真実に近づく(秋田視点)

 俺は、友達の葬式から帰って自分の部屋へすぐに行く。本当は服なども着替えたいが、それよりも、気になることがある。

俺は部屋に入ると、部屋の隅にいき、立て掛けている椅子を広げて座る。そして、片手に持っていたある日記の表紙を待ちきれずめくった。

 俺はさっき、葬式から帰ろうとしていた時に、瑛太の母がやってきてこの日記を泣きながら渡してきた。『親友の真琴くんよりも、秋田くんのほうがいいから』と言って。

俺は正直【なんで真琴じゃなくて俺?】と思ったが『わかりました。』と言って受け取ってきた。だが、この日記の1ページ目で、叔母さんが何故俺に渡してきたか、分かってしまった。

 俺は瑛太の近くにいたが、瑛太がずっと心で思っていたこと、考えていたことについて全く知らなかった。1ページ、1ページと読み進めて行くが、友達だったのだから相談して欲しかった。俺は今更ながら自分自身がいかに無知だったか思い知らされる。

 そして、俺はこの日記を読み終えて、瑛太を殺した犯人が誰か。日記の中に出てくる人物の中にいるのではないかと、思うようになった。瑛太は生前、多くの人と仲が良かった。それもあり、日記には何人か名前が出てくる。俺もそうだ。だが、その中でも1番名前が出てくるのはやはり真琴である。俺は、まず真琴から犯人かどうか確認して行こうと決めた。

俺は、日記を近くにあるベットに置いて、椅子に寄りかかる。ぼんやり目の前の壁を見てると、一筋の涙が頬を伝っていった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

僕と親友 梶野七樺 @siosoruto

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ