あまがみ
やさしく、やさしくね。
お母さんが言うから、私はそっと口を開いた。
そうよ。柔らかいから、やさしくしないと駄目よ。
おそるおそる舌を差し入れて、そっと持ち上げる。
上手、上手。やさしくね。
私は褒められたのが嬉しくてよいしょ、と顎をあげた。
その瞬間ずぶりと牙が沈み込む。
『あ゛あ゛あ゛ッ』
聞こえた絶叫に思わず咥えたそれを吐き出して、耳を伏せる。
あぁ……だから言ったでしょう? 人間は柔らかいの。
あまがみでも皮膚が裂けてしまうわ。
次のペットを捜さないと駄目ね。
お母さんはそう言って、大きな牙が並ぶ顎を開いた。
忌憚幻想譚《キタンゲンソウタン》 奏 @kanade1122
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。忌憚幻想譚《キタンゲンソウタン》の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます