第22話 王都時計台設置開始!

 王都に設置することに決まっていた『時計』が、ついに納品された。


 直径五メートルの巨大な時計であるが、設置場所はすでに決まっている。


 王城に一、中央広場の教会に二、そして王都を囲む城壁の正門に一、計四か所である。


 設置はやはり、おれにはどうしてもここを離れることの不安があったため、ドワーフの職人さんにお願いすることになった。


 メンテが必要になったときはその時に考えることにした。

 おれの店からの搬出は当然、あの時間帯しか行えない。一旦出してしまえばあとの運搬は業者に任せておけば大丈夫だ。


「エドモンドさん、設置が終わったらこれで写真撮ってきてもらえませんか?」


「ん? しゃしん? なんですかな、それは……」


 あっと…… そうだった。写真なんて技術あるはずないか……


 親父が趣味で購入してた『ポラロイ○カメラ』の使い方を説明する。


「な、なんと…… どういう仕組みになっとるんですか!」



 常連組の五人を整列させて『はい、チーズ!』ってやって、すぐさま『写真』を見せたらぶったまげてたなあ……そりゃあ無理もない。




「陛下…… これは間違いなく戦略級の道具かと……」


「お主もそう思うか…… なんとしても欲しい……」



 ポラロイ○を使って見せたあと、何やらこそこそと相談しあう宰相と国王コンビである。


 それ以外の三人はというと……今夜の夜食、焼き鳥に嵌りまくってそれどころではなかったようだ。



「ここってばさ~、もうお店とかじゃなくて『飲み屋』みたいなもんだね~」


 口の周りを焼き鳥のたれだらけにしてしゃべっているコッコさん…… エルフ族のイメージが変わるだろうが……


「そうそう、もうスペース半分切り取って料理と酒出す店に変えちゃおうか!」


 ば、ばか! 勝手なことすんな、このケモミミ眼鏡っ娘よ! 尻尾モフモフしまくるぞ!


「ユキ店長……申し訳ないが…… 研ぎの仕事頼みますわ…… それと防具の再発注もよろしく……」



 今回の討伐遠征でボロボロになった剣やら盾やらプレートアーマーやら大量に置いてくな!


 もう新調したほうが早いだろ!


「いや~ 騎士団も貧乏所帯で…… ねえ、陛下……宰相殿……」



「う、うむ…… 考えておこう……」


「こ、今度の予算会議で提案することはやぶさかではない……」



 数日後、王都の時計台は無事設置されたことを証拠となった写真で確認できたおれは、翌日には無理な注文を受けてくれた問屋の担当者に見せることができた。


「一枚いただいてっていいですか! メーカーもこれ見て喜びます! で、ここって設置場所どこなんです?」


「う~ん…… 内緒!」




 異世界の王都に設置したなんて言えるわけないじゃないですかあ……

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