第3話 すぐに助ける

抜けた先に大きな球体のようなものがあった。

そう、まるで運動会とかで使うような大玉転がしの大玉のようだが...そんな物を見て

“なんだこれは!?”

二人は首を傾げる。頭のなかはハテナでいっぱいだ。すると、球体がいきなり光を放ち何かを映し出した。なんの力を動力として動いているのかは分からないが、そこには二人の黒い影が見えた。


そこに居たのは一人は小柄な少女ようで、一人は屈強な身体つきの男ようだった。


しばらくすると...、人影がくっきりと映し出された。男の方は見たことがなかった少女は見たことあるような気がした。ユウキは、自分の目が巫山戯ているのかと目を擦った。


で、もう一度…。やはり変わらなかった。ユウキは言葉をなくした。

「おい、なんでだよ…。サヤカ!」冷静に判断ができない。その頃水晶玉から、声が聞こえた。

「我、ここに見参!今日より1か月後に横にいる姫と結婚することをここに宣言する!!」

変なことを言っているようだが、分かっていた。間違いなくあれは彩香だということを。ユウキは、大男に怒りを覚えた。手に力を入れて地面を殴る…。表情がだんだん暗くなっていくのがわかる。

“あの男、許さない。”

それを横で見ていたケントは全くと言っていいほど状況を理解できずにいた。首を傾げた…。

「どうしたの?怒っているみたいだけど…」

その場の状況をすぐさま判断できず困っていた。ケントに分かるほど表情に出ていた。昔から感情は表に出やすいタイプだった。

「あそこに映っている、女性の方はぼくの大事な人なんだよ。」

苛立ちのあまり、ケントにもぶっきらぼうになってしまう。

「そうなの?」

意外な事実に驚きを隠せないケントだが、...。考える隙も与えずユウキは話を続けのだ。

「だから救わなければならないんだ。」


「なにか、ぼくにできることはある?」


「そうだな、一刻も早くサヤカを救うためにはここの村から出る方法を教えてほしい。」


「ここから出てどこに行く気?」


「今さっきの大男のところだよ」


「わかるの?まずは情報収集じゃない?」


「それもそうだな」


やっとユウキは、冷静に判断をして物ごとを考えることができた。


ケントの意見に賛成して町を歩くことにした。敵がどんなやつかを知るためにもまずは情報がないとどうにも出来ないか...。

町を散策していると、店が並んでいる通りにでてきた。

雑貨屋・服屋・魚屋・肉屋・八百屋など。色とりどりの屋根が並ぶ大通りが人目を集める事がおきそうになっていた。ハプニングは、いつ起きてもおかしくないそういうもんだ。

八百屋のところで一人の男の子がリンゴを盗もうとしていた。なんと美味しそうなリンゴなんだろう。次の瞬間リンゴをいっぱい持ったため、何個か手から滑り落ちてしまった。

落ちた物音で店主に気づかれ子どもが、引きずられている。その子の服装を見るに貧しい子なのかなと思った。貧しいとやっぱり、...。年齢的に言うと小学高学年いかないくらいとみた。そんな時にこの子を助けるべきか助けないべきかそんなことで悩んだが、なんだか気持ちは分かるので頭より体が先に動いてその子のリンゴの品代を払ってあげることにした。

「ユウキって、意外に優しいんだね、というかお金もっていたの?!」

ケントはユウキの優しさを知ることが出来た。こんなに優しいやつだったんだな。

「それどういう意味だよ!あー、いまさっきのは何かあったときようでシスターに貰った。」

もしかして、ケントにそんな性格の悪いやつとかって思われていたのか?

「あはは…そういう事ね」

ぼくだってあんまりシスターからお小遣いなんてもらえないのにいいな〜。

「何となく助けたくなったんだよ。おかげで金が無くなったけどな」

ケントとユウキが話していると

さっきの子が、近づいてきた。

「お兄ちゃん。あ、ありがとう」

目に涙を溜めながらユウキのところに来てお礼を言うのだった。

「坊主、もうあんなことするなよ」

そう言うながら、髪をくしゃくしゃにする。

「うん!」


そんな感じでしばらく時間が過ぎて、夕方くらいになった頃。噴水の前の掲示板であるものをみつけた。何も書かれていない赤い紙の上に色んな情報が書かれている紙が貼られている。ペットの迷子探しだったり、一日限定の仕事手伝い等の初心者向けの依頼から上級者向けの依頼まで貼りだされていた。ユウキはこんな紙に目をつけた。『剣士募集中!初心者大歓迎』このようなものだ。

剣士というワードに惹かれたのか興味津々のようだ。瞳がキラキラ。

「うーんと、教会で修行を2年以上してから大会で優勝もしくは準優勝出来れば、一流の剣士として認められるって聞いたことがあるような」

思い出したケントは呟くように言った。

それを聞いたユウキは

“あれ待てよ。いま教会にいる俺たちは2年間、修行を積めばあっという間に強くなってサヤカを救えるということか!”

それなら早速今から始めよう!!

て待てよ、2年じゃサヤカがあいつに奪われてしまう...。

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