第13話 了承
トントトトントットントン――
こんなノックをするのは
「どうぞ」
扉を開け入室したアンの首には、嵌められているべきではない物が付いている――王妃マリーは顔を引きつらせ、怒声を飛ばす。
「全員、直ちに
人払いをした上で、アンを睨みつける。
「何故そんな物を付けているのか説明せよ」
たじろぐアンに怒りを露わにし近付くマリー。服を剥ぎ取り、乳首のピアスを引っ張る。
「痛っ!! 痛い痛いいたい」
乳首が千切れても構わない、心底そう思っているかのように一切の躊躇いなく引っ張る。
「
ピアスは一つ――通常は左右に一つずつ、二つは付けないと隷属できない。にも関わらず首には絶対服従の首輪。隷属を受け入れさせただけであれば、この首輪は付かない――相当格下の者に、自ら進んで全てを差し出している。それほどの信頼を寄せている相手は誰だ――
マリーが首輪を鷲掴みにし、何かを呟くとアンの記憶が映像となって一斉に再生される――母に見られている。
「待って!! やめて、見ないで!」
映し出されているのは、奴隷になってからの出来事。母親には見られたくないドゥと二人だけの秘密――
アンの読心能力により、マリーが見た映像が共有されている。映像は、音声より情報量が遥かに多い。
アンは記憶を再生しながらマリーが見ている映像を読み取り、それを更に再生しマリーが見る――終わりのない無限ループに陥った。再生と読み取りを同時に行い続け、処理しきれなくなったアンの脳はデッドロックが生じ活動を止める――
アンは失禁し放心状態になり、
奴隷風情に割く暇を持て余してはいないと言わんばかりに、アンの右乳首を摘むと手慣れた手付きであっという間にピアスを装着する。
アンは格下の者に隷属していることを全く気にはしないだろう。しかし、他人は違う――母親として、娘が堕ちた奴隷と扱われることになるのは看過できない。
気持ちを踏みにじることにはなるが、私が恨まれるだけで済むのならそれで良い――
乳首の痛みで意識を取り戻すアン――
「誰が休むことを許可した? お前が奴隷になることを受け入れれば契約完了だ、受け入れよ」
「ただお母様を助けたい一心なのに。何故こんな酷いことをするのよ!」
「受け入れよ」
もういいわよ――
「……はい」
両乳首に電流を流されているような強烈な痛みが走る。あまりの痛さにのたうち回る。
う゛ぁ゛あ゛ぁぁーー!
(お前は専属契約を蔑ろにした。全ての主の了承を得るまで、その痛みは続く。お前の
「わか……」
う゛っ!! う゛ーー!!
(発するなと言っただろ、一度で理解せよ。奴隷は主に念を飛ばせる。意思疎通は念話で行え)
「痛い……痛い痛い痛い痛い!!」
それどころでは無いか――
(早くドゥの了承を得よ)
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