第22話 だから歌を歌いたいんだ

変って言われたわけじゃないんだけど


人に会うたびに突っ込まれるこの声のこと


おもしろがってからかってくる男の子


だから


だから




…ぼくは話すのをやめた





だけど少しずつ溶けた


うまいだけの人ならたくさんいるけど


誰ともかぶらない君は個性だ、と


信じてなんかなかったよ


それでも上手い方がやっぱり憧れるよ


それこそこんなやつなんていっぱいいるんだって



だけど少しずつあたたかくなる


もし、もしもだけど


救われたといってくれたあの言葉が嘘じゃなかったのなら


うらやましいといってくれたあの言葉がほんとなら


ぼくは歌いたいんだ。




今までたくさん救われてきたこのメロディと言葉たちを


同じように君の涙をぬぐえる人になりたいんだ


数字にならなくていいから




いつか




そんな歌を歌える人に

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