となりにおいで

半月

はじまり

どうも、こんにちは。私はメアリー。

人を驚かすことが大好きな女の子。

今日のターゲットは私が大好きなあの人。


PM11:00

プルルループルルルー

真夜中の電話はいたずら電話に違いないとぼくは寝たふりを続ける。

プルルループルルルー

電話は鳴りやまない。

今時めずらしい固定電話はぼくが都会に就職する時に母親が買ってくれた。携帯電話も持っているのに固定電話がなぜ必要なのかと思わないこともない。

けど、固定電話にしか電話をかけられない子もいるからその子の為だけに置いているようなものだ。

だからといって夜中に電話をかけてこなくてもいいじゃないか。昼間は仕事で家を留守にしているから電話にはでられないが、休みの日は大抵家にいるのだが。

そう彼女に問うと、あの子はこういうのだ。

「昼は中年のおばさん、夕方は小学生と相場が決まっているの」だそうだ。


プルルループルルルー

いつまでたっても鳴りやまない電話の音。

暇なあの子のためにぼくは受話器をとった。

「もしもし、私メアリー。今あなたの家の前にいるの」

少し舌足らずの可愛い声でいたずらしてくるこの子はぼくだけのものだ。

「ねぇ、メアリー。今日は家の中においでよ」



どうもこんばんは。私はメアリー。

今時めずらしい古典的なメアリー。

あの人が私を思い続けてくれる限り、私はこの世に存在し続けるの。

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となりにおいで 半月 @hoto-sa

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