第3話 幽閉
密室に突如現れた真っ白な髪、白い肌、整った顔立ちの来訪者――
(来たー! 待ちに待ったイベント発生!)
「遅いわよ! こんなに待たされるなんて思わなかったわ」
彼女と面識は無い――しかし記憶が無いため確証は無い。
「何故僕を待っていたの?」
とぼけた振りをしても無駄よ。私の物語を進めるために現れたことはわかってるのよ。
頭がくっつくほどに顔を寄せる。
「フラグでしょ!? フ・ラ・グ! 私は待ちくたびれてるの。早く進めましょ」
まずは契約、定番の展開よね。出入口が塞がれている、この何も無い空間に
「単刀直入に聞くわね、私は何をすればいいのかしら?」
「何を……とは?」
契約のことを知っている者にのみイベントが発生するという設定なのかしら――だとすると私から言い出さないといけないということよね。
「契約よ、け・い・や・く! 決まってるじゃない」
「何の?」
「私たちの物語を始めるためのよ! 定番のあれよ、あ・れ!」
「あれ……とは?」
やっぱり、こういう反応になるわよね――はっきり伝えないと、ずっと無意味なやりとりが続く仕様になっているのね。だいたい理解したわ。
少年の
「あなたと私の
◇◆◇◆◇◆◇◆
私には
最初はコソコソと
嫌がらせは少しずつエスカレートしていったけれど、そのうち飽きて止めるだろうと
それに私は間違っていないから、どんな嫌がらせを受けても絶対に屈してやるもんか! と
まさか殺されることになるなんて思っていなかったのだけれど――
私がしていたことは、武器と防具を持たずに裸で
今更後悔しても遅いのだけれど――とはいえ、死ぬこと自体には抵抗は無かったの。もしも生まれ変わったら、どんな人生が待っているのかしら――そんなことをよく考えていた。
ラノベが好きで、異世界転生物を好んで読んでいた。防御力に極振りして仲間と楽しい冒険をしたり、スライムに生まれ変わって国を作ったり――
◇◆◇◆◇◆◇◆
私は新しい人生に期待を膨らませていた。
期待以上の最高の人生が始まった。王様の長女として生を受け、何不自由無く過ごした。当たりくじを引けたと
でも、神様は私に苦難を与えたの――
十一歳の誕生日にお母様は病死し、父王は新たな王妃を
王位継承権を得られるのは十三歳以上。このときの私には王位継承権が無かったの。
義母にとって私は邪魔よね。王の血族は私しか居ないのだから、私が消えれば王位継承権を手中に収められる――十二歳の私はそんなこと、全く気にもとめていなかった。
消されることなんて考えて生きていないもの。
翌日、私は父を殺した罪で幽閉されたわ。十三歳を迎える前に消されたの――
せっかく
また同じ過ちを繰り返した――本当バカよね。
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