第4話 怪我人

__________


里を見て回ってる途中、買出し中のお姉さんが私を見て立ち止まった。


『ちょっとあんた、見ない顔だね。旅人かい?』と聞いてきた。


「あ、はい……旅人です……」


『そうかいそうかい!宿は決まったかい?安くしとくよ?』とここぞとばかりにセールストークをしてきた。


少し困りながらも

「あはは、ありがとうございます。でも優しいお方が私を雇って下さって、そこでお部屋を貸して貰いましたので、今の所大丈夫です。また家出したくなったらそちらの宿に泊まらせて貰いますから、その時は宜しくお願いします」とお辞儀をした。


お姉さんは『あぁ!それは良かったね!飴ちゃんあげるよ』とべっこう飴を貰い、手をブンブン振りながら『それじゃあね!』と去っていった。


また私は歩き出した。


_______

適当に歩いていれば、里の門前が賑わっているのを感じた

時刻でいえば…18時?


私は気になり、べっこう飴を持ちながら里の門前に向かった


子供達が走っていくのが途中見える


子供1『名取様が怪我して戻ってきたってさ!』


子供2『なにそれやっべー!かざぐるまとかあげたら元気でっかな!?』


子供1『バカ!そんなもんあげてどうすんだよ!』

と言う声と共に彼らは門前に向かった。


色々と思考を巡らせた結果

自分は何も出来ないとわかった事に何故か悔しさを感じた。


せめて顔くらいは…と思い私は門前に向かう事にした。


_________里の門前


そこそこの人が集まっており、その中心に怪我をしている青年がいた。

困った様に笑っており、服に血がついてるが、遠目からではどのような怪我なのか、分からなかった。


私は無意識に大きな声で

「怪我人様困ってますから、取り敢えず道あけましょうよ…!!私何も知らないポンコツものですけど!!!」

と言った。

後半絶対要らなかった気がする(確信)


私の声を聞いて、皆はシィンとなった。

そして、私の方を見た、あの子供達も私を見ている。

この瞬間がすごい怖すぎて仕方ない。殺されてしまうのか…?


私はつい自分の思いを呟いてしまった。

「……ひえっ、怖い…………慣れないことは、言うもんじゃないです……」正直今私は泣きそうな顔をしてると思う。くらい後悔している。


怪我人も驚いたような顔をしていたが、すぐに笑って『助かる』と言ってくれた。


『皆も本当にありがとう、私は大丈夫だけど、少しお腹がすいたんだ。』と照れたように笑った。


周囲の人達は『名取様はよく食べるからな』や「それはごめんなさいね!早くお帰りになって」など言って賑わい、散って行った。


”名取”と呼ばれた青年はふー、と息をついて屋敷に向かって行く。


色々と感情が混ざってしまって、あまり上手く言えないけど、怖い感情だけが残る。

私も自室に戻り、めそめそと泣いた。


泣いてる所、あの女の子がやってきた。

『はなちゃんちゃん〜、何かあったの?』と心配してくれた。


「け、怪我人がいたから、ちょっと、道開けてって、言って、皆がこっち見た時、すごく、怖く、怖かった」とまるで小学生くらいの語彙に戻りながら女の子に泣きじゃくる。


『みんな、目新しいものが苦手だからね〜。ついびっくりしちゃったのかも〜。大丈夫だよはなちゃんちゃん!そうだ〜、明日”””とみんなにご挨拶に行こ〜!しばらくここに、住むんだよね〜?』と優しく私をなでなでしてくれた。

女神か…?


しかし私はふと仕事を思い出し


「……でも、お仕事……」と言いかけた時

女の子は悲しそうな顔をした。


「……はおやすみすると、天狗のお姉さんに言ってきますね……」

女の子は嬉しそうに笑ってくれた。良かった


『じゃあまたあしたね〜!”””は、なとりのお世話をしてくるのだ〜!』と手を振って部屋から出ていった。


私は立ち上がり、お休みをするという事を知らせる為にお姉さんを探す事にした。

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不運少女 翡翠 @amanojyaku003

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