第23話 ぼくらはみんな強くない


ほんとうにどん底にいるとき


どんな言葉も届かない


救いの手すら疑ってはたきのけるから


だけどたったひとつ触れたのは


似たような頬の冷たさだろうか



きっとみんなそれぞれ違う痛みを持っていて


決して同じだからわかるとはいえないけれど


鏡越しに君を見た時わかったよ


「どうか死なないで」


「ほんとうに大切に思ってくれてる人がいるんだよ」


「君には幸せになってほしい」


どれもはねのけてきた言葉たちだけど


ぼくに似た君を見ていると自然とかけたい言葉は手に取るようにわかるから




ぼくらはそれを自分にかけてあげられないけど


君にならいくらでもかけられるから


もしもまたぼくが呑まれたときには






誰もがほんとは強くない


だけど




ひとりじゃなければいくらでも強くはなれる


だから決して、弱くはない。




君はどこまでも優しいだけ。


絶対に












絶対に。

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