第10話 絆

「お嬢様、私の契約を完遂させましょう」

 卓上に座り、股を広げるドゥ――


「あなたには契約を成立させるメリットが無いわよ」


 馬鹿よね――何故こんなことを言ってしまったのだろう。

 私はこの時間軸に来てからは常にドゥに疑いを持った状態で接し続けた。それなのに一瞬たりとも彼女を悪人だと、これから悪人になると感じる瞬間は訪れなかった。


 むしろ信頼に足る存在だと認識している――これからずっと彼女の奴隷として過ごすことになるとしても構わないとさえ思っている。


「お嬢様、契約を完遂させてください」

「でも……」


 首輪が絞まっていく――

「う゛っ……する……待っ……」


 意識が遠退く――


◇◆◇◆◇◆◇◆


「……様! お嬢様!!」


 望み通りにしないと――

「釘を……」

 渡された釘を握ると、絞まっていた首輪が緩む。


 主人の要求に従わないと首輪が絞まる仕組み――同人誌から得た知識のおかげで、生命の危機は回避できた。危うく何が起きているかわからないうちに逝ってしまうところだったわ。気を付けないと――



 ドゥの陰核は包皮に隠れていて刺し難いため、指先で刺激すると少し大きくなった――

 一気に打ち抜けば貫通させられそうね。



 トンッ!



 無事に貫通――あとはピアスに挿し替えていくだけね。

 ピアスはバーベルタイプが三個、リングタイプが二個。乳首から先に挿し替えていく。最後に陰核の釘をピアスに挿し替え、ボールを嵌め終えると――ドゥの首にも首輪が現れる。


「契約成立ね」


 ドゥは破顔しきっている。

「はい! ようやくお嬢様の奴隷になれました」


 気になっていることを聞いてみよう――

「何故、頑なに奴隷になることを望んでいたの?」

「お嬢様だけの所有物になれますから」

「侍女も同じだと思うのだけれど」

「全然違います! 侍女は世話をする役目を与えられているだけであって、代わりはいくらでもいます。望んでも、所有物にはなれません」

「ずっと一緒に過ごしてきたのだから、これからも」

「お嬢様と居られる期間は残り二年です。十五歳になったら夜伽係になることになっていますから」

「そう……」

「でも! 奴隷は一生奴隷です。これからはずっと一緒に居られます。主従契約ではないので私はお嬢様専用の物です。奴隷の絆は最強なのです」

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