第28話 誰かの独白

「あのひとが、ひどく悩んでいたことは知っています。親族だから「あのひと」というのはナンですが・・・。半日も鏡を見て過ごしたり、必死にネットを眺めたりしていました。事故の影響だろうと母は言っていましたが、母自身もふさぎ込むことが多くなっていたようです。

 普段は本なんか読まなかったのに、本を何冊も買い込んで読みふけったり・・・。

 テレビのニュースは必ずチェックしていましたね。ときにはイヤホンをつけて細大漏らさず聞いてもいましたよ。おかしいと言えばそう言えるのでしょうが、なんとも微妙で。

 尋ねたことは何度かありましたが、いつも「なんでもない」って、そればかりで、私にも分かりません。親族といっても個人で、別ですからね」





(つづく)


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