54. 魔法道具の話

 魔法道具マジックアイテム


 ファンタジー系のラノベを少しでも読んだことがある人なら詳しく解説せずともお分かりだろう。

 魔力を流し込むと魔法が発動するマジカルな道具である。


 ファンタジーを題材にしたゲームや小説では当たり前となっているこの魔法道具マジックアイテム、実は現実世界にも存在している。

 定義は「魔法構成式を書き込まれたオブジェクトのうち、起動することで魔法を発動するもの」。

 実にシンプルだね。


 魔法道具マジックアイテムは謂わば電卓のようなもの。

 電卓が数式を入力すると勝手に計算結果を弾き出してくれるように、魔法道具マジックアイテムは魔力を入力すると魔法という結果を弾き出してくれる。

 感覚的には、一種の外付けデバイスになるだろう。

 現代に存在するほぼ全ての電化製品は、元を正せば魔法道具マジックアイテムと同じ理念で作られている。動力魔力を入れれば勝手に結果魔法を出してくれるという意味では、両者は全く同じと言っていいだろう。

 魔法使いが作る道具アイテム、電化製品ならぬ化製品である。


 こうして見ると魔法道具マジックアイテムとはなんとも素晴らしいものではないか、と思われるかもしれないが……実はそんなことはなかったりする。

 何を隠そう、現代では魔法道具マジックアイテムを使用する魔法使いはそんなに多くないのだ。






 魔法道具マジックアイテムの最大の長所は、いちいち魔法構成式を組み立てなくて済むところにある。

 事前にオブジェクトに書き込んだ構成式に魔力を流すだけで魔法が発動するから、その分の脳領域を節約できる、という仕組みだ。

 しかし残念ながら、この長所こそがだったりする。

 何故なら、一人前の魔法使いは魔法道具マジックアイテムで脳領域を節約する必要が一切ないからだ。



 人間の脳は通常、7%〜10%程度しか使用されていない。

 機能ごとに別れた脳領域を役割に沿って効率よく使うため、所謂「脳のすべてをフルに活用する」ということがないのだ。

 対して、魔法使いの脳は特別である。

 演算の際の総合的な脳使用率は50%を超え、その反応速度と処理速度は常人のそれを遥かに凌ぐ。

 一般人ならば処理しきれない量の情報でも、魔法使いなら難なく処理できる。

 魔法使いと一般人の最大の区別はここにある、と説く学者も少なくない。



 魔法使いが魔法を発動するときに読み解く「情報構造体」も、そこに書き込む「魔法構成式」も、どちらも信じられないくらい膨大な情報を秘めている。


 具体的な話をしてみよう。


 一般的な下級1〜3次元魔法は、約1万の魔法文字で構成されている。

 1万文字と聞くと「なんだ、ネット小説一話分ぐらいの文字数で大したこと無いじゃん」と思われるかもしれないが、とんでもない。

 魔法文字は一般的な文学文字とは完全に異なり、一文字一文字に膨大な情報を秘めている。

 文字そのものに魔法的効力が宿っているため、その文字を刻むだけで効果を発揮するのだ。

 例えば、魔法文字の一つ──ヘブラエア古典ヘブライ文字における「עアイン」は「目」や「泉」を意味する一方で、「認識」「生命」「非接触」などの意味もある。構文次第ではこの一文字で「眼球」「湧き水」などの具体的物質1〜4次元概念から「可視性」「精神体アストラレーテ」などの非実体概念6〜12次元概念までをも表すことができてしまう。

 構成式を構築する際は、魔法文字の意義を単一に絞るために「文脈定義」や「条件定義」などの手法を使うものの、それはただ単に「あいうえお」の「あ」の部分だけを使いたいから「いうえお」の部分を隠して「あ■■■■」にしたようなもので、決してただ「あ」だけにしたわけではない。

 どんな処理をしようと、魔法文字自体が秘める情報の多さは変わらないのだ。


 このように、魔法文字は存在そのものが巨大な情報の集合体だ。

 そのため、魔法文字1万文字というのは、実はものすごい膨大な情報量なのである。


 もっと解りやすく、デジタルデータに換算してみよう。

 もし「日本語1万文字」をパソコンのテキストファイルにするのであれば、インターフェースにもよるが、せいぜい50KBキロバイトもあれば事足りるだろう。

 スマホの容量が軒並み64GBギガバイトを超える現代人にとっては、取るに足りない容量といえる。

 だが、「魔法文字1万文字」をデジタルデータに換算するのであれば、約200PBペタバイトというとんでもない数値になる。

 簡単に言えば、1TBテラバイトのパソコン用ハードディスク20万5千個分の容量だ。

 オンラインゲーム会社のサーバーでも、ここまでの容量を有するのは少数だろう。


 で、これはまだ下級1〜3次元魔法の話。


 中級4〜7次元魔法であれば、魔法文字で約10万〜1000万文字となる。

 デジタルデータに換算すれば、約2〜200EBエクサバイトという普通に生活している分には絶対に耳にしない容量となる。

 これは全世界に存在するデジタルデータの総量の約20分の1に当たる。

 もはや単一のデバイスには入り切らないデータ量だ。


 これが上級8〜11次元魔法ともなれば、魔法文字で約1億〜8兆文字になる。

 ここまで来ると、もうデジタルデータに換算するのがバカバカしくなる。

 っていうか、換算する意味がもうない。

 とにかく文字がいっぱいで情報がいっぱい、そういう風に理解すれば正解です。


 そして、これすらもまだまだ「一つの魔法」の文字数情報量の話なわけで。


 情報構造体ともなれば、一つの物体もしくは一つの生物に対し、第1層が魔法文字で約9億文字、第2層が約800億文字、第3層で約90兆文字、第4層は約8京文字となる。

 それが第12層まで続くのだから、その情報量のとんでもなさが分かるというもの。

 正直に言うと、我々魔法使いでも情報構造体を解読するときは12層全部ではなく、部分的にしか読み取らない。

 流石に情報量が多すぎるから、全部読んでいたら脳が壊れてしまうからだ。



 と、このように、我々魔法使いは常に信じられないくらい膨大な量の魔法文字情報を脳内で処理している。

 魔法一つ発動するにも、膨大な量の情報を適切に、迅速に、精確に処理する必要がある。

 だから、どうしても常人では想像すらできないような高度な脳機能が要求される。


 魔法使いの脳機能は、特殊な訓練を積むことで──個人差はあれど──向上させることができる。

 魔法使いとして熟練であればあるほど脳機能が発達し、その分、情報構造体の解読も構成式の構築も早くなり、同時発動できる魔法の数も種類も多くなる。


 熟練の魔法使いにとって、構成式の構築を魔法道具マジックアイテムで省略させることに大きな意味はない。

 100GBギガバイトもあるハードディスクからたったの10KBキロバイトを節約してもしょうがないよね、という感じだ。


 脳領域の節約という点で魔法道具マジックアイテムが用いられるのは、殆どが大儀式級の魔法を行使する場合だ。

 例えば、火山の噴火を抑制する《鎮山怒大法ゼンサンヌダファ》という儀式魔法には、2000を超える複合構成式が必要になる。

 普通の魔法使いが一人で同時処理できる構成式の平均数が32〜64個であるのを考えれば、このような儀式魔法を一人で発動させるのがどれだけ難しいか分かるというもの。

 術者の負担を軽減するために魔法道具マジックアイテムを用いるのは、大抵がこういった場合だ。

 寧ろ、こういった場合以外で一人前の魔法使いが魔法道具マジックアイテムを使うことはほぼ無いと言っていい。

 ……まぁ、儀式魔法が必要な事態なんてそうそうないし、あったとしても大規模魔法専門の魔法使いの仕事だから、結局、大多数の魔法使いは魔法道具マジックアイテムの世話になることはないんだけどね。






 この他にももう一つ、現代魔法使いが魔法道具マジックアイテムを使わない大きな理由がある。



 それは、魔法道具マジックアイテムの最大の欠点──

 起動するまでに、結構なタイムラグが発生することだ。



 魔法道具マジックアイテムは、以下の手順を経て発動する:


 ① 構成式を読み込む

 ② 与えられた条件を解読し、条件に合った変数を入力する

 ③ 魔力を消費し、構成式を実行ラン

 ④ 魔法発動


 理系の人が見れば一目瞭然だろう。

 これは、関数式の計算、或いはコンピュータープログラムの実行と全く同じ手順なのだ。


 ここで大事なのは、これらの手順の実行に要する時間である。


 魔法道具マジックアイテムを通して魔法を発動する場合、上記の4つの手順は順番に実行され、魔法が発動する。

 だが、魔法道具マジックアイテムを用いずに普通に魔法を発動する場合は、その限りではない。

 熟練の魔法使いであれば、①〜④の手順を同時実行できるのだ。


 例えば、「様式『3』の構文を魔力『2』で限定起動し、様式『4』の構文を補助につける」という魔法を発動するとしよう。

 数式にすれば「3 x 2 + 4 = ?」だ。

 小学校を卒業している人間であれば、この数式を書いている間に既に「10」という計算結果にたどり着いているだろう。

 熟練の魔法使いも、同じような感覚で構成式を構築しながら魔法結果を直接出すことができる。暗算と同じような感じだ。


 だが、魔法道具マジックアイテムがこれを計算しようとすれば、


 ① 構成式「y = ax + b」を読み込み。定数「a」と「b」は条件係数、変数「x」は消費魔力と定義。

 ② 条件入力により、定数「a」を3に、「b」を4に規定。威力要求に従い、変数「x」は2に規定。

 ③ 構成式「y = ax + b」を条件「a = 3」「b = 4」「x = 2」下で実行。

 ④ 計算結果「y = 10」を出力。


 という風になる。


 ね?

 めちゃくちゃ面倒臭いでしょ?


 実際、この手順の実行には結構な時間がかかる。

 たとえ構成式がこのような変数規定型じゃなくて数値固定型──「y = ax + b」ではなく「3 x 2 + 4 = ?」の場合──でも、構成式の読み込みと算出の関係で、魔法が発動するまでにちょっとしたタイムラグが発生する。

 PCのソフトの立ち上げに時間が掛かるのと似たような感覚だ。


 これには書き込むオブジェクトの性質や性能が大いに関係している。

 CPUやメモリ、ハードディスクなどのハード面の性能によってソフトの立ち上げ速度が変わってくるように、同じ構成式でも「魔法使いの脳」によって処理・発動される場合と、「オブジェクトに書き込まれた構成式」によって処理・発動される場合とでは、速度に雲泥の差が生まれる。


 このようにソフト面とハード面の両方に一定の問題が存在するため、魔法道具マジックアイテムの起動にはどうしてもタイムラグが発生してしまう。

 発生するタイムラグは構成式を書き込んだ人の腕やオブジェクトの性質によってマチマチだが、どんなに短くても0.2秒、長い場合では発動までに1秒も掛かってしまうこともある。

 師匠が作った魔法道具マジックアイテムでさえ、最低でも0.2秒のタイムラグはあった。



 このタイムラグこそが、魔法道具マジックアイテムを無用の長物たらしめている最大の原因だ。



 反応速度が一般人の認識限界──0.1秒を遥かに超える魔法使いにとって、0.2秒のタイムラグは、もはや永遠とすら思えるほどの遅延だ。

 一人前の魔法使いなら、0.2秒もあれば構成式を組み立てては崩し、組み立てては崩し、ということを最低でも5回は繰り返すことができる。

 だから、わざわざ発動が遅い魔法道具マジックアイテムに頼る理由がない……いや、寧ろ邪魔なまである。


 一応、研究や製造・生産が専門の魔法使いたちは、己の専門に関係する実験器具や道具の魔法道具マジックアイテムに所有している。

 が、それは謂わば学習帳に付いてくる五十音表のようなもので、徒弟時代新米を過ぎれば──専門の魔法を十分に習熟すれば──二度と使わなくなり、未来永劫、工房の倉庫で埃を被ることになる。


 戦闘魔法使いに至っては、魔法道具マジックアイテムを使うことは「プロ意識の欠如」とさえ考えている。

 戦闘魔法使い同士の戦闘は、0.1秒で互いに5手は繰り出される世界だ。

 そんな文字通り「刹那を競う」ような戦いで、「発動までに最短でも0.2秒」などという鈍亀のようなアイテムが役に立つはずもない。

 マジで、陽動にすらならん。これは俺の実体験。

 というわけで、戦闘に魔法道具マジックアイテムが使われることは決してない。






 このように、現代の地球では魔法道具マジックアイテムは些かならず冷遇されている。


 某リンゴ社のスタイリッシュなOSや某窓社のリーズナブルなデバイスが全盛の現代で冷蔵庫みたいにデカいパンチテープ式のコンピューターが売れないのと同じように、現代では暗算でも十分なのに発動が遅い魔法道具マジックアイテムをわざわざ使う魔法使いなど殆どいないのだ。

 一応、現代でも「死海文書全書」や「釈迦提桓因陀羅滅魔金剛杼」など、めちゃくちゃ有用な魔法道具マジックアイテムもちゃんとあるにはある。

 が、それらはどれも特一級の貴重品で、ほぼ全てが魔法使い協会の厳重管理下にある。これらが実際に使用されるのは、それこそ人類滅亡が間近に迫ったような緊急時だけだろう。

 だから、一般の魔法使いが「有用な魔法道具マジックアイテム」などという物にお目にかかる機会は、殆ど一生巡ってこないのだ。

 これも、現代魔法使いの魔法道具マジックアイテム離れを助長させる一因となっている。


 決して淘汰されはしないが、決して流行りもしない。

 それが現代における魔法道具マジックアイテムの現状なのである。




 ──ただ、これは地球元の世界での話。




 この世界では、魔法道具マジックアイテムが大々的に活躍している。




 アレン達とムキムキオークの戦闘が、まさにその実例だろう。



 実は俺、彼らの戦闘をコッソリと影から見守ってたんだよね。オルガと一緒に。


 だって、初めて出会った本物の「冒険者」だよ?

 そして、初めて見るこの世界の人間と魔物との戦闘だよ?

 気にならないわけないじゃん!


 オルガさんに関しては、ワクワクしながら彼らの後を追う俺の「監視役ストッパー」ということらしい。

 ……なんでそんなのが必要なん?




 閑話休題。




 アレン達の戦いを見て分かったことだが、アレンたち「アレイダスの剣」は結構強い。


 リーダーのアレンは「剣技多めの魔法少なめ」という所謂「魔法剣士」スタイル。

 レクトは盾を中心とした「防御多めの攻撃少なめ」という所謂「盾戦士」スタイル。

 ダナンは後方から「魔法攻撃多めの回復魔法少なめ」という所謂「魔法師」スタイル。


 オルガさんの解説によると、アレンたちは「ランク6」という上から数えて3番目の──かなり高位の冒険者であるらしい。

 冒険者の世界は完全実力主義で、天才に努力と幸運が上乗せされて初めて辿り着ける「ランク7」と、世界に数十人しか居ない人外バケモノである「ランク8」を除けば、「ランク6」というのは実質的に常人が辿り着ける最高峰だそうだ。

 そんなランク6に弱冠18歳で到達したのだから、アレンたちは間違いなく本物の「実力者」だろう。


 実際、一人ひとりの技量はかなり良かった。


 力技に頼らない、適切な状況判断。

 訓練を積み重ねて初めてできる、咄嗟の対応。

 血を吐くような努力の末にやっと身に付く、卓越した技の数々。

 努力の結晶と才能の華が随所に見られる、見事な身のこなしだった。

 元の世界で何度か見たことある眼高手低な半端魔法使いたちよりも、よほど見どころがあるだろう。


 PTとしての連携も、かなり高い水準でまとまっていたと思う。

 とある識者によれば、トップクラスの組織にはチームプレーなどという都合のいい言い訳は存在せず、有るとすればスタンドプレーから生じるチームワークだけらしい。


 例えば、バスケットボールの世界大会におけるアメリカのオールスターチームがまさにそれだ。

 NBAで活躍する彼らは、本来は違うチームに所属するライバル同士である。そんな彼らを集めたアメリカ代表チームは「ドリームチーム」などと呼ばれているが、実質はトップ選手を無理やり引っ張ってきただけの、謂わば「寄せ集め集団」だ。連携チームワークなどあったものではない。

 しかし、そんな烏合の衆である筈の彼らは、何時もたった数ヶ月の訓練で世界トップのチームに化けてしまう。

 それはなぜか?

 確かに、監督の俯瞰的指導も重要だろう。

 シーズンゲームの合間に行われる訓練も大切な一要素だろう。

 サポーターの応援も効果が有るだろう。

 もしかしたら、スポンサーの援助も功を奏しているかもしれない。

 だが、それらは根本的原因ではない。

 一番の理由、それは彼ら個々人のスキルの高さだ。

 ──ここにいればボールが来るだろう。

 ──俺ならこの瞬間、あそこに行くな。

 ──このタイミングで俺がこう走ればすればアイツはああ動くはず。

 そんな類稀なる才能と無限を数える程の経験から導き出される状況判断──最適解が、彼らの「個々の行動」を「チームとしての連携」へと変えている。

 それは、自分の高い実力への自負とチームメイトの高い実力への信頼が作り出す──無意識のチームワークだ。

 プロはプロを知る。

 卓越した技量を誇るがゆえに、卓越した技量を持つ者同士で卓越した連携が生まれるのだ。


 どれだけ訓練を積み重ねても、ポンコツの集団は「優れたポンコツ集団」にしか成り得ない。

 個々の高いスキルがあって初めて、そのチームはよりハイレベルな集団へと昇華する。

 これは、なにも表向き存在しない攻性の公安組織にしか当て嵌まらないセオリーではない。

 現に、アレンたち「アレイダスの剣」はそれを実践してのけている。


 簡略化した合図でのやり取り。

 互いの行動を予測した上での立ち回り。

 攻め時と引き際を的確に見極める判断力。

 その場に合った役割を瞬時に悟り、各々がそれをきっちりと熟せる連携。


 無意識下にまで刷り込まれた的確な動きは、PTメンバーの負担を最小にし、相手への効果を最大にする。

 特に、あの最後の攻守の切り替え──囮役をレクトからダナンに瞬時に切り替えた手腕は、まさに専門職の人間プロフェッショナルにしかできない神業だった。


 味方を的確にサポートし、尚且自分も全力を発揮する。

 言葉にすれば簡単だが、実際に行うのは難しい。


 俺が以前戦った覆面集団は、集団としての行動を意識するあまり、個々の力の発揮を無意識に抑制していた節があった。

 相手を囲んで一斉に攻撃するべき場面で一人づつ攻撃したり、波状攻撃を仕掛けて相手を弱らせるべき場面で一斉に飛び掛かったりと、少なくない粗があった。

 1の力を持った10人が集まって10の力になっていたはずなのに、連携チームワークを重んずるあまり個々に0.7の力しか発揮できなくなり、結果7の力にしかなずに逆に弱くなってしまったのだ。

 俺が彼らを「素人」と批評したのも、こういったところが露骨に現れていたからだ。


 その点、アレンたちはあの覆面集団と違い、個々の高いスキルをきちんと活かし、卓越した連携プレーを存分に発揮していた。


 文句のつけようがない実力者。

 それがアレンたちだ。


 ただ──

 それでも──

 あの山賊のお頭みたいなムキムキのオークには、到底敵わない。


 正直言って、あのムキムキオーク、生物として明らかにおかしいからね?

 以前に戦ったブリーフ君(故)……グラトニーエイプだったか……あれよりもとんでもないからね?


 殆ど刃物が通らない、頑丈な皮膚。

 人間よりも密度と性能が段違いに高い、強靭な筋肉。

 瞬時に全身に魔力を循環させることができる、熟練度の高い魔力操作。

 極めつけに、プラナリアも真っ青の、驚異の高速肉体再生能力。


 もうね、ゲームや漫画からそのまま飛び出てきたような、ボス級といえる魔物だった。

 明らかに人間が相手できる存在じゃないよね。

 っていうか、地球の新米魔法使いでも、下手したら殺られちゃうレベルだからね?

 チートって、多分こういう生き物のことを言うんだろうね……。


 アレンたちの会話とオルガさんの補足によると、あのムキムキオーク──オークの支配者オークロードというらしい──は、アレンたちと同じ実力帯の「レベル6」だそうだ。

 つまり、アレンたち「アレイダスの剣」は、あのオークロードと「同格」ということになるらしい。


 ……いやいや、そんなわけないよね?

 明らかにオークロードの方が強いよね?

 あんなのと肩を並べられるのは、超人ハ◯クくらいだよね?

 冒険者ギルドの等級分け、ちょっと強引すぎひん……?


 確かに、知性や戦闘技巧、戦略性を比べればアレンたちに軍配が上がるだろう。

 だが、肉体面──パワーとタフネスを比べれば、アレンたちはあのオークロードの足元にも及ばない。

 両者とも一長一短はあるが、身体能力や戦闘能力などの基礎スペックを比べれば、それこそ月とスッポンだ。


 長剣を主武器にするアレンは、単独ではオークロードに決定的な打撃を与えることはできなかった。

 盾戦士であるレクトも、オークロードの頑丈さと高速再生能力を前に今ひとつ攻め手に欠ける様子。

 ダナンの攻撃魔法も、オークロードに有効打を与えられるものはなかった。


 対するオークロードは圧倒的な腕力を持ち、一撃でもまともに入れられれば瞬殺が確定する。

 受けた攻撃は高速で回復し、殆ど戦闘に支障をきたさなくなる。

 もちろん、無限に回復できるわけではないだろうが、それでもアレンたちの攻撃程度であれば殆ど気にしなくて良いのだ。

 1対3でも、かなり戦いやすい状況だろう。


 各種ステータスを見比べてみれば、オークロードがどれだけ優位に立っていたかが分かるだろう。

 はっきり言って、アレンたちとあのオークロードがガチンコでやり合うのは自殺行為でしかない。


 もし俺があのオークロードと戦うなら、無闇に近づかずに遠くから3次元魔法の《無酸素領域アノキシック・フィールド》を広範囲に展開して、じっくりと窒息死させる。

 どれだけ攻撃力が高くて頑丈で高速再生ができても、窒息させれば確実に、安全に仕留めることができるだろう。

 魔力消費を気にしなくていいのであれば、11次元魔法の《終焉の種火フォイアー・ディス・エクピロシス》を使ってもいいだろう。

 情報構造体そのものが意味消失して虚無の彼方へと消え去るから、残骸証拠すら残らない。

 オークロードが11次元防御魔法を使ってくるか、若しくは俺の構成式に書き換えリライトを仕掛けて来ない限り、瞬間消滅は確実だ。

 どちらにせよ、魔法を使えば容易に倒せる相手である。


 そんな俺と違って、アレンたちは有効的な遠隔攻撃手段を持っていない。

 そのため、常に自分たちの身を危険に晒しながら戦うしか無い。

 それも、攻撃力も耐久性も遥かに優れている相手と、至近距離で。

 持久戦になれば……いや、少しでも戦闘が長引いてダナンの魔力が尽きれば、回復役が居なくなったアレンたちは瞬く間に全滅してしまうだろう。


 生物という観点で見れば、オークロードは明らかに格上と言える存在だ。

 有効的な攻撃手段がない以上、ただの人間でしかないアレンたちがオークロードと「同格」になるはずがない。

 冒険者ギルドは、恐らくアレンたちならばあのオークロードクラスの魔物を倒すことがと判断して、両者を「同格」と認定したのだろう。


 ……いやいや、「結果的に」「できる」からって、「やれて当然」って訳じゃないからね?

 考え方が師匠無茶すぎるよ、冒険者ギルド……。


 ハッキリ言って、アレンたちにとっては勝ち目の薄い戦いだった。

 ちょっとしたミスで誰かが重症を負い、そのまま立て直せずに全滅する、なんてことが起こる確率だって決して少なくなかった。



 だが、そうはならなかった。



 俺からすれば薄氷の上をタップダンスしながら歩いているような戦闘だったけど、結果としてアレン達は大きな怪我もなく生き残り、オークロードは死んだ。


 この差は、果たして何処から生まれたのか。


 戦略?

 チームワーク?

 いやいや、そんな付属要素ソフトパワーであんな理不尽な生物に勝てるんなら、俺はとっくに師匠を打ち負かしているよ!


 戦略とチームワークさえあれば無敵なんて、そんな事あるはずがない。

 戦略とチームワークが功を奏するのは、力量が近い──小手先のテクニックでどうにかできる相手だけだ。

 オールスターチームだって、相手が同じ「人間」だからこそ、個々のスキルを駆使する余地があるのだ。もし相手が全員、自由自在に空を飛べるスー◯ーマンやハン◯ックのような超人集団だったら、いくらオールスターチームでも試合にはならないだろう。


 戦略やチームワークは謂わばオプションのようなもの。

 地力があまりにもかけ離れた相手に対しては何処までも無力なのだ。

 これは俺の実体験。

 戦略とチームワークがアレンたちの勝利に寄与したのは確かだが、それは決定的要因ではないだろう。



 アレンたちが戦闘力で圧倒的優位にあったオークロードに勝てた最大の理由。

 俺が考えるに、その答えは「色んな機能が搭載された、壊れない武器」──魔法道具マジックウェポンにある。



 よく漫画で達人同士が剣で斬り合うシーンがあるが、あれが成立するのは互いの持つ武器が両者の技量に耐えうるものである場合のみだ。

 丸めた新聞紙でチャンバラをしてもすぐに新聞剣(仮)が折れてしまうように、互いの腕力や攻撃力に耐えられない武器では「打ち合い」などできはしない。

 得物の性能は、武器を使って戦う人間にとってはとても重要なのだ。


 アレンとレクトが使っていた武器は、全て「魔法金属」でできていた。

 魔法金属は原子核の内外に魔力的作用が働いている物質(主に金属)を言う。

 有名所では、銀の原子内クーロン力が「ラザフォード魔引斥力」に置き換わった「真銀ミスリル」や、陽子数と電子数が極端に多い鉄「堅鋼アダマンチウム」などだろうか。

 ファンタジー的金属の代表格である。


 遠目から見ただけだから確証は持てないけど、アレンが使っている長剣、多分あれは「M-Mi3389」と呼ばれる合金だろう。

 レクトの盾も、恐らく「M-Mi3364」という合金だと思う。


 ここで言う「M-Mi」系統の魔法合金は、9世紀頃に「シリラ・ヴァンペッラ」というフィンランドの女魔法使いが鉄、炭素、マンガン、ケイ素、ミスリルを錬成して作り出したものだ。

 通称「シリラ銀鋼」。

 オルガさんによれば、こちらではシリラ銀鋼のことを「シリラ合金」というらしい。

 こっちでも「シリラ」って人が発明したのかな?

 かなり面白い一致だ。

 シリラ合金は、質量が軽く、硬度と強度が高く、魔力伝導率が高い。

 性能が優秀であるのに加え、ミスリルさえ錬成できれば作るのにそう苦労しないため、超巨大建造物の骨格や魔法道具マジックアイテムの素材としてはかなり扱いやすい部類に入る。


 アレンの長剣はシリラ合金製であり、更には魔法道具マジックアイテム──武器の場合は魔法武器マジックウェポンと呼ぶらしい──である。

 性能は「込めた魔力に比例して剣身に炎を纏う」というもので、これはオークロードにトドメを指した時に使用された。

 普通の鋼製の長剣と比べれば遥かに硬度と強度が高い上に、斬った相手を内部から焼くことができる機能もついているのだ。

 それなりに高性能な魔法武器マジックウェポンと言えるだろう。


 レクトの盾もそうだ。

 レクトの盾には「盾表面に魔力防護膜を形成し、衝撃を空気振動に変換して逃がす」という機能が備わっていた。

 オークロードの攻撃を受け止めた時に甲高い衝撃音が鳴ったのは、この機能が発動したからだ。

 この機能のおかげで、レクトはオークロードの強力な攻撃を何度も無効化していた。


 そんなアレンたちの魔法武器マジックウェポンに対し、オークロードの持っていた巨大な包丁みたいな剣は……まぁ、ある意味魔法武器マジックウェポンではある。

 その機能は「剣身に魔力を纏わせて刃の摩耗を防ぐ」という「えっ、それってわざわざ魔法武器マジックウェポンにしなくても魔力を込めれば普通にできることじゃね?」と思わせるような代物だった。

 素材はアレンたちのと同じシリラ合金系統だが、恐らくは「M-Mi1052」という合金だろう。

 この合金は縦方向からの圧力には強いが、横方向からの圧力には弱い。

 硬度と強度も3000番台の合金に劣るため、建材としてはとても優秀だが振り回す武器にはあまり向かない素材だ。


 この「武器の差」が、アレンたちを救った。


 オークロードの魔法武器マジックウェポンは、その「刃こぼれを防ぐ」というショボい機能のおかげで、なんとか壊れずにアレンたちの武器と打ち合うことができていた。

 オークロードが剣に込めていた魔力は全て剣の情報構造体の維持、言い換えれば剣が壊れないように補強をするためだけに使われていた。

 そのため、オークロードの攻撃力は実質、その腕力だけに等しい。


 解りやすく言うと、アレンたちがバットを使っていたのに対し、オークロードは「新聞剣(仮)」を振り回していた、ということ。

 ただ、その腕力ゆえに破壊力は凄まじく、やはり人間では当たっただけで確実に致命傷になる。


 地の身体能力に絶対の差が存在する以上、アレンたちはオークロードの攻撃を全て回避だけでやり過ごす事ができない。

 事実、回避に限界を感じたアレンはその後、多くの攻撃を長剣による受け流しやガードで凌いでおり、レクトに至ってはほぼ全ての攻撃を盾でガードする形で対処していた。


 その際に重要となってくるのが、武器の差だ。


 オークロードの武器が劣っていたおかげで、アレンたちの武器はオークロードの圧倒的腕力による攻撃を受けても壊れることがなかった。

 それでお互い対等であるかのように打ち合うことができたのだ。

 逆に言えば、もしオークロードがアレンたちと同じ性能の武器を持っていたなら、アレンたちは打ち合いで負けていた、ということでもある。


 この戦いは、武器の性能が生死を決する戦いだった。


 アレン達の魔法道具マジックアイテムの性能がオークロードのそれよりも良かった。

 だからアレンたちは「作戦やチームワークを駆使すれば勝てる」土俵に上がれた──勝つ光明が見えたのだ。

 まさに魔法道具マジックアイテムの勝利と言える。



 ……まぁ、色々と言ったけど、俺の場合は相手の実力を見抜く眼が節穴だから、この分析も全部間違っているかもしれないけどね……。




 正直言って、アレンたちには感謝しかない。

 危険な相手オークロードを発見したのに、彼らは逃げるのではなく戦うことを選んだ。

 しかも、その理由は富や名声のためではなく、我らがピエラ村を守るため。

 もし彼らが撤退を選んでいたら、俺がコッソリとオークロードを始末しなければならない羽目になっただろう。

 ジャーキーに任せるという手もあるけど、彼らにジャーキーに対する警戒心を抱かせるのは得策ではないから、結局は俺の仕事になっていたはず。

 アレンたちが冒険者として、何より人間として崇高な精神を持っていたからこそ、俺達は色んな意味で救われたのだ。

 そこには実力がどうとか立場がどうとか関係なく心から感謝している。

 オルガも、最初は警戒すら含んでいた彼らへの視線が、今では少し優しくなっている。


 そんな彼らだからこそ、俺は心配して止まない。


 特にアレンさん。

 あなたのその魔法武器マジックウェポン、かなりポンコツですよ!


 長剣に刻まれている魔法構成式を覗いてみたけど……なんというか、幼稚園児が書いた作文みたいな感じだった。

 魔力を消費して炎を剣に纏う、という性能は良いが、まぁ構文が滅茶苦茶で無駄が多い。

 ハッキリ言って酷い出来である。


 俺たち魔法使いなら、合理的且つ簡潔に構成式を書き込む。


 式で表すのであればこうだ。

 先ず、魔力注入量「x」を定義し、発動したい魔法を「y」と定義する。

 魔法は、「炎を纏わせる」という効果が欲しいので、《万色の衣:赤》という3次元魔法か、《元素纏繞エレメント・コイル火炎ブレイズ》という9次元魔法などがいいだろう。

 そして、魔法yの構成式「f(x)」に当て嵌めて「y = f(x)」という形で書き込む。

 発動する魔法yの威力は構成式f(x)に従い、込める魔力量xの変化に準じて的確に変化する。

 無駄の無い、効率的な構文である。

 実に美しい。


 対して、アレンの長剣の構成式……これを構成式と呼んでいいのか迷うが……とにかく、そこに書かれていたのは「このくらいの魔力ならこのくらいの火を出して、こ〜のくらいの魔力ならこ〜のくらいの火を出して、こ〜〜のくらいの魔力ならこ〜〜のくらいの火をだして──」というような超アバウトで超感覚的なものだった。


 ね?

 幼稚園児の作文みたい、っていう俺の感想はあながち間違いじゃないでしょ?


 これでは構成式の読み込みが遅い以前に、込めた魔力の半分以上が無駄になるだろう。

 よほどポンコツな新米魔法使いでも、もっとマシな構成式を書くと思う。


 くっ、魔法使いとしてのプライドが疼く……。

 こういう適当な記述を見たら直したくなって仕方がない……。


 命をかけて俺たちを救ってくれたアレンたちには、何かお礼がしたい。

 例えば、魔法武器マジックウェポンをコッソリ改良してやるとか。

 だけど残念ながら、立場的にそれはできない。

 というか、オルガさんに思いっきり止められている。


 オルガによれば、この世界の魔法道具マジックアイテムはどれも高価で、普通の農民には縁遠いものであるらしい。

 加えて、性能の方も控えめで、魔力もそれなりに食うとのこと。

 だから、オルガからすれば、俺が3分程でパパっと作った魔法道具マジックアイテムですら「性能がおかしい代物」になるのだそうだ。

 彼女には珍しい三白眼で「あなたの作る魔法道具は全て神造物クリーチャーレベルですので、絶対に他人には見せないようにしてください。同じ村の人でも駄目です」と強い口調で言われた。


 実際は全部ちょっと便利なだけの、ただの家電なんだけどなぁ……。


 まぁ、元の世界とこの世界では魔法への理解と発展度合いが違うみたいだから、この結果も仕方のないものだと言える。

 言い方はとっても悪いが、現代の日本人にとってはもはや博物館に収めるべき骨董品となっている火縄銃でも、原始人から見れば神々の武器となるからね。

 俺がパパっと作った家電魔法道具でも、この世界の人間からすれば非常識の塊に見えるのだろう。


 何度も言うようだが、俺はこの世界をこき下ろすつもりは一切ない。

 幼稚園児が描いた絵を「へたくそ」とこき下ろす人間がいないのと一緒で、これは文明の発達度合からくる評価基準の相違というものであり、ただの客観的事実だ。

 そこには個人的情動は何一つ含まれるものではない。


 この世界は俺たち地球人の目から見れば、確かに「遅れている」と言えるだろう。

 だが、それはこの世界の人たちが悪いのではなく、俺という存在がこの世界にとって異質だからだ。

 技術とは、その時代の研究者たちの血と汗と涙の結晶だ。

 それを「遅れている」と嘲笑うのは、間違いなくその時代の研究者たちの努力への侮辱であり、ひいては学問に対する冒涜だ。

 未来人がいきなり現れて、現代人に「お前ら遅れすぎwwマジ猿と同じレベルwww」とか言ったら、我々現代人は誰だってイラッとするだろう。

 寧ろ「お前ら未来人はその『猿』の子孫であり、お前らの技術はその『猿レベルの技術』を基礎に発展したものだからな?」と反論するに違いない。


 だから俺はこの世界の魔法事情をこき下ろすつもりはない。

 寧ろ、俺はこれをこの世界の個性であると捉えている。


 我々地球の魔法使いは脳を酷使する魔法を重んじ、魔法道具マジックアイテムの活躍の場は減った。

 対するこちらの世界の人々は魔法道具マジックアイテムを多用し、地球とは違った形で社会を発展させた。

 その違いは、まさに日本家屋とゴシック建築の違いといえる。

 どちらが優れているとかはない。

 みんなちがって、みんないい。


 というか、俺的にはこっちの世界の方が断然良いと思っている。

 だって、元の世界向こうで使い慣れた家電を魔法道具マジックアイテムとして再現できるからね。

 こっちだと家電に使われている集積回路を作るのにも一苦労だし、個人でネジや配線などのパーツを量産するのは面倒臭いし、何より安定した電圧で発電し続けるのが難しい。

 それに比べ、魔法道具マジックアイテムは作るのが簡単で、エネルギー源は魔力だけ。性能も好きなだけ盛れる。

 量販店で買えばウン十万円する最先端家電も、自作すれば元手はゼロだ。


 何より、地球向こうと違って、こちらは魔法道具マジックアイテムに対する公的規制がないから、近所にバレない限りやりたい放題できる。

 魔法使いである俺にとっては、まさに天国のような社会環境だ。

 おかげで、かなり快適な生活が送れている。


 魔法規制がないとかマジ最高です。

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