昇格祝いってことで
あれから、一ヶ月後。
ボクは、昇格の話を引き受け、バイトリーダーになった。
約束通り、慧桜さんがバイトリーダーの業務内容も指導してくれた。
予想したように、昇格の話を引き受けたら慧桜さんと関わる機会が増えた。他の従業員じゃ教えられない業務が増えたことに伴い、慧桜さんとお近づきになれた(という名のバイトリーダーが行う業務指導)。
「川合リーダー」
「はい!どうしました?」
「レモンサワーの作り方が分からないんですけど·····」
「あー、それは、サワーグラスに氷を6個入れて··········」
こうやって、研修中のスタッフに声をかけられることも増えてきた。
「なるほど!ありがとうございます!」
「ううん!やっぱりお酒関係ってベースが同じでも割るものが違かったり量が変わったりして種類が多いからねー·····あ!そうだ!近いうちにでも全お酒の作り方を冊子にしてまとめておくよ!」
「え、本当ですか!?めちゃくちゃ助かります!」
「そうだよね!慧桜さ·····安田リーダーにも相談してみる!」
「はい!ぜひ!!」
その日の夜。
出来るだけ早い方が良いと思い、慧桜さんに電話で相談した。
「あー、そうですね!その方が冊子にした時、分かりやすいかも。レイアウト直しておきますね!」
「ああ、よろしく頼む。」
「はい!·····あ、すみません、長電話になってしまって」
「ああ、全然大丈夫だ·····あの、さ夏糸」
「はい、どうしましたか?」
「あの·····昇格祝いってことで、どっか行かね?」
「え!良いんですか!?」
「ああ。で、どこに行きたい?」
「んー、そうですね·····あ!!水族館に行きたいです!」
「す、水族館·····?一緒に行く相手、俺で良いのか?」
「ボクは慧桜さんと行きたいですけど・・・慧桜さんはイヤですか·····?」
「全然嫌じゃない。むしろ俺、水族館好きだし。ただ、何か俺で良いのかなと思って」
「何でですか!!水族館、好きなら一緒に行きましょうよ!今、
「そっか。夏糸はクラゲが好きなんだな。よし。行こう、水族館。俺もクラゲしっかり見てみたいし」
「やった!!楽しみです!」
「俺も、めっちゃ楽しみ」
「ふふ、嬉しいな。慧桜さんと水族館行けるなんて·····あ!いつにしますか?」
「あー、俺は、この日とこの日とあそこ辺りも空いてるけど··········」
話し合いの末、来週の日曜日、午前十時にボクの家に来てくれることになった。
なんでボクの家に来てくれるかと言うと、ボクが方向音痴だってことと、慧桜さんが心配性だから。
いくらなんでも、ボク、地元の水族館ぐらい迷わず行けるのになー。
でも、慧桜さんは、物腰柔らかそうにみえて曲げないタイプだから、お言葉に甘えてボクの家まで来てもらうことにした。
何を着ていこうかな。お昼ご飯はどうするんだろうな。
慧桜さんは、どんな格好で来るのかな。
··········おみやげ、慧桜さんとお揃いとか出来ないかな。
慧桜さんと水族館に行くことで頭がいっぱいになりながら、深い眠りについた。
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