第2話 うちの日常

 まずは解説役を仰せつかいました、わたしの名前はまいです。読んで字のごとく、この物語の主人公であるお兄ちゃんのいもうとです。

 わたしたち兄妹は、高層マンションの最上階にふたりで住んでいます。

 家はかなり広いです。


 リビングで筋肉トレーニングをしているのは、わたしのお兄ちゃん。

 はっ、はっ、はっ、はっ。

 長身で、崇美すうびなマッチョです。


 体を鍛えている理由は?

 あわや! わたしが崖から落っこちそうになったとき、すかさず腕をつかみとって、ふたり分の体重を片手かたて懸垂けんすいで引っぱり上げる、それが出来てこそのボディーガードだ、とのことです。

 ライトノベルを読みながら淡々と語ってくれました。


 それでは、計画を進めましょう。


 ねえ、お兄ちゃん、仕事と彼女、どっちが先にほしい?

 ピクリ、と驚いた様子を見せるお兄ちゃん。

 腕立て伏せが、半端な角度で止まりました……。

 ぷるぷるっ、ぷるぷるぷるっ。

 考えている合間も、体を鍛え続ける姿勢が見て取れます。

「俺は、おまえのボディーガードだ。女に、うつつを抜かしている暇は、ない」


 よしっ、だったら。

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