第39話 審議
長崎県区の神々は話し合いの結果。
金原剛が倒れた事で勝ちは笠取陣営であると言う意見でまとまった。俺もそれが妥当だと判断した。
笠取姫は遠慮がちにこちらの表情を伺っている。
(良いんですよ、そちらに勝ちは譲ります)
そういうニュアンスでいつものノリでウィンクすると彼女は顔を扇で隠し蹲(うずくま)った。
あれ?地雷を踏んだ予感がする…。
…まぁいいや。
英助には悪いが、これで無事に魂消祭の幕が引ける。
金原は救護班の高度な治療を受け、救護テント内で快方に向かっている。
今は昏睡で眠らせていて、金剛肢と火生の記憶も抜いてある。
朝前には自宅のベッドに戻して、何事もなく登校出来るだろう。
もう、彼は魂消祭において役割を果たした。
「お疲れ様」と言葉をかけておく。
霊達を使って悪さをしたみたいなので霊を撃退する力を失った今、しばらくは護衛が必要だろう。
鱈聞町の神々も承知してくれている。
あとは、
「桜尋殿。酒衣町守護、笠取姫の本戦出場ということで宜しいですかな」
「はい、笠取姫の選手達は見事でした、それでお話を進めて下さい」
「では実行委員会に長崎県区の神々の意見を上申して参ります」
長崎で一番の権威を持つ
数分の時を待たず南方様が戻る。
「皆々方、書状を持って参った、大変な事になりましたぞ…」
南方様の侍者が書状を読み上げる。
「今回の金原の戦闘不能に関しては、自らの異能『火生』の炎から発生した一酸化炭素による失神であり、笠取陣営の攻撃に寄るものとは断じ得ない。よって、魂消祭を続行する」
「次の生贄は『水織さくや』とする」
「桜尋殿…」
皆が俺の方を向く。
南方様の立場上、委員会の判断を突っ撥ねる事は出来ない。
「やりましょう、水織さくやには
皆の安堵の声が聞こえる様だ。流石にここで我が儘は言えない。
「笠取姫はそれで宜しいでしょうか?」
「桜尋様のご判断であれば、妾は異を挟めません」
これで決まった。
業太を使いに出し、さくやを呼ぶ。
「何?」
「ああ〜言いにくいんだけどさ、さっきの予選なんだけど勝負は保留になったんだ」
「それで?」
「次の生贄なんだけど…さくやになった」
「ふーん、会場をA病院にしてくれるなら何とかなるわ」
「いいのか?」
「
「助かるよ」
「
「お前の好きにしていい」
「
「そうだな、魂消祭に勝ち上がるにあたって非情さが無いと、この先は無いんだよ」
「じゃ、皆を動けなくすればどうなるの?」
「生贄が勝ちという事で予選は終わる」
「そう…恨まれるかしらね」
「…」
「…大丈夫、恨まれるのには慣れてる『魔女』なんだから」
「ハハハハッハ」
「何が可笑しいの?」
「嘘つけアイツらの事、解ってるだろう?」
「うるさいわね。解ってるわよ、そんな事」
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