第2話始まり

————死んだ!?なんだよいきなり!

 それもそのはず、いきなり見知らぬ人物にそんな事を言われて納得する奴はいない。

 しかも、さっきまで料理の試作をしていたのだ。いきなり死ぬような要素が思い当たらない。


「そんなはずないだろ!死ぬ要素なんか一つも無かったぞ!」


「いいえ、貴方は確かに死にました。死因はガスコンロからのガス漏れによる【窒息死】 となっています」


 それを、聞いた俺は反論する力をなくしてしまった、確かに煮込み料理の試作中にうたた寝をしてしまっていたのだ。

 自分の情けなさに脱力してしまった。

 そして、銀髪の女性は優しい落ち着いた口調で話し始めた。


「私は、死後の世界の運命を決める役目を授かっている女神エリスと申します。そして貴方はこれから、今まで生きてきた世界とは全く別の世界、【異世界】 に転生してもらいます。天界の諸事情により、選択肢はございませんので、ご了承お願いします」


女神が喋り終わった次の瞬間、俺が返答する暇もなく視界が青白い光につつまれていった。


————頭の中で聞き覚えのある優しい声がする。


「貴方の次の人生に幸せが訪れるように願っています」


 しばらくして目を開けるとそこには、今まで生きてきた世界とは似ても似つかない世界が眼前に広がって居た。

 日本の建造物とは大きく異なる、中世風の街並み、銀髪や緑髪、澄んだ青髪など現実にはないような髪の色。

 状況が飲み込めず硬直していたが、どうやら本当に俺は異世界に転生してしまったようだ。


 転生者の特権なのかわからないが、周囲の話し声は不思議と理解ができる。会話することはできそうだ。

 だが、状況は最悪だ。金は一銭もなく、もちろんお助けアイテムみたいなものがあるわけがない。

 所持品なし、人脈もなし、何一つないこの状況。はっきりいって詰んでいる。

 

(こんなんでどうやって幸せになるんだよ、無謀にも程が有るだろ)


 まず解決しなければならない問題は【金】だ、一文無しでは何もできない。この世界にはどうやら冒険者が集まるギルドのようなものがあるようだ。そこにいけば、依頼を受けて報酬をうけとれるはず。


 俺は、一文無し問題を打破出来る冒険者になるべく街のギルドを目指すことにした。

 だがそこに待ち受けていたのは最初の困難だった。








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