第8話 あらっ♡モジモジはらはらドッキドキ(◎_◎;)
『チャラリチャッチャチャチャラ〜♪ ステージ・クリア!』
「♪ハッピバースデー・ツーユー・ディア・ジョッシュ、ハッピバースデイ・ツーユー♪」
「さあ、このケーキの上の30本のロウソクをイッキに消すんだよ、ジョッシュ」
「あ、ありがとうみんな! こんなにシアワセな誕生日はないよ!」
「せーの!!」
ぴとっ
「ん?」
ポタポタ
ザザー
ドシャー
「ロウソクが全部ヌレテ消えてしまいましたわ」
「ゲリラ豪雨かよ」
「ツーユーで梅雨なんて、笑えないジョークだね」
「作者のセンスを疑うぜ」
「そこは触れないであげて。デリケート・ゾーンらしいから」
「もしかしてナンだけどさあ、ジョッシュ。アンタの誕生日設定って?」
「・・・6月6日」
んあ?
ジョッシュ様って雨男でいらしたのね
なんかカワイ♡
今日は初めてのクライアントとのミーティング。何でも人気のオンラインゲーム運営会社と業務提携シタクて、弊社『クリエイスタイル』に案件を頼みにキタとか。人気のオンラインゲームと言えば『アレ』だけど、今は他にもイロイロあるからねぇ。営業とシテ出席スルのはもちろん我れらが『営業1課』の精鋭、房井クンとモモちゃん、それにこの私。さあ、ガンバってお仕事ゲットするわ!
「この度は弊社をお越し頂き誠に有り難く存じます」
「いえいえ、御社『クリエイスタイル』さんは、業界で1、2を争うトップ企業。今日はよろしくお願いしますよ」
「恐れ入ります。それで御社が提携希望の企業様をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「まあ、いくつかあるんですけどねぇ。ちなみに房井さんのオススメはどこでしょう?」
「第一候補としてあげられるのは、株式会社『D Q N』でしょう。人気の『フロレンス魔戦記』は全国に300万人のユーザーを抱えており、今でも毎日約5千人の新規ゲーマーを獲得している成長株ですから」
「っ!」
な、何と私(ナイショ)とモモちゃんがハマっているゲームじゃない!
ま、まあリサーチを入念にシテる房井クンが目を付けるのもトーゼンよね。
「ほう、そのゲームではどう言った所が人気の秘訣なのですか?」
「まずはですね・・・」
なんだか房井クンがアツくカタりダシたわ。
うんうん、わかっているじゃない。
まるで自分がゲームにハマってるみたいな情熱ね。
「なるほど。例えばどのパーティのどのプレイヤーが注目されているのですか?」
「私の一推しは『ブルバレル』に所属する『オレンジパイ』ですね」
んあっ!?
ソレって私のアバターじゃナイですかっ!
ナンで房井クンが私をオシテくれるのかしら??
「こちらをご覧下さい。この『みかん』のように美しいオレンジ色のツインテール、魔法少女の様なスカイブルーのキラキラ輝く目、ボンキュボンで抜群のスタイル、そして最近彼女が入手した『マジカル・ジューシー・ステッキ』のこれからの活躍は、全国のプレイヤーから熱い注目を浴びております」
「ほうほう、確かに可愛らしくて魅力的なアバターだ。このコを我が社のパブ撃ちのアイドルにすれば人気は確実。して、御社はこのプレイヤーと直接コンタクトを取る事が可能なのですか?」
「はい、それはもちろん」
んああああっ!?
ナニソレ困る!
『オレンジパイ』が私だとバレたら、房井クンにヲタク認定されちゃうわ!
「そうですか。ちなみにここで、女性の意見も伺っておきたい。里山さんと新川さんはいかがお考えですか?」
「え、ええ。確かにあのパーティの活躍ぶりは群をヌイテいマスね。特に『ジョッシュ』と言うソード使いはクールながらコミカルなキャラクターが人気の要因だと思います」
「っっ!」
あー、またやらかしちゃった、私。
って、ん?
何だか房井クンのリアクションがオカシイわ。
「私の推しは『ピーチップ』ですね。あの凛としたリーダーシップのあり方と、自分を犠牲にしながらパーティーを存続させようとする姿勢には、ゲームへの深い愛情を感じられずにはいられません」
「良く分かりました。アナタ方となら上手く仕事が出来そうだ。それではこの案件は御社にお任せしますよ!」
やったあ!
これでまた房井クンと仲ヨクお仕事出来るわ。
でも、ナニかがひっカカルのよね。
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