第34話 泣き言

アルコールと安定剤でふらふらしながらベッドに倒れ込む。

言葉にならない声を枕でかき消しながら抱き込む。

自分の状況を整理しなければと思いながら、先程の余韻と薬によるまどろみを感じていた。


「どうでもいいやあ」

薬がそうさせるのか、心が望んでいるかはわからないが言葉が声に出た。

だが、目の前に空想上の、夢でしか見ない相手が立っていて言葉を発したのだ。

おかしくならないように脳が自然とセーブするのだろう。


だけど…助けを求めたかった。

本当は彼女以外の誰かに。

自分そっくりの人間に夢精するなんて、告白されても気持ち悪いだろうから。

だけど助けてほしかった。おかしくなっていく自分を。

女がいったいやらしい冗談も、本当に昼間から隣に彼女がいて、嬌声を聞かれてるんじゃないかと怯えてしまう自分を。

だけど、助けてくれる人なんて僕にはいなかったから…


『会いたい』

必死に紡いだ言葉だった。

その一言だけを彼女のラインに送った。

彼女はまだ勤務中だろう。勤務後その一言を見た時、彼女は何を思うだろう。

自分勝手さに涙が溢れたがメッセージを取り消す事はしなかった。

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