僕と瑛太 (主人公視点)

僕と青井瑛太は、幼稚園の頃からの親友だった。何をするにもずっと一緒で、周りからはよく『2人で1つ』と言われていた。そのたびに僕は無邪気に笑っていた。だが、僕はいつしかその言葉を素直に喜べなくなっていた。小学校の高学年くらいになり、周りの反応に対して少しずつ意識するような年頃になった時に、僕と瑛太では見えている景色が、全然違うことに気づいてしまったからだ。瑛太は容姿に関して、昔から良かったが、更に磨きがかかり、おまけに運動神経や頭もめちゃくちゃ良かった。そうなると多くの人が、瑛太に魅了されていく。一種のスターのようなものだ。それに比べて僕は、どこにでもいるような全てが平均の存在感が薄いやつだ。そんな2人が親友とか随分とおかしな話だ。

僕はいつしか瑛太に対して劣等感を抱くようになった。もちろん瑛太には、そんな気持ちを知られないように、卑怯者の僕は瑛太が亡くなるまで何年も親友を続けた。それに僕は、別に瑛太自身を嫌いになったわけではなかった。むしろ今でも好きなくらいだ。

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