致死率の比較、対サーズとマーズ

 お次はインフルエンザウィルスから離れて、同じ仲間であるコロナウィルスとの比較です。

 インフルエンザとは違い、その差は顕著なので、サーズSARSマーズMERSをひとまとめにしてお話しします。


 結論から申し上げますと新型コロナウィルスの致死率は、サーズSARSにもマーズMERSにも遠く及びません。


 サーズSARSの致死率はおよそ11%であり、かなり危険なウィルスということが伺えます[33]。

 二〇〇三年の五月頃のWHOの報告ですと、東部でかなりの感染者が出たカナダでは、サーズSARSの致死率は確認された感染者の中では16.7%であり、疑わしい患者を含めれば9.3%とされています[34]。


 同じ人口を分母に据えた新型コロナウィルスの致死率で、唯一比べられるのが二〇二〇年二月十四日の河北省かほくしょうの、感染から死亡の時差を考慮した18%の致死率です[5]。

 ですがこの論文もかなりパンデミック初期に発表されたもので、無症状の感染者の存在は確認すらできていない時だったので、他の論文ではこのような高い数値はあまり報告されていないようです。


 代わりにJohns Hopkinsのウェブサイトから致死率10%以上の国を探してみたところ、イエメンの28.9%、イタリアの11.8%、メキシコの10.6%、英国の10.2%と張り合えるような候補が四つ程見つかりました[26]。

 とはいえ、全て報告されている新型コロナウィルスの致死率のトップであり、主流ではありません。


 新型コロナウィルス、サーズSARSに敗れる。


 そして追い打ちをかけるようになりますが、マーズMERSの致死率はサーズSARSを上回る、34.3%です[35]。

 実に三人に一人が亡くなる、とても危険な病気です。


 新型コロナウィルス、再度敗れる。


 総括しますと、新型コロナウィルスの致死率は季節性インフルエンザよりやや高く、H1N1インフルエンザと同じくらいか或いはこちらもやや高く、しかしサーズSARSマーズMERSよりは低いと言えるでしょう。


 次回は、致死率は致死率でも年齢を考慮したものについて触れておこうかと思います。

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