第3話 プロフェッショナル

 まずはアプリに、お仕事さがしを任せてみましょう。

 それっ、シャララリ~ン。

 スマートフォンに官公庁の受付フロアらしき絵が表示されます。

『アプリを職業安定所モードに切り替えました』

 カウンターの下から、ぴょこんと、二次元の美少女が現れます。


 やあやあ、わたしの娘ちゃん。

 こんちゃ~。

『ああ、まいさま。こんにちは。お元気そうで何よりです』


 いきさつを説明しつつ、お兄ちゃんにスマートフォンを押しつけます。

 まずはチュートリアルから。

『はじめまして。私の名前は、妹式まいしきティノー。疑似脳神経ニューラル情報処理機構コンピューティングをベースにした人工知能です』


 ほらほら、プロの力でさくっと手に職つけちゃってね★

「いや、やらんぞ俺は」

 だめですー。強制ですー。

 ティノちゃん、お兄ちゃんの仕事探しの手続きを、よろしくお願いします。

『はい。まずはお兄さまの情報をかき集めまして、と……、ふむふむ、わかりました。神場じんば直木なおきさま三十四歳、独身、職歴は』

「ボディーガードだ」

『職歴なし』

 うわ、無慈悲だぁ……。

『ご希望の職はございますか?』

「妹の、ボディーガードだ」


『妹さま、お手上げです』

 ちょ、諦めるの早くないっ?!

『すみません。今日はオフの日なので』

 んも~、仕方ないなあ。

 じゃあ方針を変えて……っと。


 えー、こほんっ。

 これから、お兄ちゃんには、彼女をつくってもらいます。

「なんだ、その、デスゲームみたいなノリは」


 汗をしたたらせながらタオルを手に取り、床にあぐらをかいたお兄ちゃん。

 も~、やる気なさすぎ。

 だったら、こちらにも考えがあります。


 彼女ができるまで、ご飯抜きだからねっ!


「ば、ばかな! いや、だがしかし、粉末衛生食プロテインはご飯ではない」

 プロテインもあげません。ぶっぶーっ。

「なん……だと……?」


 わたしは家計を握っているのです。お兄ちゃん、彼女作り、頑張りましょうねっ!

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