下 01

「誰だ。そこにいるのは」

異様な気配を感じ取る。


「夜中まで大変だな、おっさん」

金属音をジャラジャラと鳴らしながら、男が話しかけてくる。


「不法侵入だぞ、お前達」

いつの間にか自分は取り囲まれていた。人相の悪い男達の鳥籠だ。


「大勢で一体何の用だ。ここにお前達が欲しがるような物は何も無い」


「ハハハ、俺達にとっちゃここは宝物庫だ。さぁ、その後ろにあるヘリコプターを我々に渡してもらおう」

男はサングラス越しに、背後のヘリコプターを指差した。


「ああ、くれてやっても構わない。だがな、これはお前達のような汚いチンピラに扱える程生優しくはないんだぞ?」


「言うじゃねえかおっさん。お利口さんだ。確かに俺達のような汚れにはヘリコプターなんか運転できやしない。それより、なんであんたはここから逃げられると思ってんだ?」


「なんだお前達、一体何を企んでる!」


「良いリアクションだ。さ、早くヘリに乗り込め。ウチの連れの気はそう長くはもたないぞ」

周りを取り囲む凶悪な連中が、一斉に目尻を上げる。


怪しげな暴力団連中。狙いは例のヘリコプター。


「まさかお前達、島に行くつもりじゃないだろうな!俺は絶対に運転なんかしない!」


「ほぉ、状況が分かってないらしい。俺達が手ぶらで来てるとでも思ってやがんのか?」


仲間の連中が、またしても目尻を上げる。


徐々に距離を詰められる。

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