第2話 異世界に来てしまった!?
「俺は確か、緑平山の頂上でいろいろと嫌になって自殺をしようとしていた所に彩香が来た…。そこから……。いまいち記憶がないのだが。」
優希が気がついて目を覚ますとそこは見知らぬ場所のベッドの上にいた。ベッドはナチュラルな素材感があり、室内のレイアウトにも馴染みやすいウッドフレーム<化粧合板>が使用されているようだ。
小さい頃から匂いには、強かった。この匂い何処かで匂った事がある…。それもそのはず。優希のベッドもこのような感じのベッドであるからだ。知らない土地の知らないベッドで本来すやすやと寝ていたら、下手をすれば殺される可能性もあるというのによく寝ていた。
この状況を把握できずにいた。
“ここはどこで一体どうなっているんだ。
誰か全く教えてくれ。
でも待てよ、、彩香も何処かにいるのかな。最新の記憶が山のことだとするなら、今のこの状況についていけない自分が脳内を駆け巡る。起きてすぐのときは、これが夢かと思うくらい心地よかった”
それからふと我に返ると、
キーイ。
木のドアを誰かが開ける音。
「あら、目が覚めたのね。」
優しい声が耳元で囁いている。ここは現実じゃないのか…。そこには、金髪の長い髪の女性がいた。
“実際に見たことはないけど、これっていわゆるシスターとか呼ばれる教会の人かな??”
「ここは何処ですか??それに、現実ですか?」
「貴方は、何も覚えていないのですか??貴方は、緑山という緑溢れるここらへんで一番標高の高い山のところで倒れていたのですよ?それも、服が酷く汚れていたから今洗っているところよ。」
「俺が、倒れていた??
ということは現実から何処かにやってきてしまったというのか??
確か俺と一緒に髪の長い女の人はいなかったですか?」
服の事など気にせず、彩香のこと以外考えられない。
「いいえ、あなた以外見ていませんよ。それにしても貴方は3日も寝ていたのですからね……。もしかしたらこのまま目覚めないのかと思いましたよ。しかし、これはこれでなによりです!落ち着いたら降りてきてご飯を一緒に食べましょ」
シスターの言うことを整理すると、何らかの原因で死んだと思っていた俺は何故か緑山とかいう山でシスターに拾って貰って3日も寝たままんで今ここにいると…。立とうと思ったら、3日も寝ていたせいかふらつく。おっとと。今までの話を聞く限りシスターはきっと信頼できる人とみた。
下に行くとそこには、匂いだけでも充分美味しそうなホワイトクリームシチューが配膳されていた。大きなテーブルの上にひとつちょこんとあったのでこれが食事なのかな?
と最初は疑いつつ木製のスプーンがあったので手に取って試食してみた。その後思った以上に美味しかったのでしゃべる余裕すら与えないくらいに、口に運んだ。こんなに美味しいと思ったのはいつぶりだろうか。
「あらあら、そんなに早く食べちゃって喉に詰まるから落ち着いて食べなさい笑」
「流石にお腹がすき過ぎて、急いで食べてしまったよ!そう言えばあなたの名前を聞くのを忘れていたけど…」
笑みを零しつつ、さっき聞けなかったことを聞いてみた。
「私の名前は、ナイチンゲールよ。改めてよろしくね…って君の名前も知らないや、、教えてくれる?」
「俺の名前はユウキだ!ナイチンよろしくな!」
食事を済ませたあとさっきまでいた、部屋に戻って今後どうするか考えた。
今ここで何もしないよりは、一刻も早く彩香を助けないといけないからまずは自分がどこに行ったのか行ってみよう。
ある程度して、自分が倒れていたと言われていた場所に行くことにしようか.....なんて事ベッドの上で考えているうちに考えすぎなのか精神的に舞っているのかはたまた、単純に辺りが暗くなったのか寝に入った。寝ているときの鼾ほどうるさいものはないだろう。
「トントン。」
ドアを叩く音が部屋に響く。
昨日は緊張していたためかあまり眠れなかった。その為いつもは起きれない俺だが、部屋をノックする音だけで起きることができた。未だに昨日のことが頭でいっぱいだ。それも当然だ。現実でつい昨日まで死のうとしていた男がここ(教会)に居るという誰に話しても相手にされないくらい無茶苦茶な日だったからだ。
こんなを体験したことがある人はいるだろうか??間違いなく誰もないだろう。
「今から、朝ごはんを食べてその後町に出かけるぞ。」
そこには、見たことのない男の子がドアの前に立っていた。茶色の髪にブラウン色の眼光がこちらを見つめる。
「わかった。今から行くよ。」
そう言い残して外に出る支度をした。
“今さっきの子、名前なんて言うだろう?咄嗟の事だったから名前聞くのを忘れてしまった・・・。それにしても昨日は頭の整理が出来ていない状態だ。まぁ、今もなんだけど…。今いるここが現実なのかすら把握出来ていない。
教会を出て町に出ると、太陽の眩い光が全身に染みていく。外に出てしばらくボーッとしていると男の子が近づいてきた。男の子に真っ先に名前を聞こうと思った。
「あっ、名前なんて言うの??今さっき聞こうと思ったけど、聞きそびれて…。」
苦笑いをしながら言う。
「んー。ケントだよ!これからよろしく。この街はアスワンだよ!!」
笑みを見せながら右手を出してくるケント。手を出された仕草にどう応えたらいいのか分からなくなった。なぜなら今までにそのようなことをされたことがなかったから。戸惑っていた。そんな様子を見たケントは
「ほら、こうするんだよ。」ユウキの右手を持って握手するように自分の手とユウキの手を合わせる。何だか、ケントの手は暖かく感じる。
ケントに連れられ、町の様子を見ると町中は賑わっており、町は笑顔で溢れていた。店の前で騒ぐ人や公園のところで芸をするピエロ。なかには、転けて擦りむいてしまった子どもの泣き声も響いている。子どもからおじいさん、おばあさんといった老若男女の人々が明るい雰囲気だった。
5分ぐらい走った頃か、広場のようなところにでてきた。
「ここは、この街一番の観光名所、噴水さ!」
胸を鳴らし自慢気に指で指し示しながらケントは言った。
「確かにこれは、すごいな」
そこには、5メートル程ばかり立ち上る水があり心を持っていかれた。人集りがすごくあった。なんでこんなに、多くの人がいるのか気になった。きっとこの噴水以外にも関係があるはず。
気になったユウキとケントは大人たちの間をすり抜けていく。スルスルと。
次の瞬間ユウキは目を疑った…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます