抗体検査で頂上決戦

 ということでガサゴソと論文を読み漁っている中、これはかなりいい線行っているのではないかというプリプリントを二本見つけました。

 もし「これよりもすごい数値出ている研究あるよ」という読者の方がいるのであれば、是非ともコメントお願いします。


 では私が見つけたものの中で、感染されたとされている人口の割合が最も高かった研究をまず紹介します。


 研究が行われたのは新型コロナウィルス感染者が多く出たイラン。

 二〇二〇年四月にイラン北部の地域にて551人を対象に血液検査を行い、人口の28%から39%は感染したことがあるのではないか推定しています[14]。


 じんこうの、さんじゅうきゅうぱーせんと。

 ほぼ五人に二人が感染した?


 あり得るのか?

 いや、あり得るのか。

 確かニューヨーク市でも人口の22.7%が抗体を持っていたとされたらしいですから[17]、39%もそんな突拍子もない数値ではないのかもしれません。


 ただこの地域では確認されている新型コロナウィルスの死者は617名であり、感染者数の推定総数が518,000人から777,000人となりますと、致死率は0.08%から0.12%と当時のものよりかなり低くなるそうです[14]。

 まぁ、分母が大きくなれば致死率は下がるというのは、単純な割り算の問題ですから。


 そしてお次は確認されている感染者数が抗体検査から推測される実際の感染者数に対して最も低い研究の発表です。


 こちらは神戸での研究。

 二〇二〇年三月三十一日から四月七日の神戸で血液検査を1,000人に行い、新型コロナウィルスの抗体を持っている人口の割合、つまり感染したことのある人達を調べようとしたものです[15]。

 それによると、抗体を持っているのは人口の1.8%から3.9%としており、神戸で実際報告されている69名の感染者数の396倍から858倍としています[15]。


 さんびゃくきゅうじゅうろくばいから、はっぴゃくごじゅうはちばい。


 私は専門家ではありませんのでこのプリプリントがきちんとしたものなのか、いまいち判断がつかないのですが、やはり検査数、増やした方が良いのでは? と思わずにはいられません。

 いや、専門家ではありませんがね。


 ともかくこういった抗体検査の研究は世界各地で行われています。

 割合の差はあれど、どの研究でも把握しきれていない感染者が多数いることを示唆すると同時に、実際の感染者数を算出する一つの手段となり得ます。


 抗体検査はこの分母である感染者の総数を把握する一つの手でありますが、ほかに数理モデルなどから感染者数を割り出す方法もあります。

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