第6話 奴隷契約
「いいわよ。貴女は今から私の正式な奴隷ね」
ドゥは
「お嬢様、どうか正式に契約をしてください」
「今したじゃない! 神様との契約は『結んだ』の一言で終わったわよ。形だけでも何かして欲しいの?」
「申し訳ありません。お嬢様は初めての奴隷契約ですので、手順の説明が必要ですね」
「神様と結んだと言ってるじゃない」
「そのご契約は……『主従契約』ではないでしょうか。私とお結びいただくのは『奴隷契約』ですので手続きが必要です」
――同人誌で
「わかったわ。何をすればいいのかしら」
「私の乳首と
ピアスが奴隷の証になるのは同人誌では定番だったから知っている……だけど数が多いわ。
「五つも必要なの?」
「お嬢様は高位ですので、所有権を示す証は相応の部位に相応数必要です」
正式な儀式だから、するしかないのよね。
「三箇所に五つも付けられないわよ」
ドゥは装束を脱ぎ、乳首を摘んで見せる。
「縦と横に刺すことで二個装着可能です。支配力を誇示するものですので、多いのは構いません」
ドゥの身体を見渡す。耳にピアス痕は無い。他の部位にもそれらしき痕は見当たらない――
「ピアスを開けた経験は?」
「ありません」
身体にはピアス痕どころか、傷ひとつ見当たらない。傷付けることを躊躇うほどに手入れされている。
「綺麗な身体……」ふと口から出る。
「これからは、お嬢様だけの物です」
◇◆◇◆◇◆◇◆
出来るだけ先端が尖っている
初めて人を刺す。普通の生活を送っていて人を刺す経験なんてあるわけがない。
結構な力を込めて押し込んでも、皮膚が凹むだけで刺さる気配は全くない――
「っ……う゛……ン……」
声を押し殺しているが、簪を押し込む度に
押し込むのを止め、乳首にそっと触れるとピクッと跳ね、苦痛に顔を歪める――痛いわよね。
ピアッシングってこんなに大変なのかしら――注射針のようにスッと刺さると思っていた。
「先端がもっと尖っている物の方が刺しやすいわ。それに太過ぎると思うの。他に何か無いかしら」
ドゥは
「お嬢様の、所有物には、ございません」
たしかに、思い当たる物は無いのよね。
「他の方は何を刺してるのかしら」
「裁縫や調理、工作に用いる道具、千枚通し、アイスピック、キリ等です。お嬢様はどれもお持ちではありませんし、十歳で奴隷契約を結んだ前例はありませんので……やはり簪が最適かと存じます」
「十歳!?」
ドゥはきょとんとした顔で私を見る。
「お誕生日は来月ですので、今はまだ十歳です」
幽閉される直前からやり直しているのだと思い込んでいたわ。まだ父と母は生きているのね。
神様は粋な計らいをしてくれたわ。
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