k01-01 志願表明式
『キプロポリス――冠水都市ウィステリア』
魔力を含む特別な鉱物“
その魔鉱石に関する研究・学問である”魔鉱学”を学ぶ総合教育機関、通称"テイル"
世界中に加盟校を持つ同機関の中でも、ここウィステリアのテイルは最大の規模を誇る。
「これより! ウィステリア・テイル、魔鉱戦術学科の志願表明式を開催致します!」
宣言を受け観客達から大きな拍手と声援が送られる。
巨大な野外講堂の中央に並ぶのは、今年グレード10に進級する生徒、男女合わせて197名。
年齢にして16,7歳前後の前途有望な若者達だ。
テイルでは、グレード10――年齢にして16,7歳のクラスに進級すると、
"マスター"と呼ばれる役職の教員の中から1人を選び、その"ファミリア"に所属する。
そして、同じ志を持つ生徒達と共に卒業までの数年を過ごす事になるのだ。
その所属先を決める式典が今正に執り行われようとしている。
一般公開される式典には在校生や保護者のみならず、将来彼らが就職するであろう政府機関や一般企業のリクルーターも訪れ、年に一度の大イベントとして華やかに開催される。
テイルの花形である魔鉱戦術学科となれば会場は満員だ。
マスターは成績優秀、将来有望な生徒を獲得したい。
生徒は有名なマスターに師事し学歴に箔を付けたい。
どの生徒がどのマスターに志願するのか――関係者一同が固唾を飲んで見守る。
観客席から熱い声援を受け、凛々しく整列する生徒達。
シェンナ・ノーブル・フェイオニスはその最前列に立っていた。
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