第4話 怪我人
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里を見て回ってる途中、買出し中のお姉さんが私を見て立ち止まった。
『ちょっとあんた、見ない顔だね。旅人かい?』と聞いてきた。
「あ、はい……旅人です……」
『そうかいそうかい!宿は決まったかい?安くしとくよ?』とここぞとばかりにセールストークをしてきた。
少し困りながらも
「あはは、ありがとうございます。でも優しいお方が私を雇って下さって、そこでお部屋を貸して貰いましたので、今の所大丈夫です。また家出したくなったらそちらの宿に泊まらせて貰いますから、その時は宜しくお願いします」とお辞儀をした。
お姉さんは『あぁ!それは良かったね!飴ちゃんあげるよ』とべっこう飴を貰い、手をブンブン振りながら『それじゃあね!』と去っていった。
また私は歩き出した。
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適当に歩いていれば、里の門前が賑わっているのを感じた
時刻でいえば…18時?
私は気になり、べっこう飴を持ちながら里の門前に向かった
子供達が走っていくのが途中見える
子供1『名取様が怪我して戻ってきたってさ!』
子供2『なにそれやっべー!かざぐるまとかあげたら元気でっかな!?』
子供1『バカ!そんなもんあげてどうすんだよ!』
と言う声と共に彼らは門前に向かった。
色々と思考を巡らせた結果
自分は何も出来ないとわかった事に何故か悔しさを感じた。
せめて顔くらいは…と思い私は門前に向かう事にした。
_________里の門前
そこそこの人が集まっており、その中心に怪我をしている青年がいた。
困った様に笑っており、服に血がついてるが、遠目からではどのような怪我なのか、分からなかった。
私は無意識に大きな声で
「怪我人様困ってますから、取り敢えず道あけましょうよ…!!私何も知らないポンコツものですけど!!!」
と言った。
後半絶対要らなかった気がする(確信)
私の声を聞いて、皆はシィンとなった。
そして、私の方を見た、あの子供達も私を見ている。
この瞬間がすごい怖すぎて仕方ない。殺されてしまうのか…?
私はつい自分の思いを呟いてしまった。
「……ひえっ、怖い…………慣れないことは、言うもんじゃないです……」正直今私は泣きそうな顔をしてると思う。くらい後悔している。
怪我人も驚いたような顔をしていたが、すぐに笑って『助かる』と言ってくれた。
『皆も本当にありがとう、私は大丈夫だけど、少しお腹がすいたんだ。』と照れたように笑った。
周囲の人達は『名取様はよく食べるからな』や「それはごめんなさいね!早くお帰りになって」など言って賑わい、散って行った。
”名取”と呼ばれた青年はふー、と息をついて屋敷に向かって行く。
色々と感情が混ざってしまって、あまり上手く言えないけど、怖い感情だけが残る。
私も自室に戻り、めそめそと泣いた。
泣いてる所、あの女の子がやってきた。
『はなちゃんちゃん〜、何かあったの?』と心配してくれた。
「け、怪我人がいたから、ちょっと、道開けてって、言って、皆がこっち見た時、すごく、怖く、怖かった」とまるで小学生くらいの語彙に戻りながら女の子に泣きじゃくる。
『みんな、目新しいものが苦手だからね〜。ついびっくりしちゃったのかも〜。大丈夫だよはなちゃんちゃん!そうだ〜、明日”””とみんなにご挨拶に行こ〜!しばらくここに、住むんだよね〜?』と優しく私をなでなでしてくれた。
女神か…?
しかし私はふと仕事を思い出し
「……でも、お仕事……」と言いかけた時
女の子は悲しそうな顔をした。
「……はおやすみすると、天狗のお姉さんに言ってきますね……」
女の子は嬉しそうに笑ってくれた。良かった
『じゃあまたあしたね〜!”””は、なとりのお世話をしてくるのだ〜!』と手を振って部屋から出ていった。
私は立ち上がり、お休みをするという事を知らせる為にお姉さんを探す事にした。
不運少女 翡翠 @amanojyaku003
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