえば、ラルクアンシエルの意味、フランス語で虹でしたよねぇ」

「虹?あーそういうことか」


河野は閃いたのか、頷き始める。


「え?何ですか?」

「夕って夕暮れ、夕暮れをフランス語でソワレっていうんだ。で、子は女を示していて。夕子かな?犯人はソワレ・ルブランだ。ソワレと佐々木の本当の関係を洗うぞ」

「解りました」


後日、刑事の猪田の調査により、佐々木とソワレの関係は同性愛だったらしい。

佐々木はソワレとの関係を清算したかった。

佐々木に呼び出されたソワレは、思わず佐々木を殺したらしい。

ソワレは全面的に容疑を認めた。


探偵河野 (了)

題材 夕暮れ 製作時間 25:48 文字数 907

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