第82話 聖域の効果

 滝の駐車場から車を北に向けて走らせる。

 琉斗りゅうとに代わってハンドルを握ったのは、凱斗かいとだった。

 車に乗り込もうとした時、那岐なぎがぽつりと言った。


『運転、凱斗兄さんがした方が、いいような気がする』


 ちょっと遠くを見ているような眼で那岐が言い出す時は、何かを感じ取っている時。

 幼い頃からそう理解していた凱斗は、無言で運転席に座った。



「この辺一体から離れろってさ、どの位走ればいいんだろう……な……」


 助手席の榛冴はるひに話しかけようとして、凱斗は自分の頬が引き攣るのを自覚した。

 そっとルームミラーを見ると、後席の三人が倒れ込んでいる。助手席の榛冴も頸に全く力が入っていないように意識なく項垂れている。


「マジか!? ちょおお……どうすりゃいいの、俺?」


 思わず泣き言が口をついた。


(……誰も応えちゃくれないんだけどな)


 そう思いながらも、自分を落ち着かせようと可能な限り大きな声を出す。


「落ち着け、凱斗。まずは落ち着くんだ。寝てるだけかも。って、こんな一瞬で寝るわけないだろぉ……」


 車内の様子を再確認するのが何となく怖くて、前のめりになったまま車を走らせる。ふと、道の駅の看板が目に入り、迷わずウインカーを上げた。



 助手席で倒れている榛冴の手からこぼれ落ちていたスマホから、れいの番号を探して通話のアイコンをタップした。


「黎さん……早く出てくれよ……」

『榛冴か? どうした、旅行を楽しんでいるんじゃないのか?』


 呑気そうなシュウの声が聴こえ、凱斗は一気に脱力した。


「…………シュウさん、凱斗だけど……黎さんに代わってくんない?」

『凱斗? どうかしたのか?』


 沈んだ凱斗の声に異変を感じ取ったシュウが、すぐさま黎に代わる。

 ほんの少しほっとしながら、凱斗はスマホに向かって声を張り上げた。


「黎さんどうしよう。何だか分かんないけど、みんなが一斉に気を失って……さっきは采希さいきだけが何かの影響を受けたらしくて具合悪くなってたんだけど……滝の神様に助けてもらって『早くこの場を離れろ』って言われたから急いで移動しようとしたんだ。なのに、そしたらみんなが……」


(俺、ちゃんと説明できてるか?)


 次第に声が震えそうになる。凱斗は胸に手を当てて、大きく息を吸い込んだ。


『凱斗、お前は何ともないんだな? お前、流石だな。場所は…………ああ、把握した。ちょっと待ってろ、うちの精鋭が近くにいるはずだ。すぐ行かせるから』

「精鋭? 黎さんとこの? あの……誰が……?」

『見れば分かる。――こっちが落ち着いたら俺もすぐに行くから、待っててくれ』

「……うん」


 精鋭と聞いて、通話を切った凱斗が首を傾げる。


(黎さん以外はシュウさんしか知らないし……あ、シュウさんは組織外だっけ)


 再び運転席に乗り込み、ハンドルに両腕と顎を乗せて溜息をついた。


(精鋭……だったら元バンドメンバーだった人達かな。黎さんがベースでシュウさんがギター。後は……ボーカルとドラムとキーボードだったか……)


 自分以外の全員が意識を失ったってことは、多分、霊がらみの現象なんだろうと凱斗にも理解できた。こんな場合であっても、一人ぼっちで残されるのは気分のいいもんじゃねぇな、と思った。

 再び大きな溜息が出て、煙草でも吸おうかと視線を落とした凱斗の視界で何かが動いた。


(……?)


 顔を上げると、フロントガラスに逆さまに現れた男の顔。

 ひゅっと息を吸い込み、思いがけず力が入った脚のせいで背中がシートに押し付けられる。


「……見つけた。凱斗くん?」


 逆さまになった人物が凱斗に声を掛ける。

 声も出せずにこくこくと頷くと、見覚えのあるような笑顔で笑った。そのままくるりと回転しながら車の屋根から降りる。


(俺の名前……じゃあ、この人が黎さんの……)


 真正面の駐車スペースに真っ黒なセダンが停まり、運転席から黒スーツの男が降りて来た。

 そのスリーピースの素材と仕立てに、凱斗の記憶が甦る。


柊耶とうや、走ってる車から飛び降りるのはよせって。毎度毎度、心臓が止まりそうになんだよ」


 苦笑いしながら歩み寄って来た男は、車の屋根から降りた男に話しかけ、そのまま凱斗の乗った車の窓をこんこんと叩く。


「はいは~い、お待たせ~」

「あ……とと……ちょっと待って……」


 慌てて窓を開ける。

 その声と人懐っこい笑顔に、子供の頃に見た雑誌の写真が思い出された。

 全体的にふわりと後ろに流された髪は、バンドのボーカルをしていた頃より濃い茶色。

 凱斗の微かな記憶よりも、かなり頬が削げている。


「凱斗くん? 黎に頼まれて来たんだけど。ちょっと、みんなの様子、見させてもらっていいか?」

「あ、はい。ドアロックしてないんで、どうぞ」


 柊耶と呼ばれた人が後部のスライドドアを開けて乗り込む。

 緩く波打つ髪を後ろで無造作に結んだ彼は、確かドラムを叩いていた。

 当時は硬質で無表情なイメージがあったが、さっきの笑顔は凱斗を落ち着かせるには充分だった。


(ちょっと……だいぶ、びっくりしたけど……)


 もう一人は助手席側に回り込み、榛冴が倒れないように気を配りながらドアを開けた。


「……脈拍正常、呼吸も問題ない。柊耶?」

「ん~……霊障で間違いなさそう」


 助手席側にいた男が後席に声を掛け、そのまま考え込む仕草をする。


「……あのぉ……」


 恐る恐る声を掛けた凱斗に、『ああ』と笑いかける。


「俺のことはカイって呼んでくれ。お前らの事は黎とシュウからよく聞いている。あきらからもな。――どうやらお前以外は全員霊障を受けたみたいなんで、悪いけどこのままうちの本部に連れて行く。とりあえず、眼を覚まさせないと」

「カイ、さん? 名前ですか? それとも苗字……」

「……お前、そう言えば凱斗カイトか。ちょいと紛らわしいな。俺は苗字ファミリーネームの方だ。あいつは柊耶でいい」


 後席から柊耶が返事をする。


「カイくん、どっちを運転する?」

「……意識のない人間を乗せた方を、お前に運転させるのはどうかと思うからな。俺がこっちで正解だろ」

「カイくんも大差ないと思うけど。じゃ、行こうか」



 凱斗には、柊耶が大差ないと言った理由がよく分かった。

 運転技術は大したものだが、この人はよく喋る。しかもきちんと前を向いてくれない。

 おかげでかなり打ち解けたが、この運転は少し怖い。


「……カイさん、できれば前を見て運転してもらえないっすか……」

「え~~? 大丈夫、ちゃんと見てるよぉ」

「いや、そうは思えないから言ってるんすけど……」


 口に出してから、凱斗も榛冴に同じ台詞を言われた事を思い出す。最後部の席に移された榛冴を助手席からそっと振り返った。


(悪い、榛冴。今度から俺も気を付けるわ)


 心の中でそっと弟に手を合わせる。

 前を走っていたはずの柊耶が運転するセダンは、とうに視界から消えていた。


(……あの車線変更や加速のタイミング、那岐そっくり……)




 凱斗たちの乗ったワゴンは静かにビルの地下駐車場に滑り込んだ。ゲートもなく入口には警備員らしき詰め所があったので、このビル専用の駐車場のように思えた。

 特に連絡をした様子はなかったのだが、到着と同時に入り口と反対側にあるエレベーターの扉が開く。

 カイと同じ黒スーツを着た男を先頭に、ストレッチャーを押した濃いグレイのスーツを着た何人かが降りて来た。


「シン、後は頼む。――ああ、采希は柊耶に運んでもらってくれ。どうやら、意識がないだけじゃないらしい」


 凱斗に車から降りるよう促しながら、カイが先頭の男に告げる。

 さらさらの髪を邪魔そうにかき上げたシンと呼ばれた男。その繊細な指先に、凱斗はふと眼が留まった。


(……この人、キーボードの……この人が天才ハッカー?)


 榛冴から聞いた事を思い出す。

 黎の元にいる、バンドメンバー。

 ホワイトハッカーの情報担当と、驚異の身体能力を持つ警備担当。

 では、カイが事務部門を統括しているという、スペシャリストか、と思った。


 凱斗の視線に微笑みながら、シンがカイに答える。


「柊耶くんから聞いてる。他の三人はそこまでじゃないって事でいいんだよね?」

「多分な。黎から、もうすぐケリがつくと連絡があった。それまでになんとか意識を回復させてくれ」

「了解」


 凱斗が口を挟む隙もなく、カイに肩を押され、エレベーターに乗り込んだ。


「あのぉ、カイさん……采希だけ『意識がないだけじゃない』って、どう言う事っすか?」


 ちらりと凱斗を横目で見て、カイはまたエレベーターの階数表示に視線を戻す。


「俺なんかよりさあ、お前の方が良く分かってんじゃないの? 聞いてるよぉ、お前、麒麟が守護に就いてんだろ?」


 片方の口角をきゅっと上げながら、カイが笑顔を見せた。

 意図せず凱斗の眉が寄せられる。


「…………だったら、俺が力もうまく使いこなせない役立たずだって事も聞いてんじゃないっすか?」


(この人に拗ねてみせてもどうしようもないんだけどな)


 悔しいのか、恥ずかしいのか、自分でもよく分からない。口をきつく引き結んで凱斗はカイから顔を背けた。

 カイが腰を曲げ、凱斗の顔を下から覗き込む。


「今は、だろ? ま~だ若いんだ、これからこれから」


 思わずカイの眼を見返した。


「力を持ってるってだけで凄いじゃん。俺たちみたいにさ、霊能力のない人間はどんなに訓練や努力をしても力を使えないけど、お前は違うだろ? 今は自在に扱えなくてもお前次第でその大きな力を発揮できるわけだろ? あー……ま、黎に言わせると『大なり小なりみんな力を秘めている』んだそうだけどな」


(この人……)


 叱るでも責める訳でもなく俺を認めてくれるのか。焦んなくていいって、そう言ってくれているのか。凱斗の鼻の奥が微かにつんとした。


(俺…………責めていたのは自分自身かも)


 いつも采希たちにばかり働かせていた。自分より役立たずだと思っていた双子の弟ですら、先日『覚醒』なんぞしやがった。

 自分ひとりが取り残されているようで、悔しいよりも寂しい気持ちになっていた。

 凱斗はカイに言われたたった一言が、妙に心にすとんと落ちて来た気がした。


「全員が霊障で意識を失ってんのに、お前だけは影響を受けなかったんだろ? だからこそ俺たちが動いてる。お前が正常に機能していて、黎に連絡できたからだ。だからお前の家族たちをいち早く助けることが出来る。それはお前のおかげだ、違うか?」


 微笑みながら凱斗の眼を覗き込む嘘のないその顔に、凱斗は思わず頭を下げた。


「……カイさん……ありがとうございます」

「何のことぉ? さ、着いたぞ」


 エレベーターの扉が開いたそこは、バカでかい応接室のようだった。



 驚くほどふかふかのソファーに沈み込んだ身体を、凱斗は落ち着きなく揺する。


「あの……ここって?」

「ん? ああ、うちの組織の本部。本家だと何かと不便なんでな、先代が拠点をこのビルに移したんだ」

「ビル……もしかして、丸ごと?」

「そう。このビルの地下二階はスパコンが入ってる」


 凱斗の中では、スーパーコンピュータが必要な組織と、のんびり畑仕事をしていた黎がどうしても繋がらなかった。


「あとで風呂でも入ろうや」

「……え? カイさん、話、ぶっ飛びすぎじゃ……」

「スパコンの放射熱を利用してでっかい風呂を沸かしてるんだ。そこらの銭湯よりいいぞ」


(……ああ、そういう流れか)


 でかい風呂と聞いて、思わず笑みが零れる。

 そんな場合じゃない、と思い直し、カイに尋ねた。


「あの……あいつら、少なくとも采希以外はすぐに意識が戻るんですか?」


 ソファーの背もたれに両腕を乗せたカイがちょっと片眉を上げながら窓の方を向く。


「たぶん、な。困った事に俺たちには黎みたいな力はない。だから確実にそう言える訳じゃないんだ」

「え? でも、柊耶さんが……」

「あいつは特別。滅茶苦茶に勘のいい野生動物みたいなもんだ。もしかしたら本人が自覚していないだけか、と思った時期もあったけどな、あきらに言わせると霊能力とは別物らしい」


 勘のいい野生動物と聞いて、凱斗の脳裏には従兄弟の姿が浮かんだ。

 那岐から霊能力を排除したら、柊耶のようになるのかもしれない、と思った。


「采希は、その柊耶さんの見立てではどうなんすかね?」

「抜け殻」

「…………は?」


 どこかでそんなシチュエーションに遭った事があるな、と凱斗は思った。

 炎駒の転移術に巻き込まれて身体と魂が分離した事があった。


(身体と魂が別々に縛られていた事もあったな。そう言えば、あの時は――誰がやったんだ?)


 目線を落として考え込んだ凱斗の隣に誰かの体重が掛かり、ソファーのクッションがほんの少し浮いた。



 * * * * * *



「こんな所で何しているんだ、采希?」


 聞き覚えのある声に、采希の意識がそちらに向く。


「あきら……ここは、どこだ?」


 紅い袴の巫女装束を纏った女が困ったように首を傾げる。


「どう説明したらいいのか……ここは、大神様が私の身体を浄化してくれている【場】なんだが……私にもよく分からないんだ」

「……分からない?」

「聞こうと思った事が無かったからな」


 そう言って済まなさそうに笑う。采希は思わずこめかみを指で押さえた。

 興味がなければ状況把握すらスルーしてしまうのはどうなんだ、と思う。同時に、それすら巫女にとっては平常運転なのだろうと納得してしまった。


「采希、足元は見えるか?」

「足元?」


 そう言われて采希が視線を落とすと、木の葉を繁らせた樹を上から見降ろしているようだと思った。しかも、かなり大きくて高そうだ。


「……何だ、これ? どっかの大木の上にある空間……とか?」

「そうらしいな。こんなに大きな木がどこにあるのか、私には分からないが」


 采希も、記憶になかった。周りの風景がかなり霞んでいるので、実際の大きさも不明だ。


「――何が、起こったんだ?」


 自分が今、ここにいる理由が分からない。

 巫女が首を斜めに傾げながら采希をじっと見つめ、説明を促されているのが分かった。


「みんなで旅行に出掛けてたんだけどな、俺だけが何かに憑かれて具合が悪くなった。でも滝の神様に呼ばれて、浄化してもらえたと思ってたんだ。滝の神様が『早くこの場を離れろ』って仰ったから、急いで車に乗り込んで出発したと思ったら――」

「気付いたらここにいた、って訳か?」

「そう」


 巫女が怪訝そうに眉を寄せる。


「本体に何があったのか、それが不明だな」

「……本体? 俺、また向こうに身体だけ置いてここに来てんのか?」

「そのようだな」


 采希は眼を閉じて、思わず天を仰ぐ。


(――マジか……)


 また、あいつらが心配しているかも、と胸の奥が痛む。


(琥珀……は身体の方か。ヴァイス? 瀧夜叉? ……いないのか?)


 一気に不安が押し寄せてくる。

 大神さまの領域であれば何の心配もないのだろうが、自分の身体はここには居ない。

 さすがに身体はその機能を止めてはいないだろう、とは思ったが、どんな状況なのか測る事すら出来なかった。


 琥珀は左腕に着けたバングルの中にいるのだろうが、地龍の姫と白虎、呪術師まで気配がない。


(俺……どうしよう……)



 * * * * * *



「待たせたな、凱斗」

「黎さん!」


 凱斗の隣で薄く微笑む当主は、いつものようにラフな格好だった。


「――指示通り、采希だけは隣の部屋に運ばせた。柊耶が傍に付いてる。他の連中は……ああ、眼を覚ましたみたいだな」


 通信装置が耳に収められているのか、左手を耳に当てて話すカイの報告に頷き、黎が立ち上がる。


「凱斗、俺は采希の様子を確認しに行く。お前はどうする? 琉斗たちの所に――」

「俺も行きます!」


 黎の言葉に食い気味に応える。

 にっと笑って黎が部屋を出た。




「……俺にはただ眠っているだけの様に見えるんだけど。本当にお前の言うように『抜け殻』なのか?」


 凱斗たちの後から入って来たカイが、部屋の隅にいた柊耶に尋ねる。

 采希の身体は、部屋の壁に沿って置かれたベッドに横たわっていた。


「そうだよ、カイくん」

「んじゃ、采希の中身は?」

「わからない。それより黎くん、この身体、すごい痛いんだけど」


 痛いと聞いて黎と凱斗が首を傾げる。『身体が痛い?』と柊耶の言葉を反芻し、凱斗は唇を噛んだ。

 この不安な状況下、もっときちんとした説明が出来ないのか、と声を荒げたくなった。衝動を抑えるようにぎゅっと拳を握りしめる。


「柊耶、分かるように言ってくれと――」

「触ってみて、黎くん」


 柊耶が采希の身体を指差す。

 黎がそっと采希の髪を整えるように頭部に触れ、ほんの少し身体を硬直させた。


「…………なるほど」


 何が『なるほど』なんだと眉を寄せた凱斗を、黎が手招きする。眉を寄せたまま凱斗は采希の身体に近付き、そっと覗き込む。

 ふわふわと乱れた采希の髪を撫でると、全身に電流が走った気がした。


 凱斗の頭に急激に流れ込む、意識。


(白虎か? 采希の身体に残って……ああ、そう言う事か)


 ゆっくりと、采希の頭部から手を離す。


「……黎さん、これって……」

「白虎と瀧夜叉が必死に護っているな」

「…………だよね……」

「なになに? どう言う事?」


 凱斗と黎の間にカイが身体を割り込ませた。柊耶も『よく分からない』とでも言いたげに眉を寄せている。


「うーん。何者かが采希の力を奪おうとしたようなんだけどな、不測の力が働いて、采希の意識だけがどこかに飛ばされた。残された身体だけでも手に入れようとか、考えたらしいな。……でも、采希の身体の方には守護である白虎と瀧夜叉が残ってて、身体を護ってる、ってとこか?」


 黎が確認するように凱斗を見た。


「……だと思う。白虎が同じように言ってたよ。姫さんは衝撃で飛ばされたらしい。本体の地龍が追ったみたいだけど……でも――」


 琥珀が見当たらなかった。

 白虎は、采希の意識だけが飛ばされたと凱斗に伝えてきた。ならば、琥珀はこの身体に残っているはず。


(バングルも、ここにあるのに。そんで、采希はどこに飛ばされたんだ?)



 自分の経験値の低さと知識量の不足に、凱斗が歯ぎしりしそうになっていると、勢いよくドアが開いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る