安楽死は安楽か?

椎名稿樹

安楽死は安楽か?

安楽死は当人にとって本当に安楽なのだろうか?


安楽死自体、私は賛成でも反対でもない。これに関しては、議論することが大切で、賛成や反対という答えを出すべき問題とは思わない。


先日安楽死に関する事件があった。テレビでも報道されていたのでご存知の方は多いかもしれない。事件に関して言及はしないが、私としては安楽死自体がとても気になったのだ。


安楽死――。それは字の如く、安楽な死を与えるものだ。つまり苦痛を与えずに死なせる行為。しかしそれに私は疑問を抱いた。それは本当に安楽なのだろうか? 医学的に苦痛はないと証明されているのだろうか? 心電図やその他の医療機器の数値から安楽であると判断したとしても当人にとっては本当は苦痛ということはないのだろうか。薬で体は動かないかもしれないが、意識下で苦痛を味わっている可能性はないのだろうか。


それに自分の脳では死を切望したとしても、体を構成しているすべての細胞もそれに同意しているのだろうか? 細胞に意識はあるのかと聞かれれば分からないが、細胞は可能な限り長く生きようと細胞分裂を行い、病気からも自己免疫で自信を守っている気がする。そう思うと安楽な死は存在しないのではと懐疑的になってしまう。


安楽に死ぬことができるのであれば初めからそういう機能が備わっていてもおかしくないとも思う。つまり死にたい時にスイッチを切るかのように死ねるシステムだ。もちろん首吊りなどの物理的な方法で死ぬという意味ではない。


しかし、進化の過程でそういうシステムは備わっていない。必要がないから備わっていないのだろう。やはり死というのは多少の苦痛があるのだろうか。そうであるなら安楽な死など存在しないかもしれない。


いくら考えても私には分からない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

安楽死は安楽か? 椎名稿樹 @MysteryQWorld

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ